ロボット手術の最前線
9/26開催 東京女子医科大学学会総会シンポジウム
『ロボット手術の最前線』に参加しました。
スマート治療室とは?
手術室では多種多様な医療機器・設備から発生する膨大な情報を医師やスタッフが限られた時間内に判断しつつ治療を行っている。
スマート治療室は、IoTを活用して各種医療機器・設備を接続・連携させ、手術の進行や患者さんの状況を統合把握することにより、
手術の精度と安全性を向上させる最先端の治療室。
スマート治療室「SCOT」(スコット)は、Smart Cyber Operating Theaterの略で、手術の内容が映像で記録されるほか、手術をナビゲーションするしくみや高精度な手術に必要な情報や画像の提供、手術中でもMRIを撮影して患部の確認を適宜行うなど、効率的で正確な手術が可能になる。医師の意思決定支援を行う。
参照:https://robotstart.info/2019/02/05/scot-award.html
以下最先端ロボット支援手術の現状について先生方のプレゼンテーション内容の一部を記述。
ex)泌尿器科領域におけるロボット手術(ロボット支援手術)
以下ロボットはダヴィンチを使用。
癌制御においては開腹手術とロボット手術は同等の効果だが、機能温存、周術期(入院、麻酔、手術、回復までの期間)においてはロボット手術の方が成績が良い。生殖器周辺の神経の温存がより可能になる。ロボット支援手術を使用することで明瞭な視野の確保、術野だけでなく超音波画像やCT画像、3D画像を同時にみながら手術が可能。
アメリカやヨーロッパではすでにほとんどの症例にロボット手術が用いられている。ロボット手術が最初に用いられたのは泌尿器科領域。奥まっていて繊細な手術が必要であることが応用範囲が広い要因の一つ。
ex)産婦人科領域でのロボット支援手術
東京女子医科大学産婦人科 船本先生
泌尿器科同様、明瞭な視野の提供や様々な情報画像の併用で手術が円滑に進められる。産婦人科領域で難易度の高い広汎子宮全摘出術もロボットの利用で円滑に行うことが可能になった。
ex)呼吸器科でのロボット支援手術の現場
東京女子医科大学呼吸器科 神崎先生
近年保険収載されたことで症例がとても増えた。呼吸器科の特性上ロボット手術の普及が難しいが、ロボット手術普及のためプロクター制度(指導医の設置)などの工夫をしている。
ex)消化器外科領域ロボット支援手術
藤田医科大学総合消化器外科 宇山先生
現行の腹腔鏡手術で合併症減少は可能なのか?
→傷口が小さいことのメリットはあるが、合併症の減少は難しいのが事実。合併症の減少にはロボット支援手術の導入が有効。
ex)心臓外科領域ロボット支援手術
千葉西総合病院心臓外科 中村先生
(専門的な言葉が多くまとめるのが難しい....)
衝撃的だったのは開胸手術とロボット支援手術での傷口の違い!ロボット支援手術では胸骨の切断も必要なく、傷口の大きさは雲泥の差。
しかし僧帽弁形成術の再発率はロボット支援手術よりも開胸手術の方が未だ高く、ロボット支援手術が凌駕しているとは言えない。よって心臓外科領域でのロボット支援手術では黎明期と言える。ただ2000年初期に比べて改善は見られる。