大人になりたくなかった

 私が思う「大人」になりつつある。それがすごく嫌である。

 私が一年生の時、運動部の方がものすごくブラックだった。よっぽどのことがない限り週4で強制参加、一年生は雑務を押し付けられ、正規練習後にも練習があった。大会前は朝練も必須だった。先輩方は圧が強く、意見が通ることはなかった。そんな状況が嫌だった。だから自分が幹部代になったらブラックな指導はやめて、ホワイトな部活にしようと誓った。

 「大人」の恋愛観に関しても分からない面があった。もし失恋をしたら、仕事を頑張ったり、趣味を充実させたりすると忘れられるとよく言われる。それが私には理解できなかった。そんなことで忘れられないし、次の恋愛を探した方が手っ取り早いと考えていた。恋愛で生まれた傷は、恋愛でしか治せないと思っていた。

 でも最近はその考えが変わりつつある。

 いざ幹部代になると、先輩方の考えが痛いほど分かってしまう。私たちの仕事も多すぎて、後輩に雑務を押し付けるしかなくなるのだ。来てもらわないと仕事も進まない。練習しないと大会にすら出れない。後輩の意見を取り入れる余裕すらなかったのだと思う。だから必然的にブラックになっていた。今になってやっと気づけた。

 恋愛に関してもそうだ。たまたま仕事が多い時期に重なったというのもあるが、今は恋愛をする気持ちになれないのだ。ありとあらゆることを同時並行しなければならず、恋愛にまで脳を裂けない。忘れるということ以前に、仕事のことで頭がいっぱいなのだ。

 正直充実はしている。退屈することなく、むしろ忙しない日々を過ごしている。だけど、私はやっぱり「子供」でいたかった。「大人」の気持ちを知りたくなかった。いつまでも先輩に噛み付いていたかった。次の恋愛を追い求めていたかった。

 でもこのまま「大人」になるつもりはない。気持ちは分かるようになってしまったが、行動は「子供」のままでいたいと思う。頑固で意見が変わらない「大人」ではなく、柔軟に物事に対応していく「子供」でいたい。体力の無さを言い訳に動けずにいる「大人」ではなく、アグレッシブに成長し続ける「子供」でいたい。

 もう二十歳、ではなく、まだ二十歳。この精神を忘れずにいたいと思う。今日はここまで。

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