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『パラサイト 半地下の家族』生きる世界と場所は決められているのか vol.257
韓国の格差的な社会情勢や地域課題を表現した『パラサイト 半地下の家族』をみました。
広告から意味ありげな表現がたくさんあるこの映画、前半部分と後半部分で全く違うニュアンスを感じる映画でした。
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キム一家は家族全員が失業中で、その日暮らしの貧しい生活を送っていた。そんなある日、長男ギウがIT企業のCEOであるパク氏の豪邸へ家庭教師の面接を受けに行くことに。そして妹ギジョンも、兄に続いて豪邸に足を踏み入れる。正反対の2つの家族の出会いは、想像を超える悲喜劇へと猛スピードで加速していく……。
もし、自分が同じ立場に置かれたとき、一体自分はどのような振る舞いをするのでしょうか。
さまざまな観点からこの映画は考えさせられる映画でした。
相容ることのない2つの存在
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この映画では上流階級と下流階級が織りなすストーリーを描いています。
しかし、そこには絶対に相容れない見えない壁があるのです。
お金持ちにはわからない感覚、貧乏にはわからない感覚。
その2つの混ざり合いが見事に表現されています。
生きている空間が全くもって異なるのでしょうがないことではありますが、見ているとそこに悲しさを感じさせられます。
それが、この映画の醍醐味でしょう。
自分が貧乏の立場だったらどうするか、、、。
自分が金持ちの立場だったらどうするか、、、。
おそらく金持ちであれば、この映画と同じように貧乏の家の感覚はわからず、人を人で見ないでその人を商品価値で判断していたかもしれません。
では、貧乏であればどうでしょうか。
おそらくこの映画のようなハングリー精神は生まれなかったでしょう。
ワクワク爽快感がハラハラ緊張感に
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この映画では貧乏一家のそれぞれが自分の持ち味を発揮して、少しずつ金持ちの家に雇われ始めます。
まさに寄生、パラサイトです。
金持ちの奥さんが騙されどんどんと貧乏一家を雇っていってしまう様子は、爽快感もありつつ、応援したくなる気分でした。
途中、金持ち一家はキャンプに出掛けます。
ここがチャンスとばかりに貧乏一家は豪邸で大騒ぎ。
しかし、そこに金持ち一家が返ってきてしまいます。
ここから展開は一気に変わります。
ワクワク爽快感から、ハラハラドキドキのミステリーホラー映画に。
金持ち家の地下にはさらに最下層民の住民がいたのです。
この映画における階は格差そのものを表しており、あらゆる場面で表現されます。
それは、心の表れ社会の表れ、あらゆるものを表現していてこの映画の象徴なのかもしれません。
どちらが正しいのか
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金持ちからすれば、貧乏人だろうとなんだろうとお金があるわけですから、対価交換が当たり前の世界です。
お金を払うから、それに見合うはたらきをしてほしい。
そこに、人としての関りは必要ない。
あくまでも雇う人と雇われる人。
貧乏一家は商品でしかないのです。
家族について踏み込んだ話をしようものなら険しい顔をします。
最後の場面でそれは顕著に表されています。
明らかに重症な人よりも真っ先に惹きつけで倒れた我が子を優先しようとする。
確かに気持ちもわかりますし、それが間違っているとまでは言い切れない。
何とも難しく考えさせられるものでした。
私たちは直接的に人をモノ扱いしてはいないかもしれませんが、発展途上国の貧しい人々が汗水書いて働いて作った製品を、簡単に捨てたりします。
その商品に対して、その先にいる人まで想いを馳せている人はなかなかいないのではないでしょうか。
そう考えると私たちもやっていることは同じなのかもしれません。
人は自分に与えられた環境に任せ、その通りに生きているのでしょう。
お金をもって入れば貧乏人の気持ちを知るなど到底難しいこと。
そんな自分の立場と、そして自分には見えていない世の中の人に思いを巡らせようと考える映画でした。
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