見出し画像

ファジアーノ岡山 全外国籍選手列伝 その③ 2020~2023

みなさま、おひさしぶりです。

以前書いたこちらの記事の続編です。
今回は新型コロナ禍に見舞われた2020年から2022年12月現在に至るまでの外国籍選手の記事となります。おそらく、来シーズンには新しい選手の加入もありうると思いますので、その際は追記します。

それではどうぞ。

【追記】2024.2.17
2023年に加入したルカオ選手を追加し、一部選手に追記しました


2020年

この年を境に、世界は一変してしまった。前年末から密かに騒がれていた新型コロナウイルスが世界中で猛威をふるった年だった。世界中の都市でロックダウンが行われ、各国の経済活動も大幅に停滞した。エンタメ業界は影響を受け、大規模なイベントや興業は軒並み中断・中止となった。この年に予定されていた東京五輪もその影響は避けられず、翌年に延期することとなった。
この影響はJリーグ並びにファジアーノ岡山も避けることが出来ず、2月に行われたホーム開幕戦の後、しばらくの間試合を開催できなかった。緊急事態宣言が解除され、Jリーグ再開の最初の試合となったのはファジアーノ岡山のホームゲーム北九州戦だった。試合開催においては感染対策を第一に、座席制限だけではなく、応援の声や手拍子などにも制限がかけられることとなり、サポーターの声の響くスタジアムの風景は姿を消すこととなった。
チームの結果面ではリーグ戦中断による日程再編によって水曜開催が大幅に増え、過密日程となった影響からか勝ちきれない試合が続き、最終的に16位でシーズンを終えた。

パウリーニョ(MF、ブラジル、2020〜2021)

シーズン始動となるキックオフセレモニー開催の朝、ファジサポたちが会場となるイオンモール岡山に向かおうとするタイミングで突如リリースされたこの加入。これまでにも栃木や千葉、松本在籍時に敵として何度も立ちはだかった選手だけに驚きと歓喜を持って迎えられました。持ち味は中盤でのボール奪取能力と展開力。キャプテンマークを巻いたり試合によってはPKキッカーを担当するなどチームの主軸として牽引してくれました。まさに「昨日の敵は今日の友」との言葉通り。激しいプレースタイルとは裏腹にピッチ外ではとても柔和な性格で日本語も堪能。2022年現在は古巣の松本山雅に復帰し、現在も主力として活躍しています。

【2024.2 追記】
松本復帰後は2023シーズンいっぱいまでプレーし、現役を引退。引退後は松本山雅の強化担当に就任。15シーズンに渡る日本での経験を引退後にも活かしてほしい。

2021年

この年も前年に続き、目の前の試合だけではなくコロナとの闘いが続く年となった。「ウィズコロナ」の生活の中で如何にしてファジアーノ岡山というスポーツクラブチームが存在できるか、という点が問われた年だった。その中でも徐々に制限を緩和する流れが生まれていった。
チームにおいては怪我人の影響などで前半戦で結果が出ず、出遅れからのスタートとなったが夏補強が大きくハマり、順調に成績を伸ばしたが前半戦の苦戦が響き11位でシーズンを終えた。また、この年のシーズンを最後に3年間チームを率いた有馬健二監督は退任することなった。

ブレネー・マルロス(FW、ブラジル、2021.7〜2021.12)

ブラジル国内ではインテルナシオナルやボタフォゴなどビッグクラブを渡り歩いた経歴のある選手。当時のコロナ対策で新規入国の外国籍選手の入国などに大幅な制限があったことから、初発の報道からかなり時間がかかっての入団となりました。しかし、加入してからもなかなかコンディションは上がらず、結果的にその年の出場試合数は2試合に終わり、そのまま契約満了が発表されました。退団後は母国のセリエCのクラブでプレーしていたが、最近ペルー1部リーグのスポルティングクリスタルというクラブへの入団が発表された。

ミッチェル・デューク(FW、オーストラリア、2021.8〜2022)


日本では清水エスパルスでプレーし、その年開催された東京五輪に無所属の身ながらオーバーエイジ枠で選出されたオーストラリア代表の実力派FW。原靖強化部長と清水時代に接点があったことから加入に繋がりました。
J2では反則レベルの空中戦の強さと守備時は自陣ゴールエリアまで全力で戻ることも全く厭わない献身性が持ち味。加入して以降のファジの躍進に大きく貢献しました。
2022年のカタールワールドカップにもオーストラリア代表選手として選出。オーストラリア代表の4戦全てにスタメンで出場し、チュニジア戦ではカウンターの局面で技ありヘッドを決め、決勝ゴールを挙げるなど大活躍を見せました。この得点は息子さんのイニシャルである「J」を作るゴールパフォーマンスと共に世界中で報道され、「Fagiano Okayama」の名を世界中に広める立役者となりました。
日本でのお気に入りスポットはスシロー。週一ペースで海老天寿司やえびアボカド寿司に舌鼓を打つ姿がインスタに投稿されています。
2023年からは町田ゼルビアでプレー。

2022年

3年目となった「コロナ禍におけるJリーグ」に関して、この年は大きな動きがあった。この年の夏頃から徐々に声出し応援が段階的に解禁となった。ファジアーノ岡山のホームゲームにおいてはシーズン最終節の秋田戦においてCスタにGATE10からのチャントが響くことになった。
チームにおいてはこの年、Jリーグでの指導経験が豊富な木山隆之監督が就任。千葉・愛媛・山形で昇格プレーオフに進出した経験を持つ名将にチームは託された。強化面ではJ1で実績のある選手を中心にした積極的な補強に加えて高卒・大卒年代においても実力者を獲得した。
新監督初年度とあってかリーグ前半戦勝ちきれない試合が続いていた。そんな中、第8節のアウェイ山形戦で「担当審判員による明らかな競技規則の適用ミス」があったとして、Jリーグ史上初の再試合が実施されることとなった。Jリーグ全体を揺るがすこの決定以降、徐々にチーム状況は良くなり、最終的に史上最高順位である3位でシーズンを終えた。
プレーオフ1回戦の相手は前述の再試合の相手でもあるモンテディオ山形。リーグ戦ではその年一度も負けていない相手だったが立ち上がりの失点からチームを立て直せず、0-3で敗退。J1昇格の夢は来年に持ち越されることとなった。


チアゴ・アウベス(FW、ブラジル、2022〜2023)


原靖強化部長と清水時代に接点が(ry
持ち味は「悪魔の左足」と呼ばれる左足から放たれる強烈なシュート。開幕戦となったホーム甲府戦でさっそくその本領を発揮してくれました。ハーフウェーライン手前から放たれたロングシュートは大きな弧を描くように相手ゴールに吸い込まれました。このゴールは2月のJ2ベストゴールにも選ばれました。活躍はそれだけに留まらず、コンスタントにゴールを挙げJ2得点ランキング2位となる ゴールを挙げる大活躍でした。得点は多いけど、ゴールパフォーマンスで「お腹にボールを入れて駆け出す」「(遅延のため)空に向かってボールを大きく蹴り上げる」「スポンサー看板に登って『俺のゴールだぜ』アピールをする」など時間をふんだんに使ったゴールパフォーマンスで遅延のイエローカードを貰うのは玉に瑕。

【2024.2 追記】
2022シーズンは主力として活躍し、通算16ゴールをあげる大活躍を遂げた。2023シーズンもファジでプレーしたものの、怪我での離脱が多かったこともあり2022シーズンほどのインパクトは残せず、そのまま退団。2024シーズンはブラジルのシャペコエンセでプレーする。



ヨルディ・バイス(DF、オランダ、2022〜2023)


オランダの超名門フェイエノールトの育成出身で、日本では長崎・徳島・京都で実績を残し「昇格請負人」とも呼ばれる闘将DF。屈強な身体でバチバチ闘う以外にも正確な右足から放たれるロングフィードやサイドチェンジ、積極的な攻撃参加など攻守に渡る活躍を遂げ、2022年のJ2ベストイレブンに選出される大活躍をあげました。また、再試合となったアウェイ山形戦ではペナルティエリア内の間接FKを直接叩き込むなどFKの精度も高いです。
試合後インタビューでのコメント力が非常に高く、コメント公開の度にファジサポの琴線に触れまくっています。特に「我々はファジアーノ岡山なので決して諦めない」はクラブのスタイルを端的に述べるフレーズとしてハッシュタグ化しているほど浸透しました。
ピッチ内では闘将ですがピッチ外では非常に紳士的。笑顔もかわいいよ。

【2024.2 追記】
2023シーズンも引き続きファジでプレーしたものの、弱点であるスピード不足を突かれた失点など、やや精細を欠いたプレーが見られるようになり、本山遥や鈴木喜丈といった若手の台頭もあり徐々に出場機会を失い、2023シーズンを以て退団することになる。ホーム最終節での熱過ぎるスピーチでサポーターに惜別の涙を流させるなど、最後まで持ち前のキャプテンシーとコメント力を発揮してくれた。2024年2月17日時点でまだ所属先は発表されていない。どこかいいチーム見つかるといいな…。

ハン・イグォン(FW・MF、韓国、2022〜2023)

韓国では水原三星などでプレーしたドリブラー。アイルランドリーグへの移籍を予定したもののビザの関係で破断となり一時所属先が無くなり韓国2部のソウルイーランドFCでのプレーを経て加入。初の海外挑戦を岡山で挑むことになりました。
キープ力の高いドリブルが持ち味。加入当初はやや球離れの悪さがありましたが徐々にチームとの連携も向上。ハードワークも厭わないタイプであり、再試合アウェイ山形戦の2得点目のゴールは彼の献身的な前へのプレスが呼び込んだと言えるでしょう。2022シーズンのファジは外国籍選手が5名登録されていたもののJ2の試合エントリー数は4名まで。つまり必ず一人が起用できなくなるという状況において割を食うことになったのはこのイグォンと後述のムーク。立場的には厳しい状況でしたが、腐ることなく出場した試合では二人ともハードワークでチームに貢献してくれました。

【2024.2 追記】
2022シーズンこそスーパーサブとして要所要所で輝きを見せてくれたものの、2023シーズンはベンチにも入れない試合が続く。もともと海外志向が強かった選手だけに去就が気になっていたところ、マルタプレミアリーグのバルザンFCへの移籍が発表された。念願の海外でのプレー、持ち味のハードワークで思う存分暴れてほしい。


ステファン・ムーク(MF、オーストラリア、2022.3〜2023)


オーストラリアAリーグのアデレードユナイテッドの中心選手としてプレーしていた、A代表選出歴(出場はなし)もあるMF。現地では「アデレードの史上最高年俸を提示したものの、岡山がそれ以上を提示した」との報道があり、「我が軍、いつのまにそんな金満クラブみたいなムーブ出来るようになったん…?」とカルチャーショックを与えるに至りました。
コロナ対策で合流は少し遅れ、第4節のアウェイ町田戦でJリーグデビュー。しかし、その試合で交代出場後すぐにレッドカードで退場するという波乱のスタートとなりました。以降は外国人枠の問題からイグォンとの二者択一のような起用が多かったものの、出た試合では確かなテクニックとハードな守備でチームに貢献しました。アデレードではCHでプレーすることが多かったですが、ファジでは主にトップ下やシャドーストライカーとて起用。同郷のデュークとの相性は抜群です。
スタンドからもよく目立つ金色の髪が目印。ファジは染髪禁止ルールはありますが「金髪禁止」ではないのですよ。たぶん。

【2024.2 追記】
2023年も引き続きファジでプレー。なかなか定位置を掴むまではいかなかったが、出た試合ではほぼ必ずインパクトを残してくれた。特に印象的だったのは満員御礼となったホーム仙台戦。後半ATにCKから決勝点をあげ、満員のCスタを大いに沸かせた。2024シーズンからは古巣のアデレード・ユナイテッドでプレーする。
ちなみに件の「洗髪禁止」ルールについては2023年5月から正式に見直しされました。

2023年【2024.2 追記】


前年にJ1昇格へあと一歩まで迫っただけに、J1昇格への期待が大いに高まったシーズン。クラブも明確に昇格やJ2優勝を意識したプロモーションを積極的に行い、「Jの頂へ」というキャッチフレーズがポスターに躍るシーズンとなった。
しかし、ピッチ面では怪我による離脱者が定期的に現れるなどなかなかスタメンを固定できない試合が続き、勝敗にも現れなかった。負け数こそ前年と同じ10敗であったものの、引き分け数はリーグ最多の19を記録してしまうなど、勝ちきれない試合が続き、10位でリーグを終えた。
このシーズンのトピックとして、リーグ戦以外の面ではクラブのステージが上がったことを感じさせられる内容が多かった。まずは佐野航大がオランダ1部リーグのNECナイメヘンへの移籍である。高卒加入から1年半での欧州移籍は予想外だった人も多いと思うが、「岡山から世界へ」羽ばたいた彼の活躍はこれからのファジの歴史の中でも重要な1ページとなってくれるであろう。
また、U-18チームの躍進には目を見張るものがあった。3月に開催されたイギョラカップで初優勝を遂げると、夏のクラブユース選手権ではベスト4進出の快挙。そしてプリンスリーグ中国で初優勝を遂げた勢いで挑んだプレミアリーグ参入戦で勝利し、見事に2024シーズンからの高円宮杯プレミアリーグへの昇格を決めた。
そして、これまでも密かに話題が挙がっていたフットボール専用スタジアム建設についての動きがクラブからも積極的に聞こえるようになった。
リーグ戦の結果だけ見れば後退したように見えるかもしれないが、クラブ自体としては明らかに前に進んでいる事を実感できるシーズンとなった。

ルカオ(FW、ブラジル、2023.3〜)

2023シーズン開幕間もない3月に発表されたFW。これまでに鹿児島や金沢、松本などでプレー歴があるなどJリーグでの経験も豊富。加入間もないアウェイ水戸戦で途中出場からいきなりファジデビューを果たすが、コンディションが整っていなかった事もあり、ややもっさりとした動きだった。そこから試合を重ねる度にプレーも向上し、強いフィジカルを生かした強引なボールキープや上背の割に高いスピードなど献身性が高いプレーで身体を張ってくれた。ゴール数ほど多くないものの、チームへの貢献度が非常に高い選手である。2023シーズンは全世界的なインフレやドル高傾向が続き、Jクラブでも外国人選手の契約満了が比較的多かった。ファジでもその影響なのか、2023シーズンに所属していた外国人選手はほぼ契約満了となったものの、唯一2024シーズンへ契約を更新したのがルカオであった。


2019年に作成したその①・②から3年経ち、ファジに所属した外国籍選手が増えてきたことに加え、この記事にも述べたデューク選手のワールドカップでの活躍をきっかけに久しぶりに続編を作成しました。これから選手たちのどんな活躍が見られるのか、また今年の補強でどんな選手がやって来るのか、楽しみは尽きませんね。

ワールドカップをきっかけに、新しくサッカーの楽しさを知った人やワールドカップをきっかけに「ファジアーノの試合も見に行こう」と思ってくれた人たちにこの記事を活用してくれたら幸いです。

【2024.2 追記】
2023シーズンが終わり、いよいよ24シーズンを迎えるタイミングとなったので追記しました。2024シーズンがファジにとって飛躍の一年となることを願って。


それでは、ファジアーノ岡山を楽しみましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?