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マイクロプラスチック政策の立案に求められる良質なデータとは?

こんにちは。持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP)で事務局を担当している津高です。今日は12月5日に行われるISAPのテーマ別会合13について見どころを紹介したいと思います。

正直、このセッションの内容を読むまで、マイクロプラスチックは海中などに漂う小さなプラスチック片で、海洋生物たちがそれを食べて死んでしまうので問題なのだと思っていました。違いました。もっと問題の根は深かったのです。

マイクロプラスチックとは、5ミリメートル以下の微細なプラスチック片の総称で、洗顔料や歯磨き粉のスクラブ剤など意図的に微細な粒子として製品中に含まれるものと、河川や海洋に押し流されたプラスチックが、紫外線、海水、波など化学的・物理的作用により細かくなったものがあります。プラスチックには、加工しやすくするための添加剤や着色料など様々な化学物質が含まれていますが、これらは有害性を指摘されているものも多く、さらにマイクロプラスチックの表面は水中の残留性有機汚染物質(POPs)などの化合物を吸着させる性質があるとも言われています。こうしたマイクロプラスチックは海洋生物にとって有害なだけでなく、海産物を食する人間にも悪影響を及ぼす可能性があります。

こうした危険性にもかかわらず、マイクロプラスチックは現在、エベレストの標高8,000メートルを超える地点から水深10,000メートルのマリアナ海溝の底まで、地球上のあらゆる場所から見つかっています。しかし、それほど小さなものをトレースして量や危険性、排出源を突き止め、汚染の元を断つことは容易ではありません。

しかし、マイクロプラスチックが生物や人体に悪影響を引き起こしている事実がある限り、研究者たちはデータを集め、数値化し、それを政策決定に役立てることが求められるます。また、政策決定に用いるデータは、信頼性や透明性が非常に重要となります。

このセッションでは、アジアの途上国におけるマイクロプラスチックに関する研究データの収集方法や、精度向上に向けた能力強化について議論します。

非常に小さなものに関する議論ですが、世界規模の大きな話になりそうです。


「ISAP Now!」では、地球環境戦略研究機関(IGES)内のISAP事務局担当者が、ISAPのセッションに関する情報を紹介します。(このマガジンの詳細はこちら)。


文責:津高 政志 IGES戦略マネージメントオフィス シニアプログラムコーディネーター(プロフィール

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