禁足地・御蓋山へ特別に入山!初めての春日山錬成会 体験記
春日山錬成会(かすがやま れんせいかい)という、春日大社の行事に初参加してきました!
春日大社では色々な研修を行っています。
神職さんの講話が聞けたり、巫女さん修行ができたり(!)と、神道関係の色んな学びの場があるんですが、そんな研修の一つが春日山錬成会。
春日大社には、鹿島の神様・タケミカヅチノミコトが白い鹿に乗ってやってきた、という言い伝えがあります。
春日山錬成会では、その天下りスポットである御蓋山(みかさやま)や、御蓋山の背後に広がる春日山の神様たちを神職さんと一緒にお参りしていきます。
御蓋山は通常、一般の人は立ち入れない禁足地なのですが、春日大社を信仰する春日山錬成会の参加者は特別に入山を許されるのです…!
春日山錬成会は春夏秋冬の各シーズンで1回、開催されます。それぞれ春ノ峰・夏ノ峰・秋ノ峰・冬ノ峰といい、私が今回、3月中旬に参加したのは春ノ峰。
というのも、初参加の人は春ノ峰と秋ノ峰しか参加できないのです。春ノ峰 or 秋ノ峰の経験者のみ、夏ノ峰と冬ノ峰への道が拓かれるという仕組みです。
そんな初めての春日山錬成会の様子をレポートしていきます!
いと慌ただしき身支度
当日は朝8時半に、春日大社境内にある施設「感謝・共生の館」に集合。無数の鹿さんたちに行く手を阻まれながら、参道をずんずん進んでいきます。
感謝・共生の館に到着した時、8時20分くらいだったのですが、施設の中にはもう準備を済ませた参加者の皆様がズラリ。みんな早いΣ(・ω・ノ)ノ
到着後はタスクが色々ありました。
・白衣を着る
・ハチマキを巻く
・昼食のお弁当を確保する
・人型(ひとがた)に名前などを書く
※日頃の罪・穢れを移す形代となるもの。巡拝中に川に流す
・祈願串に名前と願い事を書く
※お参りする時に使う
初参加者はこんなタスクも。
・金剛杖(こんごうづえ/登山中に使う)に名前を書く
・神拝詞(しんぱいし/大祓詞など祝詞が書かれたもの)を受け取る
やること、めっっっちゃある!!!!!
「えぇぇぇぇ~~何からやればいいですか!? っていうか時間ない…」と割と焦りました😅
経験者の方に準備の仕方をちょいちょい教えていただいたり、名前を書く油性ペンを部屋中探し回ったり、金剛杖に名前を書く位置を間違えたりしながら、どうにか準備を終えました。
8時半集合といいますが、個人的には8時くらいに来てもいいくらいのタスク量でした。白衣とか、ハチマキとか、できるだけきれいに着たいですしね…!
【次回への教訓】
・8時半よりも早く行くべし
・油性ペンを持参すべし
大祓詞の猛省
それぞれ身支度など準備を終え、全員集合して出発前のご祈祷をしたら、いざ各社殿へ参ります。
まずは春日大社の摂社・水谷神社をお参り。祝詞の大祓詞(おおはらえのことば)を全員で唱えます。
ただですね…こんなガチな行事に参加しておきながら、大祓詞の意味を知らず、調べてもいないという大失態をおかしてしまいまして。。。
神拝詞に書かれた文字の字面だけをひたすら追いかけるという時間が続きました…😂 春日の神様がた、本当にごめんなさい……
帰宅後すぐに調べましたら、
・日本は様々な神様たちが協力してできた
・でも人間たちは悪いことを色々としでかして、罪・穢れを溜め込んだ
・そこで、罪・穢れを消し去る方法として神様が教えたのが神事や祝詞!
・神事や祝詞によって神様たちは願いを聞いてくれて、罪・穢れは一気に清められた!
・神様!こんな風に罪・穢れを祓い清めてください!
というように過去の事例を出して、「今回も昔のように祓い清めてください!」とお願いする内容のようでした。次回はしっかり頭に入れて臨みます!
※諸説あると思います。「こんな説・解釈もあるよ」というのがありましたら、ご教示ください。
⛩️ ⛩️ ⛩️
お参り後は、水谷神社の横を流れる川に、先ほど準備した人形(ひとがた)を流して、日頃の罪・穢れを文字通り水に流します。
皆さん、上手に川面に着水させていたのに、私の人形は川の傍に生えている木の上に乗っかってしまい、着水ならぁぁーーーず…😂
自分の分身がみんなから離れたところで置いてきぼりになっているようで、ちょっと悲しい気持ちに…。橋の脇の方から控えめに放ってしまったからかな…。次は橋の真ん中から流したいと思います!
【次回への教訓】
・大祓詞を予習すべし
・人形を流す場所は選ぶべし
いざ禁足地へ
春日大社本殿(大宮)と若宮神社にもみんな揃って参拝します。
お参りの時はどのお社でも大祓詞を唱えますが、神職さんが朗々と暗唱しているのを見て「スゲェェェ……」と圧倒されておりました😳 私の体感ではアレ、フルで唱えると4~5分くらいあるかなと……。それを一言一句たりとも間違えず、丸暗記しているということで。
きっと、Web系職種の人がパソコンを何の意識もせずに使えるみたいな朝飯前レベルで、祝詞が身体に染み込んでいるのでしょう…!
そして、いよいよ……
禁足地の御蓋山を登拝させていただく、その時が!!!!!
実は、春日山錬成会に参加したいと思ったきっかけは、「御蓋山にお邪魔してみたい」という気持ちからでした。
御蓋山のことは、「他の山とは違う存在感があるな」と、奈良移住して以来、ずっと気になっていたんです。普段は一般の人が立ち入れない場所ですが、そんなお山に特別に入山させていただけるということで、参加しない手はありませんでした。
御蓋山には、大宮と若宮の間にある「本宮神社遥拝所」という所から入らせていただきます。
「本宮神社」は、御蓋山山中にある春日大社の摂社。タケミカヅチノミコトが鹿島から奈良に降り立った、正にその場所なのだそうです。
山中は普段、人の出入りが基本ないため、舗装などは当然なく、獣道のような道を進みます。
登り始めたばかりの頃はまぁまぁなだらかで、サクサク登り進めていきましたが、徐々に傾斜がキツくなっていきます。
そのワケは…御蓋山が二等辺三角形のようなきれいな山型をしているから!
それで、上に行けば行くほど傾斜角度がキツくなっていくのです。ヒヤッとするくらい足元が急坂になっている所も割とあり、「あぁぁ滑り落ちそぉぉ~😭」と不安になることも多々…!
そんな山登りの最中、参加者のみんなで唱えていたのが、
「懺悔(サンゲ)、懺悔、六根清浄(ロッコンショウジョウ)~」
の文言!
修行者が山登りの時に唱える文言だそうですね。先導する人の掛け声の後に参加者が追いかけて発声する、コール&レスポンスなスタイルです。映像で見たことはありましたが、まさか自分が体験することになるとは…!
凛とした祈りの空気
思った以上にヒイヒイ言いながら登山していましたが、そんな中、感じたことがありました。
それは、何やら空気が変わったこと。空気が明らかに凛とした、ヒンヤリとした感じに変わり、俗っぽさがなくなり、「あ!何か世界が変わった!」という体感があったんです。
私は霊感とか一切ない人間です。なので、人間が普段立ち入らないところだから、体温のある存在が物理的にいなくてヒンヤリしていた、というのが最も現実的な要因かなと思いつつ……
同時に、俗っぽさがないということは、この場所を大事に思って、一般人は立ち入らないという原則をみんなでしっかり守ってきた、その現れだったのでは、とも思いました。つまり、あの凛とした感じは「祈りの空気」だったのでは、と……!
御蓋山の中心で願いを叫ぶ
今年は春分の日に雪が降るくらい寒い春ですが、そんな中でも大汗をかきながら、本宮神社に到着。
本宮神社では大祓詞を唱えた後、祈願祭を行いました。祈願祭では、参加者一人ひとりの名前と願い事を神職さんが読み上げてくださいます。
参加者数が多いからか、神職さん複数名で読み上げていったので、聴覚を猛烈に研ぎ澄ませました。すると…
聞こえました!!!!!
自分の名前と願い事!!!!!
しっかり読み上げてくださり、ありがとうございます…!
願い事は「国家安泰」「神恩感謝」みたいな漢字4文字にするのが基本のようです。
参加する数日前から「何にしよっかな~」と頭を悩ませ、「金運爆上」という不埒な4文字が頭をよぎった瞬間もありましたが😂、最終的にちゃんと穏やかな願い事にしておきました。自分も含め、全員の幸せを祈らせていただきました。これが一番!!!
ちなみに、神職さんの読み上げ中、色んな方のお名前を聞いていたら、名字と名前の間に「の」が入る人(源頼朝みたいな)と、入らない人がいて、ちょっと気になりました。
あの違いは何だったのか…単なるリズムの問題?(私は「の」が入っていました)いつか神職さんに聞けるタイミングでもあれば聞いてみようと思います。
名前と願い事読み上げの後は、出発前に準備した祈願串を使って、参加者全員一人ひとり、順番にお参りしていきました。
玄人たちの昼食
御蓋山を下山したら、春日山中の滝坂の道というハイキングコースを進みます。
江戸時代に整備された石畳があるため、御蓋山の山中よりはさほどワイルドさはない道ではあります。
しかし、普段コンクリートと共に生きる在宅ワーカーの私にとっては十分、息切れする山道なのでありました…!
思考を無にしてひたすら前へ、前へと進んでいき、道中の首切地蔵さんをみんなで参拝したら、
お昼ご飯です!!!!!
イェェェェェェェェェイヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ!!!!!
朝から身体を動かしまくって空腹の極みだったので、ご飯を食べられることに猛烈に歓喜した瞬間でした。
昼食は、出発前に集合場所で配布されたお弁当。それを自分で運びながら登山することになるため、このくらいのサイズの箱がすっぽり入るリュックサックがあると良いですね。
ちなみに、リュックの中に縦にして入れていましたが、この通り、ご飯もおかずも箱の中で定位置を守り抜いてくれていました。ありがたや…!
私はたまたま空いていた倒木をイス代わりにしながらご飯をいただきましたが、周囲を見渡すと、
・キャンプ用の折り畳みイス
・レジャーシート
・デザートのみかん
などなど、ランチタイムを快適に過ごす諸々のグッズを持参している先輩方の姿が。
中には、「食後の口直しにどうぞ!今年も阪神優勝!」と、参加者一人ひとりに手渡しでパインアメを配るおじさまも😂 次回はランチタイムグッズ、何か考えたいです!
【次回への教訓】
・大きいリュックサックを準備すべし
・ランチタイムグッズを考えるべし
水神様から雨の洗礼
昼食を済ませたら、春日山のさらに奥へ進み、鳴雷(なるいかづち/なるかみ)神社を参拝します。
古くから雨ごいが行われてきたという場所で、水の神様がいらっしゃいます。
ここでも、御蓋山・本宮神社と同様に祈願祭を行いました。参加者一人ひとりの名前と願い事を神職さんに読み上げてもらった後、祈願串を使って一人ずつお参りしていきます。
ちなみに、鳴雷神社に着く少し前くらいから雨が降り始めていたんですが、神事が始まったらピタリと止むというマジカルなことが起こりました。
水を司ってる様を目の前で見せてもらえた感じで気分上がりましたね…!
なお、鳴雷神社のほか、何カ所かのお社では大祓詞以外に、般若心経を唱える場面がありました。日本は神仏習合なので、その辺りはあまり違和感ありませんでしたが、何より驚きだったのが、
一般参加者の皆さん、当たり前のように般若心経を暗唱されていたこと(゚д゚)
奈良に来たらこういうシチュエーション、めっちゃ出くわすようになったんですよね…!
「えぇぇぇみんなスゴイィィィ……」と圧倒されながら、冒頭部分と「ギャーテーギャーテー」しか合わせられなくて情けない気持ちに。。。これも次回の課題です!
鳴雷神社の近くには、龍神に縁がある「龍王池」という場所も。ここの水は枯れないといわれているそうです。
鳴雷神社は古くは「香山龍王社」と呼ばれていたそうですし、めちゃくちゃ龍神スポットですね。そんな場所を辰年に訪れられたありがたさよ…!
鳴雷神社の参拝後は若草山をぐるっと周遊して、道中の神社にも参拝する、というコースが予定されていました。
が、その後、信じられないくらいの土砂降りとなり、予定変更でそのまま春日大社に戻ることに。もともとYahoo!天気でも小雨くらいの予報でしたが、全く小雨とはいえない雨量でした…!
鳴雷さ~んんん…?😂
ちなみに、山中の移動は圧倒的に雨ガッパが楽そうだったので、これも次回用意すべき物に加わりました。
【次回への教訓】
・般若心経を暗記すべし
・雨ガッパを用意すべし
パワフルな御神酒
朝に集合した「感謝・共生の館」に戻り、巫女さんによる神楽の奉納や、参加者へのお守りの授与などを終えたら、直会(なおらい)です!
神事に参加した人たちが一緒に食事をする儀式ですね。いわば、打ち上げです!!!
会場は、春日大社境内にある食事処・神仙境。同じテーブルになった他の参加者さんとお話しながら、お酒やお食事をいただきます。
テーブルをご一緒させていただいたのは、千葉からいらっしゃったご夫婦。関西だけでなく、全国あちこちから参加されている方もいるんです。
途中、各テーブルを回ってきたお酒がありました。
なんと…先日3/13に行われた春日大社の例大祭・春日祭で供えられた御神酒!!!「そんな貴重なもの、いただけるんですか!?」と、グラスになみなみと注いだところ…
アルコール度数、キツ過ぎました😂
いや、度数とか書かれていないんですが、スイスイとは決して飲みがたい、いと強きアルカホーでした。後で回ってきた日本酒が水のように思えるほど。
米粒も噛めるほど残っていて、「食べるお酒」のような飲み心地だったのも印象的。
こんなにパンチの効いた御神酒を供えるんですね…!パワーいただけた気がします。
初参加で色々と遠慮してしまい、他のテーブルには行きませんでしたが、「きっと面白い人がたくさんいただろうに、話しかけておけば良かったなぁぁ~」と終了後にちょっぴり後悔しました。
次回は勇気を出して、色んな方々に話しかけに行きたいなぁ~。
【次回への教訓】
・直会では、他の参加者の皆さんともっと交流すべし
初めて参加した春日山錬成会。
ずっと気になっていた御蓋山にお邪魔させていただいただけでなく、神様に思いを寄せる祈りの場をたくさん体験させていただき、とても得難い時間でした。
写真だけ見ていると、ものすごく山の中に行ったように見えますが、近鉄奈良駅から徒歩で行ける距離にある場所というのがやっぱり信じられないですね。
奈良の日常には祈りが自然に溶け込んでいると、暮らしていて体感するばかりです。
次回は経験者のみが申し込めるという夏ノ峰、参加したいと思います!
▼春日山錬成会の詳細
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