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なぜ優秀な若者が製造業に入らなくなったのか

皆様いかがお過ごしでしょうか。イガなおです。

ショートスリーパーが羨ましい今日このごろです。

今回から、文体を一人語り形式にしてみようと思います。このほうが、自分の率直な気持ちを表現できると思ったからです。
僕は、理路整然とした表現よりむしろ、他人の感情のこもった表現なり、行動なりを見て、今までモヤモヤしていた自分の中の気持ちや情報が、すとんと腹に落ちることがあります。
そうして吸収したものは、自分の血肉になり一生に渡って連れていくことができるので、とても大きな価値を感じます。
読者の皆様にも、そんな気持ちになってもらえたら嬉しいし、僕自身が書く意味が増すと思ったので、文体を変えてみます。

製造業の課題は人材確保だと僕は思う

今日は、なぜ優秀な若者は製造業に集まりにくいのか、ということについて考えたことを書こうと思う。


僕は前職では製造業の技術職をしていた。

それはもう古くからある素材メーカー、日系の大企業で勤めていた。

歴史ある産業なので、今更何を改善することがあるのかと思いきや、実態はとても多くの課題を抱えている。

世界のニーズ(エネルギー問題、脱炭素等)に合わせた新商品の開発や、需要変動に伴う生産工程の稼働停止・統合による固定費削減、市場内の競争力向上のための変動費改善など、やることは山積みである。

レイヤーを下げると、上記に対応するためには、過酷環境でも使用できるセンシング技術の向上や、ビックデータ活用、ナレッジ(ノウハウ)共有・技能伝承システムの構築などが必要だ。


特に、ノウハウ共有、ひいては人材の教育に関して、僕は大きな課題を感じている。

前職では、所属していた部署の性質上、様々な部門のプレーヤー達を取りまとめて旗振り役になることが多かったが、その中で、仕事はどこまでいっても最後は「人」で、一人ひとりの人材が持つ無限大の可能性を生かすことが最も価値と生産性の高い手法であることを、身にしみて感じていたからだ。

もちろん、システム化・仕組み化による属人性の低減も必要だが、それを構築するのも結局は「人」だ。

しかし、実態は、個人個人の能力が課題解決のために十分だとは思えなかった。

特に、チームの課題を自分事として捉え、進んでスキルを身に着けようとする学習意欲・学習能力のある人材が不足していると、職場の中で僕は感じていた。

他責思考だと言われても構わない。
僕はチームで何かをやるというのは、ある種、他人に権限委譲をすることだと考えている。だから、チームメイトの能力から目を逸らしてはいけないと思う。

こうした個人の意欲・能力は、世代が若くなるに従い低下する傾向にあると感じている(勿論例外はいる)。

なぜ優秀な若者が製造業に入らなくなったのか 〜原因と対策〜

なぜ優秀な若者が製造業に入らなくなったのか。

従来は、日本の高度経済成長の主軸であった製造業へ優秀な若者が集まってきており、各々が自律してスキルを磨き成果を上げていた。

しかし、いつしか「作れば売れる」時代が終わり、製造業の急激な成長は止まった。
それに伴って、優秀な若者は次の成長産業である第3次産業へ流れていった。


優秀な人が集まる業界の条件はなんだろうか。それを製造業に適用することはできないだろうか。

いつだったか、キンコン西野さんが、それは
稼げるか、モテるか
だと言っていた。

知人に技術職がいる人なら知っているかもしれないが、日系大手製造業総合職の収入は十分に高水準だ。

総合職の平均年収ランキングをみると、上位は高利益率の総合商社・広告・ITが占めているが、以下のように製造業も収入は高い。

42位 三井化学 1038万
46位 新日鐵住金(現:日本製鉄) 1020万
61位 住友金属鉱山 968万

(2019年時点 就職四季報より)


次に、モテるか、という視点で考えてみた結果、製造業はモテる条件を満たしていることが分かった。

製造業の男女比率から、男子学生を対象に考察してみる。

以下に2019年時点の女性が結婚したい男性の職業ランキングを示す。

・第1位 公務員(20.4%)
・第2位 会社員・サラリーマン(10.9%)
・第3位 医師(8.5%)
・第4位 弁護士(3.0%)
・第5位 営業職(2.0%)
・同率5位 警察官(2.0%)
・第7位 消防士(1.5%)
・第8位 教師(1.0%)
・同率8位 IT系(1.0%)
・同率8位 自営業(個人経営)(1.0%)
・同率8位 大工・土方系(1.0%)

マイナビウーマン

上記より、若い女性は、結婚したい男性の職業には以下3点の特性を求めていると推測できる。

 ・安定収入
 ・高収入
 ・社会的信頼

製造業は、前述の通り高収入であり、さらにB to B企業であれば収益基盤は安定しやすいので、上記の条件を満たしていると言える。


つまり、製造業は「稼げて、モテる」業界であるにも関わらず、優秀な若者が集まらない状態なのである。

では原因はどこにあるのか。

僕は地方勤務・東京勤務の差にあるのではないかと思う。


誤解を恐れずに言うと、僕は、仕事の能力と学歴には正の相関があると考えている。これはあくまで確率論だ。

すなわち、「優秀な学生」は偏差値の高い大学が多くある東京に集中していると言える。

東京にいる男子学生からすると、「モテる」というのは、当然身近にいる「東京女子からモテる」をイメージするだろう。

ここから、「優秀な学生」は「東京にいる女子」からモテるような職業を選ぶ可能性が高い、という説が浮上しないだろうか。


また、東京女子からすると、身近で働いている社会人から理想の相手の職業イメージを形成しやすいだろう。
ここで、都心で働いている高年収ホワイトカラーは商社、銀行、金融、IT系が多い
従って、地理的に、これらの職業に惹かれやすいのではなかろうか。

また、都心に住む若い世代はなんだかんだいって、東京から離れたくない傾向にある。
これは、利便性、豊富なコンテンツに価値を感じるためだ。
近年はSNSにより、都心で活躍するインフルエンサーから東京の良いイメージを受けやすいため、上記を加速させている。


物流や地価の都合により、工場や研究所は地方に多い。
従って、地方勤務の可能性が高い製造業技術職と結婚したい、とはなりにくいだろう。

まとめると、以下の地理的理由により、製造業は優秀な学生から選ばれないのではないかと僕は推定している。

 ・東京女子は東京にいる社会人男性からいいイメージを探す
   →地方勤務の製造業は接触するチャンスが少ない
 ・東京女子はなるべく地方に住みたくない


対策としては、以下のようなものがあるのではと、僕は考える。

 ① インフルエンサー活用による地方の権威付け(地方創生)
    …地方在住のインフルエンサーを育成する、東京のインフルエンサーを地方に移住させる等(製造業をアピールできるとなおよい)
  今の若い世代はSNSを中心に情報収集をしている。ここに脱東京への仕掛けを行うのだ。これにより、地方への移住の魅力を東京女子にアピールすることができる。

 ② 製造業技術職であっても、東京で働けるようにする(地方移住の防止)
   …遠隔ロボット技術の発達、テレワーク、業務効率化
   今の技術では、これはまだ難しい。また、技術者なら現場現物観察は外せないので、テレワークも推奨できない。



優秀な理系男子を製造業に引き入れるには、まず女子に受け入れてもらえる必要がある。

そしてこれは、どの業界でも同じことが言えるだろう。
時代の地固めをするのは若い女性なのだ。

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