帰りがけに駅ビルの本屋でファッション誌を買うOL

 一年に頑張って十冊くらいは活字の本を読むようにしているが、本好きではないし本を読む習慣もまったくない。好奇心のギアを無理矢理トップに持っていって本を選び、分厚い本は2冊分にカウントするとかそういうことをしてギリギリ十冊だ。
 年間十冊だと月イチくらいでしか本屋に行っていないし、最近は電子で買うことも多いので実際はもっと少ない。つまり、僕が本を買ったり本屋に行く頻度なんて帰りがけに駅ビルの本屋でファッション誌を買うOLや、漫画を買う学生よりもずっと少ないということだ。
 いや、比べても何かになるわけではないが、そう考えると僕よりもよっぽど本好きなんじゃないかと思えたので勢いのまま書き始めてしまった。
 そしてタイトルもコレ以外浮かばなかった。騙されたと思って皆さんも声に出して読んで欲しい「帰りがけに駅ビルの本屋でファッション誌を買うOL」と、長いのに不思議とスラスラ言える。そりゃあもうスリジャヤワルダナプラコッテくらいスラスラ言える。


 お気づきの通りこれ以上書くことはない。何故ならこの記事は「帰りがけに駅ビルの本屋でファッション誌を買うOL」と言いたかっただけなのだから。
 しかし、少し視点を変えて無理矢理こじつければ寿限無と似た構造とも言える。いやむしろ現代版寿限無にもなりうると言っても過言ではない。
 まず最初に「帰りがけに駅ビルの本屋でファッション誌を買うOL」がどういう人物か紹介をして、次に「帰りがけに駅ビルの本屋でファッション誌を買うOL」が何をしたのかを説明する。そしてその話の中では代名詞を使わず「帰りがけに駅ビルの本屋でファッション誌を買うOL」と呼称し続ける。そうすると話し手が「帰りがけに駅ビルの本屋でファッション誌を買うOL」を如何に流暢に言うかがキモになる話が出来るわけだ。
 問題は、その話に誰が興味を持つのかということと、文章だと伝わりにくいということだけである。

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