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東京オリンピックが中止になったら莫大な損害賠償が発生する可能性は高いのか?

こんばんは。きむきむです。
今日も数ある投稿の中で私の投稿をご覧いただきまして
ありがとうございます。

さて、マスメディア等ではオリンピックが開催すべきか?中止すべきか?と言った議論が出ていますね。
私はこの投稿では、「賛成」や「反対」といった意見を言って説得するのを主旨としていません。
正直、中止にした時と開催した時のメリットデメリット、影響等が公開されておらず情報が整理されていないので判断できないため”分からない”となります。

ただ、時々

オリンピックを開催しないと多額の損害賠償が発生する

と言った意見を聞くと違和感を感じます。
そこで過去に契約書をいくつか結んできた経験からすると日本政府が関係各所と締結した契約書を想像して、損害賠償金が莫大になるかどうかを推測してみたいと思います。

まず結論からいうと、

膨大な損賠賠償金が発生する可能性は相当低い

のではないかという見解です。

国内取引でも海外取引でも基本契約書を締結する時はすごいエネルギーが要りますね。特に海外との契約書は分厚いボリュームがあって知恵熱が出そうになります。
私は物品の販売に関する契約書がほとんどでしたが、サービス(役務)でも
大まかな項目は変わらないと思います。
分厚い契約書の中で、気をつけなければならない箇所は全てと言えば全てですが、特に気をつけなければいけない項目は以下だ理解していました。

1.品質(仕様)及び言葉の定義
2.価格及び支払い条件
3.納期
4.遅延時の対応(遅延罰則や機会損失対応含む)
5.瑕疵担保責任
6.不可抗力
7.準拠法及び裁判管轄
8.契約の解除条項

1~3はいわゆるQCDですね。以前、QCDに関する投稿をしましたので合わせてご覧いただければ嬉しいです。

4も納期遅れ時に遅延金が発生するとかキャンセルできると言った決め事です。

5.の「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは漢字は仰々しいですが、商品・サービスを提供して不備・不具合があった時の責任の分担です。

6.の不可抗力は後述するので一先ず飛ばします。

7.の準拠法及び裁判管轄は、この契約書はどこの法律に基づいて決められたか?そして、訴訟(紛争)になった時はどこの裁判所で争うかと言ったものです。
例は乱暴かもしれませんが、例えば労務契約を結んでいる人がマリファナを吸っていたとします。日本の法律であれば違法薬物でこの人は罰せられるでしょう。しかし、合法の国であるカナダ・ウルグアイ・南アフリカの法律でこの労務契約が結ばれていたら、合法なので罰せられないかもしれません。
ということでどの国の法律かによって違法合法は変わってきます。一般的には契約当事者の国以外の中立国が多いと思います。

8.は契約期間、更新、解除と契約が履行されなかった時の違約金、損害賠償等の条項です。

恐らく、冒頭の東京オリンピックを開催しないと多額の損害賠償が発生するというのは、この項目「8.」が根拠でいっているのではないかと思われます。これは意図的に利益にならないことをしてしまったり、自分達の能力以上のQCDだったのに契約してしまった場合には十分あることかと思います。

しかし

ここで先ほど飛ばした「6.不可抗力」が登場します。

不可抗力とは

不可抗力とは英語でForce Majeure(フォース マジュール)と言いフランス語が語源となっています。
この不可抗力は契約書の履行が「天変地異」(Act of God)や人為的であっても制御不可能な出来事のために妨げられた時に限って、義務の不履行や遅延について免責すると言った一般条項です。

例えば、皆さんが賃貸で家主さんと契約をしているとして、あなたのお部屋の隣の部屋が火事になり延焼であなたの部屋が火事になってしまった場合は、部屋を燃えてしまったのとしても、制御不可能な項目であり免責になるでしょう。
(あなたは隣の部屋の住人に損害賠償を求めるかもしれません。)

また工場で製品を製造していて、地震で工場が被害を受けてしまい納期が遅れた場合にも工場は制御不可能な項目であり免責になるでしょう。

このように提供する側は想像できるありとあらゆる免責できる事象を契約書の中に書きます。例えば

 火災
 洪水
 爆発
 事故
 ストライキ
 労働問題
 産業紛争
 戦争
 法的制約
 暴動
 氾濫
 その他当事者の制御を超える理由

等が挙げられます。
従って、今回のコロナウィルスによる疫病は十分不可抗力に該当し
免責条項に該当すると思うからです。
国際的な契約書で”不可抗力”の記載のない契約書はないと思います。
さらに地震や台風等の天変地異の多い日本はどんなことがあっても絶対に盛り込んでいると思います。

逆にこれが盛り込まれていない、つまり「莫大な損害賠償が発生する」と政府が言ってしまうと、「契約の交渉能力が欠如しているのです」って自分達でいってしまっているようなものになってしまいます。

新築の住宅を建てた経験のある方なら、必ずといっていいほど建築会社と締結した契約書に、建築会社が”免責事項”を盛り込んでいるはずです。

従って実際には損害賠償は発生しないけど、発生すると言ったら皆、損失が怖くて開催の方向に世論が傾くだろう」と思ってこのような論調がでてくるのではないかと推測します。

冒頭の通り、今回の私の論点はオリンピックが開催されるべきか、中止にすべきかではなく、莫大な損害賠償を要求されるかどうかと言ったポイントに絞って投稿しました。

アスリートや観光、旅行、飲食店、広告宣伝、マスメディアの事を考えれば開催できたら良いなと思いますが、これ以上のコロナウィルスの感染拡大は絶対阻止しないといけないですし、これ以上の医療崩壊も起こしてはいけないと思います。お亡くなりになったり重症化される方も留めなければならないと思います。
どちらの方向であれ今年の夏が過ぎるころにはほぼ収束し、このような状況が繰り返されないことを願うばかりです。

今日も最後まで付き合っていただきありがとうございました。
明日も皆様にとって良い一日でありますように。

未来志プロデューサー きむきむ
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