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雑記

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雑記。ZAKKI。ザッキ。
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#新型コロナウイルス

雑記:11_マスクと文化について

以前コロナ・ピューリタニズムに関する記事を紹介した際に、次のような言葉でしめた。  「手洗い、うがい、入浴の習慣、土足禁止、おしぼりの文化などはもしかしたら、先祖たちが獲得した倫理観として半ば無意識的に我々は受け入れているのかもしれません」 コロナ・ピューリタニズムとは、自分自身が感染しているつもりで、相手と触れ合いなさい、という倫理観のことだった。この倫理観が未来に継承されてしまうことを斎藤先生は危惧していた。それに対して私は、この倫理観は時代とともにアップデートされる

雑記:10_モノとしてのコロナー公衆衛生ファシズムについてー(2)

前回の記事はこちら 精神科医の松本先生は、歴史学者のウィリアム・マクニールの言葉を借りてインドのカースト制度について次のように述べている。  「ヒンドゥー教のカースト制は、もともとは感染症の拡大を回避するための方策だったのではないか」  「実際、カースト制度には、階級を超えて身体的接触を持つことに対するタブーや、そのタブーをうっかり犯してしまった場合の身体の清め方に関して、実に念入りな規定があるそうです」 とても興味深い指摘だと思う。というのも、カースト制度はウィルス

雑記:9_モノとしてのコロナー公衆衛生ファシズムについてー(1)

前回「共生」について考えた。今回は、その中で触れた内容をもう少し深めて考えてみたい。 withコロナという言葉について考える際に私は、ウィルスをモノとして捉えようとしている。モノとして捉えるとはどういうことか。ウィルスは生物かどうか非常に曖昧な存在であるからである。したがって仮に無生物とした場合、それはモノだからである。 私の中でとてもしっくりきている例え話を紹介してみたい。例えば、イスについて。めちゃくちゃに汚れていて、釘が所々から飛び出していたり、どうみても足が腐って

雑記:8_共生(symbiosis)について

withコロナという言葉が生まれたため、4月に考えたことを再度検討してみたい。共生について。 最近、「共に」という概念について深く考えることが多い。先日、哲学者がコロナとの「共生(symbiosis)」についてコメントをしていた。 当初私は、納得したもののしばらく考えてみると違和感を感じるようになった。その違和感は、なぜウイルスに人称を与えてしまうのか、ということである。とりわけ、「あなた」に近い二人称を与えていることが不思議である。 敵とか共生という言葉には私とあなた

雑記:7_テレプレゼンス技術について

テレプレゼンス技術について。最近興味深い論文を読んだ。 「テレプレゼンス技術は人間関係を貧困にするか」というテーマの論文である。呉羽真さんによる論文である。テレプレゼンスとは、ミンスキーによる造語で、距離があるにもかかわらずまるでそこにいるような感覚を起こさせる状態を指すようである。zoomやwherebyなどのようなコミュニケーションツールがピンとくるだろう。 この論文では、身体的接触を欠いたコミュニケーションは人間関係を貧困するのではないかという批判に対抗するものであ

雑記:6

縦軸と横軸について。 昨日、市議会議員のおじいさんと話をしていた。彼は、どうやら市政に不満があるらしかった。コロナ騒ぎの中、地元ならではの対策を講じるべきではないかということだった。 国から都、都から市のように様々な要請が降ってきて、それをただ実行しているだけでは不十分である。都全体では、必要とされるような施策かもしれないが、地元では必要ないこともある。そういう画一的な施策に補助金が使われるのはいかがなものだろうか。市民の代表として、市長や市議会議員たちは地元ならではの施

雑記:4_コロナピューリタリズム、そして失われた環状島について

前回、私がとても好きな精神科医斎藤環先生の文章を紹介しつつ、雑感を述べました。 失われた「環状島」|斎藤環(精神科医)|note 奇妙な健忘   歴史上もっとも奇妙な健忘状態、その一つとして「スペイン風邪」を挙げたとしても異論は少ないだろう。鳥インフルエンザに起因するこのA型インフルエンザウイルス(H1N1亜型)は、全世界でパンデミックを引き起こし、最も多い推定で1億人が死んだとされている。 「環状島」とは何か、については是非先生の文章を読んでいただければと思います。

雑記:2

はんこ文化について最近考えている。 文化というほど、なぜ浸透しているのだろうか。浸透、の前に文化はなぜ文化たりうるのだろうか。そこには反復が関係していると思う。簡単な話で、なんらかの動作なり主義主張が反復されなければ浸透もしないし、それは文化になり得ないということである。 はんこを押す動作は反復である。ペタペタと押す作業はなんともリズミカルでともすれば快感になるかもしれない。しかし、必ずしも快感ばかりがあるわけではない。業務上仕方なくやる場合もあれば、なんども訂正しなけれ

雑記:3_コロナ・ピューリタニズムについて

別の投稿サイトで書いた記事。何故かこの記事だけアクセス数が伸びているためこちらにも載せてみようと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー コロナウィルスに関する様々な議論の中で、最も注目しているのが精神科医の斎藤環先生の論です。 昔から好きな先生なのですが、コロナに関するとても興味深い投稿をしています。 先生はコロナウィルスに対する世間の扱いはキリスト教における原罪の考えに近い、と言っています。それを、「コロナ・ピューリタニズム