fhanaライブレポ(前編)
(※以下の文章は筆者の極めて恣意的なfhanaに対しての解釈・嗜好に基づくことを冒頭で確認する。これはfhanaを通して考える、音楽と葛藤に関する小文である。)
演者の方がやもすれば多いような地下のギグや、前日気が向いてツイッターで直接チケットを取り置きすれば観れるライブばかりに行くようになってしまった今、満員のZepp Tokyoで観るコンサートは本当に貴重だ。前もってチケットを争奪し(今回は友人がすべて代行してくれて僕は当日金を払っただけなのだが。毎度本当にありがとう)、数か月前からスケジュール帳の今日を占め続けていたのは、fhanaの3rdアルバリリースに伴うツアーの最終公演である。
fhanaはここ5年ほど、アニメの主題歌をコンスタントに提供し、”アニソンバンド”として広く知られている。メインコンポーザーの佐藤さんのアニソンの王道を抑えつつも新鮮さを追求した作曲と、ボーカルのtowanaさんのキュートでキャッチーな歌声と彼女のオタクになりがいのある(?)ルックスが組み合わさり、売れっ子なのも納得できるはずだ。昨年も一昨年も、彼らは同じ時期にツアーファイナルをZepp Tokyoでやっていて、私は今回も三年連続で"参戦"することになった。
しかし僕が今回のライブを本気で楽しみにしていたわけでは実はなかった。いくつかの不安要素があった。
一つに3rdアルバム自体をまともに聞いていないこと、もう一つに昨年のライブでの僕の中での不完全燃焼感と言うべきか、違和感、わだかまりが残っていたことがある。昨年のライブは、次の曲をリリースしヒットした後のものである。
確かにすっげえいい曲なんだよ、towanaさんかわいいんだよ。でも、このダンスをみんなでおぼえて踊ろう! という雰囲気が僕は駄目だった。”逃げ恥ダンス”が流行った直後にこれを出していることにも下品さを感じた。
この曲は昨年のライブ全体を象徴するものだった。このダンスを覚えていかないとライブを楽しめないような雰囲気を僕は感じ、すし詰めのオタク達が一心不乱にダンスをする”一体感”なるものを不気味に感じた。セトリ全体もオタクが飛び跳ねるための疾走感がありよく売れた曲中心のものであった。
上記の記憶が新しいまま今年も参加することに対し僕が不安を抱いている中、fhanaのギタリスト・和賀さんの次のツイートが響く。
彼のshoegazerや轟音post rock由来のアトモスフェリックで時に暴力性を帯びるギタープレイはもともと大好きで、僕がfhanaを聞く理由の大きな要素である。そんな彼の、僕のようなファンに寄り添うようなアティチュードと、このツイートに滲むミュージシャンとしての葛藤を垣間見たような気がして感動したのである。”アニソンバンド”として売れていくこと、自分たちのやりたい音楽を作り続けていくことは、しばしば対立していくことなのかもしれない。
そして、次のツイート、
や、俄然楽しみになってきましたねぇ!
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