診療科別の需要予測、労働時間、コロナの影響まとめ

将来の診療科別の需要予測は?

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出典:医療従事者の需給に関する検討会
第28回 医師需給分科会診療科ごとの将来必要な医師数の見通し(たたき台)

上の表は、診療科別の将来の医師数を推計したものです。2024、2030、2036年の必要医師数と2016年時点での医師数との差を示しています。右端にあるデータは、必要医師数を満たすための年間養成数です。

上記データは将来の診療科の客観的な需要となります。将来、医師余りが起こると言われていますが、実際には医師全体が余るというよりは医師余りが生じる診療科が出てくるということです。上記表における2036年の必要医師数と2016年医師数の差をランキング形式にしてみたものが以下の表になります。

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上記データから考えると、最も食いっぱぐれがない科は内科、外科などのメジャー科です。

次に、整形外科、泌尿器科といった外科系になります。忙しい救急科もそれに続きます。

さらに、病理診断科、麻酔科、臨床検査科、リハビリテーション科といったハイポな診療科が続くのです。ここまでは、医師余りが起きないと予測されている科になります。将来、医師として食えなくなるのが嫌だという方はここまでの診療科を選ぶのが無難です。

ここからは、将来が医師余りが起こると予測されている科になります。

一番マシなのは、放射線科、形成外科です。放射線科はAIにより需要減が予測されますね。形成外科は美容外科を含んでおり、微妙に医師余になる予想です。

次に、小児科、産婦人科と続きます。少子化により需要減が確実に起こるからでしょう。

眼科、耳鼻咽喉科、皮膚科、精神科と続き、最も医師余りが起こると予測されている診療科は、精神科でした。

ただし、医師の働き方改革や総合診療専門医が増加してくるかといったことで診療科の需要は変化していくので、どれだけ正確な実情を表しているかは不明です。

しかし、内科や外科は不足しており、精神科、皮膚科、耳鼻咽喉科、眼科が余るという傾向は感覚的にも正しいと思われる方が多いことでしょう。なので、客観的なデータとしては現時点では最も参考になるデータと言えます。

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上の表は直近3年間の専攻医数です。診療科の将来を考えるには、需要だけではなく、供給(専攻医数)という観点からも考える必要があります。そして、専攻医数が需要に対して多いのかを判断するために、2036年の必要医師数を達成するための年間養成数と2022年度専攻医数の差も算出しました。上から順番に必要な養成数に対して、専攻医が少ない診療科になります。

2036年には医療需要自体が大幅に減少するため、ほとんどの診療科で専攻医数が多いという結果となりました。外科、脳神経外科、内科、臨床検査のみ現状の専攻医数ですら不足しているという状態です。

このデータから考えると、外科、脳神経外科、内科、臨床検査は将来安泰の診療科となると思われます。最も専攻医数が過剰なのは精神科です。

ただし、今後医学部の入学定員の減少やシーリングなどで調整が入ると思われるので、予測通りにはならないとは思います。しかし、精神科が今回考察したデータからは精神科過剰は間違いないのではないでしょうか。

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