医学部受験生向け|数学勉強法、問題集まとめ

はじめに

「医学部受験の数学」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?

難しい問題ばかり出題されそう、思考力が問われそう、暗記では太刀打ちできなさそう‥という印象を持っている人も多いと思います。

たしかに医学部受験は理系の中でもトップクラスに難しい学部なので、そういったイメージがあるのは自然なことです。

しかし、「医学部受験は難関だからとにかく難問奇問対策をする!」というのは、実は間違った勉強法なんです。

・学校の先生や塾の先生が応用問題集をおすすめしてるし‥
・学校の同級生は難しいテキストをやってるから‥

といった理由で応用問題集ばかり演習した結果、全然成績が伸びずに困ってしまう、という受験生は少なくありません。

こちらのnoteでは、これまで300名近くの医学部進学者を輩出した指導経験を基に、医学部受験における正しい数学勉強法を解説していきます。

医学部数学のむずかしさとは

まず、はじめに整理しておきたいことは、「医学部の数学は何が難しいのか」という点です。
難しさを捉え間違えてしまうと、戦略も立て間違えてしまいます。
医学部受験の数学の難しさを最初に理解しておきましょう。

医学部の数学がむずかしい原因は、出題範囲の広さにあります。

医学部では、一部の例外を除くとほぼすべての大学で、数1A2B3が必須です。
数3まで必須の大学や学部って結構限られていて、数3がマストというだけで受験生にとっての負荷は大きくなります。

しかも、医学部受験では、基本的に理科2科目が必須となります。
理系の学部の中でも、理科は1科目のみとなっている学部も多い中、医学部受験では理科の出題範囲も広いんですね。

つまり、数学と理科のダブルパンチで、全体の試験範囲が膨大になっていることがわかります。

これによって何が起こるかというと、特に現役生であれば「単純に習得が間に合わない」という失敗が起こりやすくなります。
学校の進度が早くない場合だと、数3の範囲が全部終わるのは高3の秋、なんてこともあります。そこから問題演習を行って過去問を解いて…とやっていくと、どうしても受験までに間に合わない、という事態が起こります。

じゃあ、学校の進度が早い高校生や浪人生なら余裕があるかと言われたらそうでもありません。
医学部受験は範囲が広いので、受験本番どの科目どの分野が出てきても対応できるようにする」って結構(というかものすごく)大変なんです。
数学を極めようとしてどんどん時間をつぎ込んで、気づいたら理科が手薄になっていた、では医学部合格は厳しくなります。

全教科の総合点を上げるためには、ちゃんと戦略を考えて進めないとマズいんですね。

まとめると、医学部の数学の難しさは

・数1A2B3と範囲が広く、習得が大変であること。
・理科など他科目の範囲も広いため、限られた時間の中で数学を習得する必要があること。

となります。

医学部数学勉強法よくあるNG例

医学部を目指す受験生が最もやりがちな間違いとして、

①基礎力がないのに応用問題集を使用している
②数学の実力は十分にあるのに数学の演習に時間をかけ、他の科目が手薄になっている

という2つがあります。

基礎力がないのに応用問題集を使っても成績は伸びなやむ

①の「基礎力がないのに応用問題集を使用している」というのは非常によくあるケースなのですが、実力にあっていない応用問題集を使うと上滑りを起こします。

基礎が習得できていない状態で思考力を試す問題に取り組んだ場合、習得効率は非常に悪くなるということはご存知でしょうか。

基礎がしっかりと習得できている場合に応用問題を解くと、「いつもはこう解けるけど、なぜいつもの解き方では解けないのか」と考えることができます。

しかし、基礎の習得があやふやな場合、そういった思考過程をすっ飛ばして「新しい問題パターン」だと認識してしまいます。
問題同士の関連付けができず、別々のパターンとして認識してしまう勉強法では、新しい問題に出会ったり、少し問題をひねられると手が出なくなってしまいます。

このような勉強法では、「時間をかけて習得したのに、なぜか全然成績が伸びない」といった事態を招きます。
焦って背伸びした問題集に手を出すのではなく、まずは基礎を着実に固めましょう。

数学が得意だから数学を極める!というのは△

②の「数学の実力は十分にあるのに数学の演習に時間をかけ、他の科目が手薄になっている」というのも、よくある失敗の1つです。

先ほど書いたとおり、医学部受験は試験範囲がとにかく広くて、全教科全範囲をくまなく習得するのが大変です。
数学ばかりに時間を割いてしまい、英語や理科が手薄になってしまうと、いくら数学ができても合格可能性は下がってしまうんですね。

特に、数学は難易度によっても点数の取れ方が変わってくる科目でもあるので、
「数学で差をつけようとしたら問題が簡単で、周りとの差がつかなくなっちゃった」
「数学が急激に難化したせいで、得点源にできなかった」
みたいなことがあった途端に、一気に合格が遠ざかってしまいます。

そのため、まずは全教科で合格ラインに乗るくらいの基礎力をつけ、それができたら数学で引っ張れるよう演習をしていく、という戦略がおすすめです。

医学部数学対策のコツ

基礎が徹底できていれば合格ラインに達する大学も多い

基礎を徹底的に習得できていれば対応できる大学は少なくありません。
実際、基礎問題集のみの習得で医学部に進学する生徒は毎年多くいます。

これを聞くと、「難易度が低い大学に対してだけなのでは?」と思われるかもしれませんが、国公立・難関私立含め基礎問題集のみの習得で合格者が出ている大学があります。
その中には、浜松医科大学(国公立)や日本医科大学(私立御三家)など、数学の難易度が高くて有名な大学もあります。

基礎問題集だけで合格ラインに達することができるカラクリとしては、大きく2つの理由が挙げられます。

理由①:基礎的な問題が中心の大学

医学部の中には、基礎的な問題・オーソドックスな問題を中心に出題する大学があります。こういった大学では、応用問題の習得が合否を分けるというよりも、基礎の習得がどれだけ徹底できているかが大切となります。

中には、基礎的な問題を中心に出題するのに、受験生によって点数の取れ方が変わってくる出題形式をとる大学もあります。

どういうことかというと、

・制限時間の割に問題数が多く、ミスなく正確に解くのが難しい
・難問と基礎的な問題が混在していて、難問に時間をかけてしまうと基礎的な問題で落とす

といったものです。

「家で落ち着いてといたら高得点が狙える」では不十分で、「本番の緊張感の中でもミスなく答えを出すことができる力」が必要となります。

②全体的に問題の難易度が高い大学への対策

医学部の中には、いわゆる難問を中心に出題する大学もあります。
過去問をみると、「こんなに難しい問題を解けないと合格できないのか…。」と落ち込んでしまう人もいるかもしれません。

ひとつ頭に入れておいて欲しいのは、「難易度の高すぎる問題は合否に影響しないことも多い」ということです。
合格者を含めほとんどの受験生が解けないような問題が出題されることもありますが、みんな解けていなければ差がつくことはありません。

このような大学では、数学の合格点が低く、比較的解きやすい問題で点数を重ねれば合格ラインに持っていくことが可能なケースも珍しくありません。

「難易度の高い問題が出題されている」=「その問題が解けないと受からない」ではないので、目標は正しく捉えることが大切です。

数学が苦手な人へのアドバイス

数学は最も差がつきやすい科目です。

基礎的な問題がすらすら解けないような状態だと、英語や理科、国社にどれだけ時間を割いても、医学部合格の可能性は大きく下がります。

数学が苦手な受験生の多くは、数理的思考力の前に基礎ができていないことがほとんどです。
まずは徹底的に基礎固めを行い、最低ラインの習得を目指しましょう。

ただし、数学を得意科目にする必要もありません。

もともと数学が苦手な場合、数学を得意としている人と張り合えるほど数学を伸ばすのは至難の業ですし、かけた時間に対し思うような効果が得られないこともあります。

数学が苦手な人は、まず医学部合格の可能性のある基準に達することの習得を目指しましょう。
その後は、勉強した分得点に結びつきやすい理科や英語に力を入れた方が効率が良いと言えます。

実際に当塾でも、数学は最低ラインの習得にとどめ、理科や英語を重視したカリキュラムで国公立医学部・難関私立医学部に進学した卒業生は少なくありません。
最低ラインを固めたあとは、総合点を上げるにはどうすればいいかを考えましょう。


医学部数学勉強の注意点

まずは基礎を徹底的に固める
医学部を目指している人は上滑りをしてしまう傾向にあります。
特に数学は上滑りをしやすい教科であり、注意が必要です。

数学は基礎の徹底、本質の理解、高い計算力が最も重要であり、たとえ難関医学部であっても基礎の定着が何よりも大切です。

基礎の理解ができていない状態で難易度の高い問題集に手を出したり、難しい講義を聞くような勉強は時間の無駄です。
このような勉強法では、時間だけかかって成績がいつまでたっても上がりません。

できるだけ早期に数Ⅲまでの基礎を習得する
医学部受験における数学は、ただ解法パターンを暗記するだけでは不十分で、試験時間内に解法を思い付き、素早く正確に解けるようにしなければなりません。
丸暗記で一夜漬けで伸びる科目でもないため、できるだけ早期のうちに基礎力を底上げしておく必要があります。

特に現役生は、学校のカリキュラムにあわせていると数3の授業が一通り終わるのが高校3年生の夏や秋になるということがよくあります。
医学部では数3が頻出の大学が多く、直前になって解法を詰め込んでも医学部入試には対応できません。
できるだけ早期に数3までの基礎を習得しておくことが大切です。

具体的な勉強の流れ

①本質を理解する
各分野の基本の理解を大切にしましょう。

数学で安定的に高得点を取るために必要なのは基礎力です。基礎力なくして応用問題を解くことはできません。

本質が理解できていないのに問題演習だけを繰り返すと、ただの丸暗記になってしまい、本番で少しでも形を変えられると対応できなくなります。

本質の理解をするためには、講義型参考書を使うのがおすすめです。
まず、公式や定義などで曖昧にしか理解できていないものは、その意味や導出過程をしっかり抑えましょう。

そして、問題集で解けない問題があった時は、その解法を覚えてしまうのではなく、「なぜその解法になるのか」「どうしてその式変形を使うのか」といった疑問を持ち、講義型参考書に照らし合わせて解決していくことが大切です。

公式を丸暗記し、あてはめて解いているだけの状態にならないようにしましょう。

おすすめ参考書(講義型参考書)
やさしい高校数学1A2B3
理解しやすい数学1A2B3

②基礎問題の解法パターンを徹底的に習得する
理解ができたら、次は問題の解法パターンを習得していきましょう。
もちろん解答をそのまま覚えても意味はありません。
なぜそのような解き方で解けるのかをしっかり理解した上で、解法を習得してください。

まずは基礎問題の解法パターンを習得していきます。
基礎問題を習得するためには、基礎問題精講がおすすめです。
基礎問題精講だけでも多くの医学部に対応することができ、基礎問題精講の習得のみで医学部に合格した卒業生も多くいます。

おすすめ問題集(基礎問題集)
基礎問題精講1A2B3

③計算力をつける
医学部数学攻略において計算力はとても重要です。
少しのミスが合否を分ける医学部受験では、速く正確に計算できる力が必須となります。

計算が遅い・計算ミスが多いと感じている人は、単にそれを克服するための練習が足りていないだけです。

計算力をつけるのにおすすめなのは、合格る計算という問題集です。

計算力がつくと試験での得点力がつくのはもちろんのこと、時間あたりに解く量が増えるため、普段の勉強効率もあげることができます。

おすすめ問題集(計算問題集)
合格る計算1A2B
合格る計算3

④問題へのアプローチを学ぶ
解法パターンを習得したら、あとは問題へのアプローチです。
解法パターンを習得しても、問題を見て最初の一歩目が分からなければ得点できるようになりません。

アプローチ力をつけるために大切なことは、パターン整理と関連付けです。

様々な解法パターンを1対1で使えるようにするだけではなく、

「いつ・どこで・どのように使えるのか」
「なぜその解法を選択しなければならないのか」

を整理して習得することが大切になります。
まずは、同じ分野でしっかり解法や公式を整理し、次に分野を超えて個別の事項に関連性を持たせていきましょう。

また、模試や過去問演習後にしっかりと分析することも非常に重要です。

手が出ない問題に出会った時は、どうしたら一歩目のアプローチができるのか、自分はどう考えて、どこがダメだったのか、などをじっくり考えるようにします。
分析せずに解法をその都度覚えていくようでは、新しい問題にアプローチすることはできません。

アプローチ力は大切ですが、①-③がしっかりできていない限りアプローチ力を身に着けることはできません。
基礎という土台があって初めて、初見問題にアプローチすることができるようになります。

おすすめ教材
標準問題精講1A2B3
大学の過去問

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