記事一覧
10.リミナリティのすべて
はなさないでいられるかな
この夜にすれば微量の秘密に永遠はあった
見慣れたグレーも藍色になり
出口のグリーンが廊下に色を移して
限りのない有象無象から掬っていこう
転がっている偶然を必然のよう思っていよう
忘れてしまうことすら
この夜になれば明確な言葉で名付けられるよ
着慣れた藍色も置いてゆくんだよ
出口の向こう側 ローファーも捨てて
余りのある有耶無耶こそ救われたよ
ほんの些細な瞬間
06.Silence/Outside
明かりのいとを
揺らさないでいるみたいに噤むのさ
暗い窓から外の音 間の数だけ伝わらないよ
深い森 花火が見えるよ 長い夢 桜が舞っている
君がいる霧の中 綺麗な嘘へ手を伸ばすほどに
優しくはないし冷たくもなれないし
君がほつれた糸を切る
それはさよならとは少し違うだろう
ああ そうだ 袖の匂いもまだ残る
これは春になり風に夜に溶けていくだろう
■Apple Music
■Spotify
05.Fiction Girl
言い表せられない憧憬がずっと先にある
十月の雨に仄暗くなっていく
名前を知ってしまったら実体を持ってしまうかな
意味を持たない所作で通り過ぎていく
君を見つけた
打算のないリズムに合わせ雨を避ける君の表情が
ステージ上 地明かりを再現している
屋根のないバス停に立ったら
「乾かない」と笑った
そうやって君は瞬間を体現し続ける
赤い季節を告げて透明な姿になっても
歳月が重くのしかかろうとする
04.Same (City) Lights
車両に残してきたあたたかい光の中 あなたはいる
惰性でも居られないような街
完成することもないものを見てる
選べるなら先に知りたいと思うかな あなたは
月明の飛沫に満ち溢れるような
プールサイドの光に消える
すべてが叶うと思った 僕らは点と点のままで
ありふれたことだと知ると
安心するようなあなたに似ている
歪さを歪さで知る街
間違い探しの正しい方をずっと探している
選べるなら今を生き
03.hanagumori
霞がかる春の陽の隙間を落ちてくるように
君は知らない都会の言葉を話していた
小さな体では消えてしまうほどの
孤独と都市を重ねて生きている君を美しいと思う
「美しい色」と言う
振り返る
「桜の花のこと」と言う
花ぐもりの季節にいるどこにもいない君を
僕は知ってしまった 図らずも君の生まれた日に
________「夕凪の頃の色を知っている?」
並行な日々を重ねてみたとして
浮かび上がるものがある
02.Byyourside
バスを降りたら抱えていた秘密が
常識みたいにそこにいたとして
もう大切とは思えなくなるのかな
ねえ 僕は今でも
減ったものもない? 得たものもない?
減ったものもない 得たものもないかな
未だに映るんだ 映画にならないような
ありふれた明かりが振り返ればあるから
「卑屈だった」って笑う
君だって光を纏う振りで余計に伸びている影
鮮やかさでは測れない君の行間を
無下にしないでいいんだよ
飄