出力のバグ
生きていると時折、「書きたいのに書くことがない」
という現象に見舞われる。
書きたいという衝動だけはあるのに、いざメモ帳を開くとなにも書けやしないのだ。すこぶる気持ち悪い感覚である。
「満たされている時には言葉が出てこない」というのは昔から思っていることで、それは私の最初の原動力が孤独や憤りや悲しみなどの吐き出し願望からくるものだからだった。形を変えて出力しなくては死んでしまうと思うくらいの感情。まだ育っていない青い心が選んだ表現のかたち。歌うでも暴れるでもなく、ただひたすらに書くこと。
昔の自分の文章をたまに読み返すとはっとする。
目を覆いたくなるものも多いけれど、満たされない苦しさを捏ねているその言葉たちはむき出しで、真っ直ぐで、鋭利で脆くて、嘘がない。
最近は自分のための言葉ではなくて誰かに届く言葉や物語を考えて書いているけれど、たまにはむき出しで何かを書かなければなにか大切なものを忘れてしまいそうで危機感を覚える。
満たされない夜や余白を大切にしたい。
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