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医学部小論文テーマ集③・『SOLとQOL』について

医学部の小論文では、頻出テーマがあります。年度によって新傾向の出題がされることはありますが、まずは頻出テーマに対する論述には問題なく回答できるように、基本的な知識を身に付け、文章を書く練習をしておくことが大切です。

以前、出題されるテーマをまとめた記事を書きましたが、今回からはそれぞれの項目について詳しく解説していきます。

初回の本記事は、『③SOLとQOLとは』についてです。

SOLとQOLとは?


まずは言葉の説明です。
SOL= Sanctity of life の略で、生命の尊厳のことです。
生命の尊厳とは、人間の生命はどのような状況にあっても絶対的に平等であるという考え方です。

QOL= Quality of life の略で、生命の質のことです。
生命の質とは、どのように生きるか、生命の内容を考えることで、人生や生活の充実度や有意義さを問題としています。QOLは医療に限らず日常的に使用する言葉ですね。

SOL重視の社会からQOL重視の社会へ


バイオエシックスの記事でも書きましたが、昔は感染症が疾病の中心であり、感染症が流行しているようなところで患者の生命を救うことが医師の役割でした。このような状況では患者の価値観や生命の質について考える余裕はなく、とにかく的確な治療で患者の生命を救うことが求められていました。つまり、SOL(生命の尊厳)を第一に行動していたということです。
しかし、現代になると、感染症の対策がなされるようになり、感染症で死亡する人が減っていきました。(コロナで最近は感染症による死亡者は増加していますが、、、)感染症に変わって台頭した疾病は生活習慣病です。こちらは今すぐに生命の危機であるということではなく、慢性疾患として生涯付き合っていく疾病であるため、疾病を抱えながらも快適に生活していくことが望まれるようになってきました。つまり、SOL(生命の尊厳)に加えてQOL(生命の質)が重視されるようになりました。
このようにして、現代では患者のQOL(生命の質)を重視する医療が望まれています。

QOL重視の医療とは?


どんな生活を送りたいかは患者によって異なります。そのため、QOL重視の医療では患者の人権を尊重し、患者の自己決定権を尊重することが大切になります。どんな治療を行うかを、患者の価値観や精神面、社会面を考慮して決定していきます。
例えば、不治の疾病に罹患している患者に対して、患者の価値観や意思決定に基づき、延命を第一優先にするのではなく、鎮痛の治療をメインにして、余生をより有意義に過ごせるようにするといったことです。

※社会的な面とは、どんな場所で誰と生活して、どんな仕事をして、どんな趣味をもっているか等のことです。

それでは、今回はここまでします。
ご覧いただき、ありがとうございました。

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