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医学部小論文テーマ集⑨・『ターミナルケア』について

医学部の小論文では、頻出テーマがあります。年度によって新傾向の出題がされることはありますが、まずは頻出テーマに対する論述には問題なく回答できるように、基本的な知識を身に付け、文章を書く練習をしておくことが大切です。

以前、出題されるテーマをまとめた記事を書きましたが、今回からはそれぞれの項目について詳しく解説していきます。

本記事は、『⑨ターミナルケア』についてです。

ターミナルケアとは


治癒の可能性のない末期患者に対する身体的・心理的・社会的・宗教的側面を包括した医療や介護のこと。延命のための治療よりも、身体的苦痛や死への恐怖をやわらげ、残された人生を充実させることを重視します。終末医療とも呼ばれます。
 
ターミナルケアではペインコントロールが中心となりますが、患者が抱える苦痛は身体的苦痛にとどまりません。身体的苦痛、精神的苦痛、社会的苦痛等、様々な面からなる全人的苦痛を抱えています。精神的苦痛は不安や苛立ちといったもの、社会的苦痛は入院に伴う経済的な問題や家族関係のトラブルなどです。ターミナルケアは、このような全人的な苦痛を緩和し、その人らしい生活が送れるようにすることを目的として行わなければなりません。

ホスピス


ホスピスとはターミナルケアを専門に行う医療施設のことです。また、患者が自宅で終末期を過ごす場合は、在宅ホスピスと呼ばれることがあります。
ホスピスにおいては、治療ではなく、患者のQOL(生活の質)の向上や患者の家族のサポートが中心となります。

しかし、日本ではホスピスの数はまだ少なく、望まれる量、質ともに不十分です。その人らしい死を迎えるためにも、ホスピスの普及は不可欠です。

チームでの支援


ターミナルケアにおいては、医師、看護師、ソーシャルワーカー、心理カウンセラー、宗教家、倫理学者、ボランティア等がチームとなって、患者に全人的支援(身体的、心理的、社会的支援)を行っていきます。患者が医師や家族には話しづらいことがあっても、宗教家やボランティアには打ち明けられるということもあります。様々なスタッフがそれぞれの専門性を生かして、協力して患者をサポートしていく体制が重要です。

終末期医療の選択肢


終末期になったときに、すべての患者がターミナルケアを望むわけではありません。スパゲッティ症候群になってもギリギリまで生き抜くことを選択する患者もいます。終末期にどのような医療をするかは患者の決めることであり、医師は患者の意志に基づいて対応するべきです。

デスエデュケーション


自身や身近な人の死をどう受容するのかを学ぶ教育がデスエデュケーションです。デスエデュケーションでは、普段あまり触れられない「死」と向き合うきっかけとなります。
ターミナルケアにおいては、患者やその家族が死を受け入れるための準備として、デスエデュケーションが必要となります。

本日はここまでです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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