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ファジアーノ岡山 全外国籍選手列伝 その② 2014~2019【2022年12月追記】

みなさんこんにちは。



こちらの記事の続きです。今回は影山体制ラストイヤーの2014年から現在までの選手を振り返りたいと思います。特に現在在籍中の選手の項目などはご新規さんの「お誘い」の際に役立てていただけると幸いです。
それではどうぞ。



2014年

前年と変わって開幕からなかなか勝ち星を上げられず、ゆるやかなスタートとなった。この流れが変わったのは大宮からレンタルで途中加入した上田康太の存在。北京五輪代表の座を最後まで争った彼の存在によりクラブ記録である18戦連続無敗を達成するまでの躍進を遂げた。一時はプレーオフ圏内である6位以内をキープしていたが、秋から急に勝てない試合が続くようになり、最終的には8位でシーズンを終えることとなった。この年を最後にコーチ時代を含めると6年間クラブに在籍した影山雅永監督は退任。後任として当時ヘッドコーチだった長澤徹氏が就任することとなった。




ウーゴ (FW、ブラジル、2014)

J1昇格に向けて得点力のアップが急務とされてきたファジアーノにやって来たブラジル人FW。しかし、当時のチームが求めていたのは空中戦など最前線で身体を張る事ができるFWだったにも関わらず、彼のプレースタイルはどちらかというとキープ力や前線でのリンク役が得意な1.5列目タイプ。それでも期待された役割を果たそうと奮闘してくれたものの、やはりタイプに合わない仕事だったのか、半年の在籍で無得点に終わった。もし今のファジアーノにいたとしたら、赤嶺やヨンジェに裏を取らせるパスでチームにもっと貢献できたんじゃないか、と思うと実に惜しい気もする。



2015年

長澤体制初年度。悲願のJ1昇格に向け、ファジアーノは大きな勝負に出る。ワールドカップ日本代表歴のある岩政大樹・加地亮選手を獲得。岩政はチームのキャプテンとしてチームを統率する役割を任され、加地は長年Jリーグの第一線で活躍し続けた経験を伝えると共にファン感への大幅なテコ入れを行い人気イベントにまで発展させた。加えて、翌年のリオ五輪代表候補だった矢島慎也を獲得するなど、開幕前までは順調かに見えるシーズンだった。ところが、1年を通じて勝ちきれない試合が多いシーズンとなってしまった。これまでの3-6-1フォーメーションに経験豊富な選手を加えたことで守備力は大幅にアップしたものの、42試合中18引き分けという得点力の不足が課題となり、11位でシーズンを終えた。
この年、「勝っても負けても10,000人、晴れでも雨でも10,000人」を合言葉に年間平均観客動員数10,000人を達成し、その次の1(=J1)を目指すプロジェクトである「Challenge 1」がスタートした。このプロジェクトでは「観客動員数10,000人」という目標に向け、クラブ側はホスピタリティの向上を、サポーター側は新規観戦者へのスタジアム来場の「お誘い」を行うことでクラブを取り巻く全ての人々で達成を狙うというものである。




黄辰成 [ファン・ジンソン] (MF、韓国、2015)

2015年夏に京都から途中加入。韓国時代は高い技術とスピードからブラジル代表の名手に例えて「ファン・カカー」と呼ばれ、強豪浦項スティーラーズで234試合出場。2012年にはKリーグのベストイレブンにも選出される実力者だった。しかし、ベルギーリーグのAFCテュビズ時代に膝を大怪我した影響からなのか、京都でもファジでも目立った活躍を見せることは出来なかった。



曺圭承 [チョ・ギュスン] (DF、韓国、2015)

この年、ネクスファジには高校~大学年代の韓国の若手選手達がまとまって練習参加を行う機会が多かった。その機会を経てこの年のネクスファジに加入した選手の1人。182cmの長身を活かした高い守備力と、ストヤノフのような積極的な攻撃参加を持ち味としていた。JFL昇格後、なかなか勝利をあげる事が出来ず苦戦が続いていたネクスファジにとって大きな戦力となった。しかし、当時のトップチームには岩政大樹先生などCBの層が厚かったこともあったのかシーズン終了後に退団することとなった。





權路案 [クォン・ロアン] (FW、韓国、2015~2016)

こちらも練習参加を経て加入した韓国人選手。「高校卒業後ドイツに渡り、ハンブルガーSVの下部組織でプレーした実績を引っ提げて加入」というプロフィールから「なんか2年前にもそんな選手来てたやん?(その① ピアカイ・ヘンケル参照)」というツッコミが飛んできそうな経歴の選手だった。長身を活かしたプレーに期待が集まったものの、途中投入されたにも関わらず前線をふわっとした感じで漂うプレーに、愛情深きネクスサポからは頻繁に「ロアン!走れ!」の愛ある声が飛んだ。
2017年3月に韓国K3リーグのクラブに加入の報がTwitterにて流れてきたものの、現在もそこでプレーしているかは不明。今はどこの空の下で走っているんだろうか。




李京泰 [イ・キョンテ] (GK、韓国、2015~2017.3 2018~2020.10 )

練習参加を経てこの年加入した韓国人選手の3人目。長い四肢を駆使したセービングが特徴。普通のキーパーなら絶対に届かないコースのシュートも長い四肢でセーブする場面も数多く見られる。ネクスファジ活動終了後もチームに在籍。2017年にはレンタル移籍によりFC琉球でもプレーした。トップ昇格後は公式戦での出場はまだないものの、育成マッチデーでは長い四肢を活かしたセーブでチームの勝利に大きく貢献する事も多い。
ネクス時代から積極的に日本語を習得したことで、最近加入した若い韓国人選手の通訳がわりを務めることも。

【2022年12月追記】
転機が訪れたのは2020年。Jリーグ王者の川崎フロンターレに期限付き移籍。翌年も川崎に所属した。2022年からは韓国3部のクラブでプレーしている。



2016年

クラブにとって歴代で最も大きな「うねり」をホームタウンにもたらした1年だった。課題の得点力向上のため、J1で実績を残した赤嶺真吾とリオ五輪代表候補の豊川雄太を獲得。開幕前に行われたAFC U-23選手権ではファジから矢島・豊川の両名が選出され大活躍。日本の優勝に大きく貢献した。その後、矢島がリオ五輪代表に選出。日本代表は1次リーグ敗退に終わったものの、矢島は3試合目のスウェーデン戦で決勝点となるゴールを挙げた。
リーグではコンスタントに勝ち星を重ね、6位でJ1昇格プレーオフ進出を果たした。プレーオフ準決勝松本山雅戦では後半ATに赤嶺が劇的な決勝点を挙げ、決勝に駒を進めた。しかし、プレーオフ決勝セレッソ大阪戦では0-1で敗れ、あと一歩のところでJ1昇格を逃すこととなった。この年の平均観客動員数は10,017人。前年に掲げたChallenge 1を見事に達成した。
一方で、2009年から活動を続けていたファジアーノ岡山ネクストはこの年を最後に活動終了することとなった。


金珍圭 [キム・ジンギュ] (DF、韓国、2016)

この年の6月に加入。10代から韓国代表に名を連ね、2004年のアジアカップや2006年のワールドカップメンバーにも選ばれる実力者だった。岩政先生を筆頭にCBの層が厚かったことからバックアップが主であったが、出場した試合では持ち味である最終ラインからの正確なフィードでチームに貢献してくれた。特筆すべきはホーム瀬戸大橋ダービー讃岐戦での強烈なロングシュートとアウェイ松本戦(リーグの方)の矢島選手の同点ゴールアシスト。「昇格のためには絶対に落とせない試合」での活躍が光った。現在は現役を引退。古巣であるFCソウルでU-18チームの監督を務めている。
余談だが彼は2004年アジアカップのイラン戦において相手選手に中指を立てて挑発する姿が全世界に中継されてしまったという若気の至り溢れるエピソードがある。(そんな彼が「中指警察」と揶揄される松本相手に活躍したのは何の因果だろうか。)

王靖斌 [ワン・ジンビン] (FW・MF、中国、2016-2017.1)

練習参加を経てこの年の夏に中国の超ビッグクラブである広州恒大から加入。中国のU-22代表選手であったがチームがチームだけに強力にも程がある外国人選手たちに押されてリーグ戦での出場歴はなかった。186cmの長身でスピードも豊富。年代別代表のエースを務めるだけあって実力は高く、TMではなかなかいい活躍を見せていたものの、ファジでも公式戦に絡んだのは天皇杯でベンチ入りしたくらいだった。
翌年になって年始のチーム始動時の練習に参加はしていたものの何故か去就が発表されなかった(背番号発表の際に「レンタル延長で交渉中」と記載があった)。そんな中、U-22代表での活躍が認められたことから世界的名将リッピ監督率いる中国代表に召集された。中国でもファジでも公式戦出場歴がなかった中でのサプライズ彼はこのチャンスを掴み、クロアチア戦で代表初ゴールまで記録してしまう。この活躍を受けたのか、レンタル延長の話はいつの間にかなかったことに。しかし広州復帰後は層の厚さもありレンタルで転々としていた。そんな中、今年1月に乾貴士が所属するデポルティーボ・アラベスのセカンドチームとの契約が発表。去就が発表される度にファジサポたちを驚かせてくれる選手だった


2017年

J1昇格まであと一歩まで迫ったオフに激震が走った。チームの主力だった岩政は退団、矢島はレンタルバックで浦和に帰ることになってしまった。その一方、2011年以降チームを離れていた喜山康平が7年ぶりに復帰。キャプテンとしてチームを率いることになった。
しかし、絶対的エースの赤嶺がシーズン中何度も離脱した影響から1年を通して勝ちきれない試合が多く、昇格戦線にほぼ絡めないままシーズンを終えることとなった。最終順位は13位だった。
シーズン後、豊川雄太はレンタル移籍満了と共にベルギーリーグKASオイペンへ移籍。シーズン最終節での劇的なハットトリックでチームを救うなど順調にキャリアを積み上げつつ、オフにはふらっとCスタや政田に帰ってきている。
また長くJリーグを牽引した加地亮もこのシーズンを最後に引退することを表明。現在は箕面市のカフェで皿洗いとして勤務する合間、解説業としてたまに岡山に来ている。


パク・ヒョンジン (MF・DF、韓国、2017)

V・ファーレン長崎より加入した、サイドが主戦場のレフティー。加入の際のコメントにおいて「ファジアーノ岡山という名門クラブで…」という文言があったことから「別のチームと間違えてるのでは…?」とサポたちにちょっと不安を抱かせる波乱の(?)スタートだった。持ち味は左足の精度。正確なクロスからアシストを量産するだけではなく、この年のアウェイ金沢戦にてコーナーキックを直接叩き込むなどセットプレーも得意。しかしながら守備時のポジショングが非常に雑というプレーから、ヴェルディ→讃岐→松本を経てCBに魔改造されキャプテンとしてファジに帰って来た喜山康平からの激が飛ぶシーンが毎試合見られた。
試合の度に素晴らしいプレーとそうでない守備を魅せてくれたことで一部で熱狂的なファンを獲得。兵役の絡みから1シーズン限りのプレーとなったが、記録以上に強烈な記憶をサポーターに残した選手だった。
なお、一部twitter界隈で「パクさん」という呼び名が定着しているけど、韓国において「名字+さん」呼びは失礼に当たるらしいので、使用している人は少なくとも本人に対してはそう呼ばないようにしましょうね。
【2022年12月追記】
退団後は韓国の名門水原三星ブルーウイングスへ移籍。2020年から兵役のためK4リーグのクラブで1年半プレーし、兵役を終えてからは再び水原三星に復帰した。

チャン・ソグォン (DF・韓国・2017)

当時韓国のビッグクラブだった城南一和(現在は市民クラブ化され城南FCに名称変更)でプロデビューしたセンターバック。初の海外挑戦の場として選んだのがファジアーノだった。184cmの高さと対人の強さが武器だったが、最終ラインからのビルドアップ能力が高いキャプテンの喜山康平(いつの間にかCBにコンバートされていた)とのポジション争いで優位に立てなかった。シーズン終盤に一時スタメンを掴んだものの、運悪くそのタイミングで怪我で離脱。そのままシーズン終了後の契約満了が発表された。
現在はマレーシアスーパーリーグ(1部)のムラカ・ユナイテッドでプレーしている。
【2022年12月追記】
2022年からは同じマレーシアのケダ・ダルル・アマンFCに所属している。



ニコラス・オルシーニ (FW、アルゼンチン、2017)

2017年のファジアーノは、前年に主力として活躍しプレーオフ1回戦松本戦での劇的な決勝点でサポーターから「神」と崇められるようになった赤嶺が、開幕前から離脱を繰り返すシーズンだった。 その代役としての活躍が期待された長身FW。2016年にアルゼンチンのクラブから徳島ヴォルティスに完全移籍したものの、その直後に韓国のFC安養にレンタル。その年の8月にはオーストリア2部のSVホルンへレンタル。そして翌年の7月にファジアーノへレンタル、と籍こそは徳島にあったにもかかわらず徳島でプレーすることなくファジアーノでプレーすることになった。赤嶺の不在時に持ち前の高さと起動力でチームに貢献し、アウェイ熊本戦でJリーグ初ゴールを記録したものの、その年限りで徳島に復帰することとなった。…が、その数日後に今度はパラグアイのスポルティボ・ルケーニョへのレンタルが発表された。現在はアルゼンチン2部のクラブ・アトレティコ・サリメントでプレーしている。今回は完全移籍での加入だそうな。

【2022年12月追記】
ファジ退団後、アルゼンチンやパラグアイのクラブで着々と実績を残し、現在はアルゼンチン最大のビッグクラブであるボカ・ジュニアーズでプレーしている。


キム・ジョンミン (FW、韓国、2017)

赤嶺不在時の代役としての活躍が期待された長身FWその2。韓国の高校を卒業後、徳島に加入。徳島では通算96試合に出場。毎年着々とゴールを重ねていたため、J2というリーグでの順応は全く問題ない…かに思えたが半年間の在籍で出場はわずか2試合に終わった。
プロフィール写真の笑顔が素敵。守りたい、この笑顔。
【2022年12月追記】
ファジ退団後は韓国の2クラブでプレー。その後2022年にJ2のいわてグルージャ盛岡へ移籍。久しぶりのJリーグでのプレーとなった。

2018年

この年は岡山にとって忘れられない、忘れてはならない年となった。7月6日の夜から7日の朝にかけて発生した豪雨災害により、倉敷市真備町を中心とした県内多くの地域が被害を受けることとなった。ファジアーノサポーターの中にも被害を受けた方が多数おり(その中の一人であるゼロファジさんが当時の手記を公開されています)、クラブにとっては「地元のために何ができるのか」が問われた1年だった。豪雨災害以降、スタジアムには「がんばろう岡山」のバナーが掲示されるようになったと共に、スタジアム内外での募金活動や真備町を中心とした被災地訪問活動など復興支援活動が行われた。こういった活動は現在でも定期的に行われている。
また、クラブにとっても大きな転換期となった1年である。これまで社長としてクラブを牽引した木村正明氏がJリーグ専務理事就任と共に退任。新たに、ホームタウン推進部長などを歴任した北川真也氏が社長に就任した。
ピッチ上に関しては、開幕からスタートダッシュに成功。一時は首位に立つなど、念願のJ1昇格に向けて視界は良好かに思えた。だが、故障者の続出により徐々に順位を落とし、最終的に15位でシーズンを終えた。
このシーズンを最後に、ヘッドコーチ時代を含めて5年間クラブに在籍した長澤徹氏は退任。後任としてU-17日本代表監督を努めた有馬賢二氏が就任することとなった。



イ・ヨンジェ (FW、韓国、2018~2021)

ファジアーノ岡山の補強には1つの傾向がある。それは、「直接対戦時に活躍したなど、岡山戦を得意とする選手を積極的に引き抜くことが多い」というものである。この選手も、長崎・京都在籍時代の対戦時にゴールを決めるなど手強い敵であった。
イングランドのFCワトフォードやフランスのFCナントのユースを経て、ナントでプロとしてのキャリアをスタートした。日本ではJ2のプレー経験しか無いものの、韓国代表への選出歴があり、ロシアワールドカップ2次予選UAE戦でゴールも記録している。ファジアーノにおいては赤嶺に依存していた攻撃面の底上げが期待されたが、期待以上の活躍を見せてくれている。高い・走れる・シュート上手いとストライカーに必要な要素をすべて兼ね備えた選手で、かえって「ヨンジェ依存」を高めることになってしまった。これを書いている時点(2019年6月17日)でJ2得点ランキング1位タイ。怪我なく、J1からの引き抜きなくシーズンを終えることができれば(ここが一番大事)J2得点王も視野に入るパフォーマンスを見せている。
ゴール後に両手でハートマークを作るゴールパフォーマンスと、たまに更新するインスタでの奥様との韓流ドラマの告知ポスターみたいな写真で男子も女子もメロメロになっている。現在進行形の話で。
【2022年12月追記】
その後も長きに渡りチームの主力として活躍し、2021年シーズンをもって退団。現在は韓国の仁川ユナイテッドでプレーしている。実はプロキャリア初の母国でのプレーとなる。


チェ・ジョンウォン (DF、韓国、2018~2020)

大学4回生時にデンソーカップの韓国大学選抜に選出され、大会最優秀選手を獲得した実績を引っ提げてファジアーノへ加入。キャプテン喜山を怪我で欠いた2018シーズン開幕戦であるアウェイ徳島戦でいきなりスタメンデビューを飾った。その後は天皇杯での1試合出場のみに終わったものの、2019シーズンに再び開幕スタメンの座を獲得。それ以降もコンスタントに出場を続けている。
186cmの長身を活かした空中戦の強さが非常に魅力的だが、彼の最大の魅力は足元の技術。左足から繰り出されるフィードは戦術兵器として計算できるレベルである。その精度と破壊力は、4月の月間ベストゴールに選出された、仲間隼斗選手のホーム徳島戦でのゴールをご参照あれ。あっけないミスから失点を招く傾向があるため、これからしっかり経験を積んで堂々たるプレーを身に付けることができれば韓国代表の座も夢ではないだろう。
同い年のイ・キョンテ(2015年参照)と非常に仲が良く、一緒に遊びにいく場面も多いそうな。
【2022年12月追記】
ファジでは定位置こそ掴みきれなかったものの2020年までプレーした。その後は韓国の水原三星を経て現在は全南ドラゴンズでプレーしている。


リカルド・サントス (FW、ブラジル、2018)


セレッソ大阪からこの年の4月に加入。ブラジル出身だが、キャリアの多くをスウェーデンで過ごした珍しいブラジル人選手である。セレッソ時代はリーグでは目立った活躍はなかったものの、長身とフィジカルを活かしたプレーと高い献身性を武器に2017年のルヴァンカップで4得点を挙げ、チームのタイトル獲得に大きく貢献した選手である。にもかかわらず、怪我と外国人枠の関係から2018年当初は登録抹消状態となっていたことが加入のきっかけとなった。ヨンジェが怪我により離脱していた状況での加入に高い期待を集めたが、ファジでは得点を挙げることは出来ず、シーズン終盤には出場機会も得られなかった。現在はタイのチャイナートFCでプレーしている。
この選手の加入に際し話題になったのが、「岡山県内に小学生以上の子どもが通うことが出来るインターナショナルスクールが無いこと」である。さらに幼稚園・保育園までの年齢向けのスクールはあるものの、入れる児童数も限られている。タイミングよく空きがあったことから事なきを得たものの、翌年以降は小学生以上の子どもを持つ外国人選手ファミリーにとっては、「日本の小学校に通うか、隣県のインターナショナルスクールに通うか」という選択を迫られることとなってしまう。こういった点は選手獲得の場面において大きなデメリットとなるだろう。「クラブの成長」には「街そのものの発展」も時としては求められるのではないか、と思わせられるエピソードであった。
【2022年12月追記】
ファジアーノ岡山退団後はチャイナートFCを始めとしたタイの3クラブに所属。現在はウタイターニーFCでプレーしている。


ジョン・チュングン (FW、韓国、2018)

この年の7月に横浜FCから加入。U-15韓国代表でのプレーがきっかけでフランスのFCナントのユースに加入。その後セカンドチームへ昇格したもののトップでの出場機会は無かった。一瞬でトップスピードに加速するスピードが持ち味だが、184cmの高さを活かしたプレーでも優位に立てるFWである。2得点とゴール数こそ少なかったが、2018シーズン後半を主力として活躍した。現在は町田ゼルビアでプレーしている。
「FCナント出身」の経歴でわかるように、前述のヨンジェとは2010年~2013年の間、在籍が重なっている(チュングンはユース在籍、ヨンジェはトップ)。その事がファジ移籍の決め手となったそうな。

【2022年12月追記】
町田では2020年までプレー。現在は慶南FCに所属。


2019年

有馬体制初年度の今年はピッチ上での大きな改革から始まった。影山体制2年目の2011年から継続して採用していた3-6-1フォーメーションから4-4-2へ変更。その影響からか開幕からの立ち上がりはゆるやかなスタートだったが、5月中旬頃からチームの戦術面が浸透し、調子が上向きになっている。これを書いている時点(2019年6月17日)ではプレーオフ圏内まで勝ち点差1の8位で上位を虎視眈々と狙っている。いざ、J1へ!
【2022年12月追記】
その後、コンスタントに勝ち星を積み重ね、その時点でクラブ最多勝利タイとなるシーズン18勝をあげたもののプレーオフ圏内には届かず、9位でシーズンを終えた。

レオ・ミネイロ (FW・MF、ブラジル、2019~2020.8)

現在、ファジアーノ岡山の背番号10を背負うFW。2015年に加入した岐阜では2年間でリーグ戦21ゴールを挙げる大活躍。韓国やカタールやクラブを経て加入した福岡では、半年で4ゴールとゴール数は少なかったものの、そのほとんどが試合終了間際の同点ゴールや勝ち越しゴールであった。完全移籍でファジアーノへ加入した今期、現時点ではまだノーゴール。爆発的なスピードと瞬発力を活かしたゴールへの推進力に加え、守備面での献身的なプレーも得意。記事を書いている時点では怪我による離脱からの復帰直後。一日も早い試合での活躍が期待されている。
モヒカンを横に流したようなヘアースタイルがトレードマーク。トップスピードでピッチを駆け抜ける彼のプレースタイルと共に派手な印象を残す選手である。
【2022年12月追記】
期待はされていたものの、怪我の影響などで出場機会は少なく、2020年8月にJ3のFC今治に完全移籍。しかしそちらでも定位置を掴むことは出来ず、翌年いっぱいで退団となった。


ハディ・ファイヤッド (FW、マレーシア、2019~2020【沼津レンタル中】)

画像向かって右。左のなんとなく名古屋章っぽい顔のおじさんは鈴木徳彦GM。
マレーシアU-23にも飛び級で選出される、同国の期待を背負った大型FW。かねてよりJリーグ挑戦を熱望しており、とあるスポンサー(画像の左上に注目)の協力を受けながら2018年夏頃からいくつかのJクラブへ練習参加を行ってきた。そういった縁もあり、今期よりファジアーノに加入することとなった。長身を活かしたプレーに加え、DFラインの裏を取るプレーも得意。TMや育成マッチデーでは結果を残しており、今後トップでの活躍が期待される。
実は岡山県では、マレーシアの旅行会社と提携を組み、ムスリムの観光客を誘致する活動を行っている。こういった側面からも、彼への注目度は高い。実際にCスタでのファジの試合前後において、マレーシアから来たと思われる観光客の方々が、サポーターが掲示した横断幕の前で記念撮影をする場面が見られることもある。
【2022年12月追記】
2019・20年とトップチームでの出場機会が無く、2021年に期限付き移籍でJ3のアスルクラロ沼津に移籍することになった。しかし、その年の3月に右膝前十字靭帯断裂の大怪我を負うことになった。一年にも及ぶ離脱期間を経て、翌年2022年4月のヴァンラーレ八戸戦で途中出場。これがマレーシア人として初のJリーグ公式戦出場となった。

ユ・ヨンヒョン (MF、韓国、2019~2022.3)

実は2015年の時点(当時は高1)からファジに練習参加しており、2015年にネクスに途中加入した韓国人選手3人の際に触れた「韓国の若い練習生たち」の1人が彼であった。クラブはその頃から継続して彼をチェックしていたそうな。高校卒業後、韓国のクラブチームSOL FCでプレーしていた頃に加入が決まった。中盤の底の位置でのゲームメイク能力が高い大型ボランチ。守備力も高い。これからの成長が楽しみな逸材。
【2022年12月追記】
その後、2022年開幕直後までファジに所属したものの、なかなか定位置を掴めず、3月に山田恭也選手とともにJFLの高知ユナイテッドに期限付き移籍。しかし、山田選手がチームの主軸として活躍する一方高知でもなかなかチャンスがまわって来ず、7月に韓国2部の慶南FCへ完全移籍した。

デネル・ピニェイロ (MF、ブラジル、2019.1-2019.3)


これまでファジアーノに加入したブラジル人選手は、ある程度Jリーグで実績を積んだ選手が多かった。しかし、この選手はファジが初来日となった。ブラジルのフィゲイレンセFCの下部組織出身のボランチである。
そんな彼の加入リリースに掲載されていた画像がこちら↑。やたらと画質が粗い画像に「もうちょっとマシな写真無かったのかよw」「古いガラケーで撮ったのかな?」とサポたちのツッコミが集まった。また、ブラジルから直接ファジへの加入だったため、プレーの参考になるのが(恐らく代理人が作成したと思われる)YouTubeのプレー集のみ。ファジサポたちはリリース以降、まだ見ぬ謎のブラジル人大型ボランチに夢を募らせるオフを過ごした。
守備的MFとして主力だった塚川孝輝が移籍してしまったため、期待を集めたものの、膝の古傷が悪化したのか練習やTMでもなかなかプレーを見ることができなかった。そんな中、3月上旬に突然の契約解除のニュース。怪我の治療に専念することが理由とされていた。謎に包まれた逸材は謎のまま帰国することとなってしまった。
通訳も務める強化部の平安山良太氏からのアドバイスを受け、加入直後から始めたInstagramを見るとファジのウェアを着てリハビリに励む彼の姿が。実質2ヶ月程度の在籍ながらファジへの愛着を持ってくれている模様。いつの日か、また会えるといいな。その時は万全のコンディションで。(味方として、の場合のみ)
【2022年12月追記】
ファジ退団後はブラジルのいくつかのチームを渡り歩き、2022年12月現在はCNマルシリオ・ジアスというクラブでプレーしている模様。

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2回に渡り、ファジアーノ岡山に所属した外国籍選手を振り替えってまいりました。これから選手たちのどんな活躍が見られるのか、また今年の夏補強以降どんな選手がやって来るのか、楽しみは尽きませんね。

また、この記事をきっかけにファジアーノ岡山というクラブに触れた方がいたとしたら、今後の参考にしていただけたなら書いた甲斐があったなと思います。

この続きは、是非Cスタでどうぞ!!

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