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スピンアウトvol.1 お家ホテル化計画 乾燥機に入れられるホテルタオル

「ねえ、このままじゃ家族の思い出がなくなっちゃうよ」

妻がユーチューブを見ながら笑う息子を見ながら言った。背筋にぞくっとしたものを感じて「リゾート気分になれるホテル」と検索をかけ、近場にあるホテルをすぐに予約した。

当日、ホテルの外観からロビーに入るまで、生い茂る観葉植物を見ながらなかなか良い選択をした自分を心の中で褒めた。部屋の扉を開けると間接照明がベッドや化粧台を浮き上がらせている。息子はベッドをトランポリンがわりにして数回飛び跳ねたあと、すべての備え付けのものを物色し始める。

「タオルもたくさんあるよ」そう言いながら、妻と私の分のタオルを渡してくれた。

「家で使っているものより、少し固めだけど、ゴシゴシふけていい。こういうのって意外とお店には売ってないよね」妻が言う。確かにそうだなと思いながら、タオルを持ち息子を連れて大浴場へ向かった。

「しっかりとした肌触りで、吸水性がよく、家で使っているものより少し硬いタオル作れますか?サッパリとしていてゴシゴシふけるのが欲しいです。いいホテルで置いてあるタオルです」

月曜の朝の電話は、今治のタオルメーカーさんの火を付けた。まず、ホテルに収めているタオルメーカーと、一般のお客様に向けてタオルを製造しているメーカーは違うことが多い。ホテルのタオルは、使用後、タオルを回収して、リネンサプライ屋さんが洗濯をする。もちろん乾燥機も使用する。

通常売られているタオルは、乾燥機を使用できないことをあまり知られていない。一時的にはふんわりとするが、タオルの繊維が壊れてしまうので長持ちしなくなるのが理由だ。それに比べ、ホテルに収めるタオルは、太い繊維を使って織られているためタンブラー乾燥に耐えられる。その結果、柔らかさよりもしっかりとしたタオルが出来あがる。

乾燥機付きを使用している家庭は洗濯機をしようしている家庭の81%になる。サッパリとしていてゴシゴシふけるタオルは、実は今の生活スタイルに適したタオルなのではないだろうか。少しニヤニヤしながら、サンプルとして出来上がったタオルでゴシゴシと体を拭いた。

「家で使うことを考えるとフェイスタオルより少し大きいサイズが丁度いいんじゃない?」そんな意見を聞いてないふりをしながらちゃんと意見を反映し「34cm×95cm」と大きめフェイスタオルのサイズにした。まずは色はホワイトのみで、家をホテルにするべく、いつの日か多色にもトライできるといいなと考えている。


筆者:家ホテル オーナー  加藤 五月  
株式会社ファイブ 代表  
地方のメーカーさんと楽しいことをしようと始まりました。
デザイナー 、ECショップを運営
著書 「Hello I'm JAP!! 」が金風舎から販売中
https://kimpusha.co.jp/20221212-3/


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