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Weekly iGEM〜DNA工学の基本、クローニングをつまみ食い!〜

DNA工学、それは合成生物学の基礎となる重要な技術である。今回はその基本を、僕が去年生物の授業で扱った内容を基にしてまとめていく。今回は後編ということでクローニングを扱っていく。


1.遺伝子のクローニング法の紹介


遺伝子のクローニングには様々な方法がある。一つずつまとめてみよう。

A. マイクロインジェクション法


これでは、哺乳類の受精卵を利用している。精子由来の核に遺伝子の断片を管で導入する。そして、受精卵が発達し子供になるとその子供には目的の遺伝子が導入されるやり方である。

The Jackson Laboratoryより引用


B. エレクトロポレーション法


これは、細胞に一定時間電流を流し細胞膜に孔を形成することでDNAを取り込む手法である。
(ちなみに、エレクトロポレーションは美容でもビタミンCやヒアルロン酸などの美容成分を細胞内に導入する技術として使われています👶 by通りすがりの編集者)

Technology Networksより引用


C. リポフェクション法


こちらは遺伝子の断片をリボソームで包み、細胞膜と融合させて導入させるやり方である。動物細胞へのクローニングに主に用いられる。

Biontex Laboratories GmbHより引用


D. パーティクルガン法


最後のパーティクルガン法は、プラスミドにAuなどの金属粒子を付着させ、それに高圧ガスを当てることにより細胞に遺伝子を導入する。
ここで金Auが使用されるのは、
・細胞内への貫通力を高めるため高比重の弾丸をつくりたい
・化学的に不活性であり生体に害を及ぼしにくい金属を用いたい
など理由からである

Creative Biolabsより


まとめ


これらのクローニング法は標的となる細胞の種類などで使い分けるのが定石となっている。
また遺伝子組み換えによって外来の遺伝子を持つようになった生物のことをトランスジェニック生物という。(例: ゴールデンライス、除草剤耐久性大豆)

2.遺伝子工学の今後

この遺伝子工学と呼ばれる一連の分野は技術発展の一途をたどっている。しかしながら、遺伝子組み換え食品に対する安全性やトランスジェニック生物の与える生態系への影響などまだ課題も多い。私たち合成生物学に取り組む者は、果たして独自の視点でこれらの課題を解決するような一手を生み出すことができるのだろうか。いや生み出すことが使命なのかもしれない。

3.参考文献

・バイオビルダー~合成生物学を始めよう~
・スクエア最新図説生物(第一学習社)
・高等学校教科書 生物(第一学習社)

(文:  井上翔也)

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