古のZINE サントリー「洋酒天国」
亡父の遺品、「洋酒天国」。これは今でいうZINEだろう。
昭和30年代、洋酒の普及・拡販のため壽屋(現サントリー)が発行、「トリスバー」「サントリーバーなど暖簾を貸した酒場で無償配布していた小冊子。開高健、山口瞳、柳原良平といった、錚々たる顔ぶれの編集だ。
品切れの時は切手30円で郵送頒布もしていた様だが、今もあるトリスウイスキーのポケットボトルが当時35円、現在の実勢価格が300円だから、これ単体での利益は無かっただろう。
B6判、60頁。そこには文化・風俗、ようやく戦争の傷が癒え始めた日本があった。豊かな未来を夢見る希望があった。そして、文字と言葉に力があった。
その力は60年以上を経ても衰えていない。
この時代を必死に生きた人たちに恥ずかしくない生き方をしているか、この冊子を読むたびに自問してしまうのだ。
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