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姿造り

いがらっしには愛読書がたくさんあるのですが、その中でも数十年選手がこれ。
『図解 包丁さばき百科』主婦と生活社 1990
最近の版ではDVDがついていたりするらしいのですが、いがらっしが持っている本は、紙質も悪く、黒・赤・緑の三色刷り。縦横無尽に大胆な図解と、的確な少量の説明が詰め込まれた本です。付属DVDは見たことがないので、何とも言えませんが、私の感覚では、ここまでよくできた本ならDVDがついてもつかなくても、必要な情報量は変わらないと思います。かえって、イラストでなく実写になったら途端にわかりにくい、といかいう事態も考えられます。
ちなみに、かわった紙質はひらいたまでパラパラ閉じてしまわないために選ばれているのではないかと思います。しかも、濡れた手で触っても多少なら大丈夫。
いままで買った料理本の中で、ここまで面白く、開くたびに新しい発見があり、しかも見ながら行えば成功する、という本はほかにはなかったように思います。
いがらっしは、寝付けない夜にベッドのなかで眺めたり、クルーズ旅行中の暇つぶしに使ったり、心がざわざわして辛いときの精神安定剤代わりに使ったりしております。

昨晩は遅い時間にスーパーに寄りました。すると旬真っ盛りの明石沖の鯛がなんと半額。迷わずパック握りしめ、ニヤリ、煮て食おうか焼いて食おうか。
正直、包丁実験にしてかまわない値段です。どうなろうが、食べればいいのです。結果に即した料理にしてしまえばいいのです。

楽しそうなので、姿造りに挑戦。セラミックの三徳包丁で鯛に挑むいがらっし。我ながら果敢です。
ん。案外いけるじゃないですか。いや、いけるは言い過ぎだ。いけないわけでもない、ぐらいですね。
以下、なじみのない作業から発見したことを列挙しましょう。

説明通りにやれば、なんとかなる。
欲や色気を出して、「うまくいっているかな?」と身をめくって確認したり、手つきを「改良」したりすると一気にうまくいかなくなる。以降、取り返しがつかない。
鯛といえども、右の身と左の身の厚みに差がある。泳ぎの癖?があるのだろうか。鯛ですらそんなことならば、人間に個体の癖があるのは当然のことだ。
左右の身の厚みに差があるととするならば、この鯛の体の中心とはいったい何だったのだろう。背骨の厚みの中心が体の中心とは限らないし、いっぽうで背骨の厚みの中心が体の中心だったとしたら、左右の体の動きは全く対照的であったわけではないだろう。そしてそれがその鯛には最適だったかもしれない。
私が身体に不具合を感じた時、たとえば右肩に違和感があったら、左肩と見比べたりして改善させていくのだが、このやり方がかならずしも最適に導いてくれるというわけでもないのかもしれない。
こんな能書きおいておいて、出刃包丁ほしいな。
夜は鯛めしと潮汁にしよう。

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