HLAと疾患まとめ

表記法

複雑怪奇で非常にわかりにくい。規約を読んでも専門用語のオンパレードで理解しにくい。また、何度か国際表記が変更されていて混乱しやすい。解説書も少なく(というより、表記法について説明されてるものが少ない)、断片的な知識で推測しなくちゃならず困った。
 理解しようと頑張ったが、いまいち自信が持てない。以下、暫定的な理解:

・HLAの分類
 クラスIに分類されるHLA-A、HLA-B、HLA-CおよびクラスIIに分類されるHLA-DR、HLA-DQ、HLA-DPがある(E、F、Gなど他にもあるが、臨床上重要なのは上の6つ)。父母からそれぞれのHLA遺伝子を1つずつ受け継ぐため、一人は(父母のHLAがすべて異なるとき)合計6*2=12種類のHLA遺伝子を持つ。
 HLA-B27等、-+アルファベットの直後に数字を書いた物は抗原型を意味する。対してHLA-B*28:04など、「*」と「:」がついたものは遺伝子型を表す。抗原型は血清学的検査(抗原-抗体反応)により分類されたもので、遺伝子型は遺伝子検査により分類されたもの。遺伝子型のxx:yyという表記は、「xx番と割り振られた遺伝子型(アロタイプ)で、その中でも(アミノ酸変異により分けられた)yy番のサブタイプです」の意味。
 T細胞は成熟過程でセレクションを受けるため、自分のHLA表現型を認識するT細胞は存在しない。他方、自分以外のHLA表現型を認識するT細胞は存在するので(つまり非自己の組織を攻撃するので)、移植時にはならべくドナーとレシピエントのHLAを合致させることが必要。
 クラスI遺伝子は1本のタンパク質鎖により構成される。クラスIIは2本のタンパク質鎖から構成される。

クラス1の場合(HLA-A、HLA-B、HLA-Cの場合)
・抗原型の表記:おなじみ「HLA-B27」等の表記。「この人のHLA-Bは27という番号が割り振られた抗原型です」
・遺伝子型の表記:「HLA-B*27:04」など、*をつけるもの。「この人のHLA-Bは27番のアロタイプで、その中でも4番という番号が割り振られたサブタイプです」。本当は「HLA-B*27:04:01:02」などのように:で4つの番号を区切るらしい。
*注意として「HLA-Bxx」は必ずしも「HLA-B*xx:yy」と一致しない(とはいえ「HLA-B*27:04」=「HLA-B27」のように、多くの場合一致する)。つまり、抗原型とアロタイプは必ずしも一致しない。異なる例として、例えば「HLA-B*15:01」は「HLA-B62」を示す(ちなみに「HLA-B*15:02」は「HLA-B75」に、「HLA-B*15:03」は「HLA-B72」に対応する。ややこしい)。アレル対応表を確認のこと。

クラス2の場合(HLA-DR、HLA-DQ、HLA-DPの場合)
・抗原型の表記:「HLA-DQ6」など。「この人のHLA-DQは6という番号が割り振られた抗原型です」
・遺伝子型の表記:クラスIIはβ鎖、α鎖の組み合わせでできている。さらにβ鎖は何種類か存在し、そのうち一つが選ばれて翻訳される。多くの場合、β鎖のみがHLA抗原型を決める。
「HLA-DQB1*06:02」などと表記され、「この人のHLA-DQのβ鎖は1番と割り振られた種類のもので、このHLA-DQのアロタイプは6番が割り振られたものです。6番の中でも、サブタイプは2番です」
*クラスIと同じく、「HLA-DQB1*xx:yy」は「HLA-DQxx」となることが多いものの、必ずしも一致しない。

HLA-B8

・疱疹状皮膚炎(linear IgA diseaseは含まない)

HLA-B27

・強直性脊椎炎
・急性前部ぶどう膜炎(強直性脊椎炎の合併症)
・乾癬性関節炎
・反応性関節炎
・炎症性腸疾患に関連した関節炎
関節炎が多い感じ

HLA-B51

・ベーチェット病

HLA-B54

・びまん性汎細気管支炎

HLA-B57

・アバカビルへの過敏性

HLA-B58

・アロプリノールでのSJS/TEN/DIHS(台湾)

HLA-B75

・カルバマゼピンでのSJS/TEN(台湾)

HLA-DR2

・後天性表皮水疱症

HLA-DQ2

・Celiac病:Celiac病では、ほとんどの場合これかHLA-DQ8のどちらかを持つので、除外診断に有効(陰性的中率>99%)

HLA-DQ6

ナルコレプシー

HLA-DQ8

・Celiac病:Celiac病では、ほとんどの場合これかHLA-DQ2のどちらかを持つので、除外診断に有効(陰性的中率>99%)

HLA-DRw3

・疱疹状皮膚炎(linear IgA diseaseは含まない)


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