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医学部小論文テーマ集②・「生命倫理」について

医学部の小論文では、頻出テーマがあります。年度によって新傾向の出題がされることはありますが、まずは頻出テーマに対する論述には問題なく回答できるように、基本的な知識を身に付け、文章を書く練習をしておくことが大切です。

以前、出題されるテーマをまとめた記事を書きましたが、今回からはそれぞれの項目について詳しく解説していきます。

初回の本記事は、「①生命倫理」についてです。

生命倫理とは


生命倫理=バイオエシックスと呼ばれています。定義は以下の通りです。
「生命科学の進歩によって出生と死への人為的介入が可能になった結果生じた,新しい倫理的諸問題に対処する応用倫理学の一分野。人工受精・妊娠中絶・脳死ならびに臓器移植などの問題について論じる。患者の自己決定権などをめぐる医療倫理とも関連。」
 

生命倫理が誕生した歴史


バイオエシックスという言葉は1970年代にアメリカで誕生しました。
それ以前は、医師の言うことに患者が従うパターナリズムという考え方が一般的でした。医師が自分の判断で患者に必要な医療を決定し実行していたのです。しかし、市民の消費者としての意識が高まり、四つの消費者の権利(安全の権利、知る権利、選ぶ権利、意見を聞いてもらう権利)がうたわれ、国民の意識が高まっていきました。こうして患者の人権運動がおこり、バイオエシックスという考え方が誕生しました。
 

医療現場における生命倫理


臨床では、様々な分野にまたがって総合的に人間の生命に関する倫理的問題に取り組みます。そのため、患者の感情や個性ある生き方を尊重し、患者を全人的な存在としてとらえ、一緒に考える姿勢が大切になってきます。この考えにより、「人権や人格の尊重」、「自己決定権の尊重」がなされるのです。
正当な医療行為については、上記の考えから患者は選択・拒否権を行使できます。ただし、すべての範囲で患者の意見が尊重されるわけではありません。技術的に危険であったり倫理的に問題があったりする場合には、正当な医療行為ではなくなってしまうので、このような行為を選択する権利は認められていませんので、その点には注意が必要です。
 

全人的医療とは


近代科学では人間の身体のみをみていましたが、現代では「人間は全人的な存在である」と言われています。全人的な存在とは、人間の身体のみに注目するのではなく、身体―精神―社会が複雑にかかわりあった存在であるということです。人間を全人的な存在として認識し、精神面や社会的環境を含めて患者と意志疎通し、理解しあいながら医療を提供する時代に変わってきています。
 
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