別れればいいのに

 私は人の不幸を願う最低な人間だ。

 私の大学の医学部内にはカップルが多数存在する。同期同士であったり、部活の先輩後輩であったり、中には卒業した先輩と付き合ったりしてる者もいる。医学部男子と看護女子のカップルもあるあるだ。そして、こやつらの話は大体飲み会のネタにされる。「この間〇〇と△△が駅前歩いてたわ〜」や「〇〇と△△、喧嘩してるらしいよ」などを何度聞いたことか。まあ大学生なんて大体エロ猿だから自然と恋バナになるのは仕方ない、というか私も好んで恋バナをするときがある。しかし、私は最低な人間だから、こやつらの話を聞くと心の中でこう願ってしまうのだ。「別れればいいのに」と。

 私の中で許せるカップルと許せないカップルが存在する。許せるカップルというのは、他人にむやみやたらに自慢せず、SNSでもひけらかさず、大学でもアピールせず、でも幸せな関係は続いている、そんなカップルだ。つまり、許せないカップルというのはこの逆。彼氏彼女いるマウントを取り、SNSで匂わせまくり、大学でもひっつき虫のごとく隣にいようとする、そんなカップルが許せないし、オブラートに包まず言うと大嫌いである。

 普通の人の場合は、まあまずカップルの品定めなんてしないだろうが、たとえしたとしても、許せないカップルに対して、多少の怒りやモヤモヤ以上の感情は生まれないだろう。しかし、私の場合はさらにドロドロした感情が生まれてしまうのだ。「こんなやつら、別れたら面白いのにな」と毎度思ってしまうのだ。

 わかってはいる。なぜこのような感情が生まれてしまうのか。それは私が一度も恋愛面で満たされたことがないから。恋愛面で幸せになったことがないから、幸せになっている人を妬んでしまうのだ。正確に言うと、幸せアピールを堂々とするやつらに嫉妬してしまうのだ。

 こんな性格、辞めたい。最低な人間から脱したい。そのためにはもう、自分が幸せになるしかない。底辺でくすぶっている自分を、誰かに救ってもらうしかない。そう思っている。

 「別れればいいのに」と願わなくなるのはいつだろうか。案外近くのことかもしれないし、遠い先のことかもしれない。でも、流石にこの先もずっと最低な人間であり続けるのは嫌だから、いつかは願うのを辞めたいと思っている。願わなくなる日を夢見て、人の幸せを素直に受け止められる日を夢見て、明日も頑張って生きようと思う。今日はここまで。

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