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プラスチック汚染に関する国際協力へ向けた期待と課題

こんにちは。持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP)で事務局を担当している津高です。今日は12月5日に行われるISAPのテーマ別会合15について見どころを紹介したいと思います。

今回のISAPで廃棄物汚染に関するセッションは3つあるのですが、このテーマ別会合15は、その中でもいちばん世界的なシステムに関するお話です。

プラスチックによる自然破壊が進んでいることはすでに周知の事実となっているかもしれませんが、人類は依然として非常に多くのプラスチック製品を産出し、その廃棄物も増え続けているのが実情です。となると、そこにはルール作りが必要であるという考えに行きつくのは自然な流れです。

しかし、国際的な共通ルールを作るには、そもそも世界中でプラスチックがどれだけ量産されていて、環境のために意義ある結果を出すにはどれだけ削減すべきであるなどの数値目標や限度設定が必要になってきます。ある町の、あるいはある国の、というスケールで考えることは比較的簡単ですが、全世界の、というスケールでそれを考えることは困難を伴います。それに、実施による影響やコスト負担などを考慮した上で、ルールに即した行動を全世界で促していくには国際協力が不可欠で、その足並みをそろえるのも困難です。しかし困難だからといってプラスチック汚染の問題を棚上げするわけにもいかないのです。なぜなら、すでに世界の各所にプラスチックによる汚染被害が出ていて、それは一国の努力だけではどうすることもできないのですから。

そこで、国際社会はようやくプラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際約束を作ろうと動き出しました。その第1回の交渉は、実はこのセッションの前の週に行われる予定なのです。つまり、こんなにタイムリーにこのテーマについて深く掘り下げるオンライン会議は他にないかもしれないくらいタイムリーなのです。

プラスチックは便利なので、私たちの生活から全くなくすことはできないでしょう。しかし、こうした国際的な約束を作っておかないと、人類は際限なくプラスチック製品を生み出し、それを至るところに捨て、気づいたときには地球が人類の住める空間ではなくなってしまうかもしれません。温暖化や生物多様性喪失といった他の環境問題と同じように、プラスチックの問題も、私たちが生きていく上で、ルールを決め、それを守り、自制していくことが求められる課題なのです。


「ISAP Now!」では、地球環境戦略研究機関(IGES)内のISAP事務局担当者が、ISAPのセッションに関する情報を紹介します。(このマガジンの詳細はこちら)。


文責:津高 政志 IGES戦略マネージメントオフィス シニアプログラムコーディネーター(プロフィール

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