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そんな夜には

天井を見上げ、息を吸って、吐いて。それを繰り返すだけで二時間が経った。なんの生産性もない自分に嫌気がさしたけれど、どうやら二酸化炭素だけは生み出せていたらしい。やっぱり嫌だ。

長い人生でみたらちっぽけな時間だけど、自分を無価値だと思わないと生きていけない瞬間がある。この地球上で時が進むその理由に自分はこれっぽっちも関係なくて、私が今しゅわりと蒸発して消えたところでこの世界は問題なく回って。でも、それは、それでこそなのだ。私が消えて世界がどうにかなっちゃったら困る。重すぎて。いつ消えたって問題ないからあともうちょっと生きちゃおって、そのくらいがいい。

死にたい夜には遺書を書くのだ。本気で。
そうすると途中でふとこんなことをしている自分が馬鹿らしく恥ずかしくなって筆が止まる。ほんとうにもう無理ならば多分きっと私はもう死んでるから。ただの発作だと知らしめるための具体的な策。

不思議なもので、死んでから書き直せないのだと思うと綺麗な言葉ばかりが出てくる。死ぬ理由は一割にも満たなくて、あとの九割はいつも誰かに向けた感謝と謝罪。ぐずぐずに腐ってこの状況下に身を置いたはずなのに不思議なものだ。書いてるうちに「ああ、あの漢字どうやって書くんだっけ…」とか調べ出したらもう大丈夫。自分も人生のケツくらいは綺麗にしときたいんだなあと面白くなって終わりだ。

欠陥品の私はたまにバグを起こす。でも修理すればまた使えるから、捨てるにはまだ早いんだ。

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