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【対談】山﨑健太×魚田まさや×福井歩、イエデイヌ企画『エリカによろしく』(後編)

2023年11月24日(金)~26日(日)、三鷹・SCOOLにて上演された『エリカによろしく』。イエデイヌ企画3年ぶりの新作は、ロイヤルコート劇場×新国立劇場の劇作家ワークショップへの参加経験を持つ劇作家・魚田まさや氏が初の書下ろしを担当。圭一(重山知儀)と仁(平山瑠璃)ふたりの別れと旅立ちを、シーンのループやアクションの反復などを通じて、独特な時間感覚のもと表現した。
対談の後編では、引き続きイエデイヌ企画代表/演出・福井歩と作・魚田まさやに批評家の山﨑健太氏を交え、イエデイヌ企画立ち上げの経緯をはじめ、師である松田正隆氏との思い出、働きながら演劇を続けるライフスタイルなどについて話が深まっていく。

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直接すぐに言葉にできないことを演劇でやりたい

イエデイヌ企画代表/演出・福井歩

山﨑:後編では、福井さんが立ち上げたイエデイヌ企画について詳しくお伺いしていきたいと思います。まずは立ち上げの経緯についてお話いただけますか?

福井:何となくで続いてしまっている部分もあるので、まとまった状態でお話しできるか不安ですが、うーん…。大学1年生の時に東京デスロック『東京ノート』(2013年1月上演)の稽古場にお邪魔したことがきっかけかなと思います。政治的な関心と実験的な手法を演劇に取り入れる姿勢にインパクトを感じました。また大学で学んだり様々な作品をみていく内に、「すぐ言語化できるようなことや既に知っていることを演劇でやる必要はないのでは?」と思うようになったんです。そこから徐々に、所属していた大学の演劇サークルだと自分のやってみたいことをやるのが難しいなと感じるようになって、「じゃあ自分がやってみたい演劇をやるための場をつくろう」と、大学2年生の2014年3月に、イエデイヌ企画の旗揚げ公演を行いました。旗揚げ公演は、東京デスロック『シンポジウム SYMPOSIUM』(2013年7月上演)の影響を受けすぎていて恥ずかしいのですが(笑)、それに清水邦夫『署名人』をモチーフとして組み合わせた内容でした。
その後は有難いことに、大学の企画やマレビトの会の演出部参加、FT/17『実験と対話の劇場 - 新しい人 / 出来事の演劇 -』(2017年11月上演)など、イエデイヌ企画として自主公演を打たなくても、年1くらい創作をさせていただける機会がありました。
そのため大学院を修了後に上演した『左ききの女』(2019年3月)が、イエデイヌ企画として第2回目の公演です。

山﨑:これまでのイエデイヌ企画の上演にあたり、その他にも影響を受けた作品や作家はいますか?

福井:映像身体学科で松田さんの前に演劇を教えていたのが太田省吾さんの転形劇場の俳優の方だったり、別の俳優の方から太田さんのメソッドを学ぶ授業を大学で取っていたこと、太田さんの研究をされている大学院の先輩がいたことから、太田さんの思想には関心がありました。そのためイエデイヌ企画としてではないですが、大学3年生の時に、『午後の光』(2015年2月上演)を映身展という企画で上演しました。
また大学3年の時にPortBの高山明さんの授業で大学のいろんな場所を使って上演をする、というものがあったんですが、創作したものから「『ベルリン・天使の詩』を思い浮かべた」という感想を高山さんからもらい、そこからヴィム・ヴェンダースやペーター・ハントケの作品をみるようになりました。それが『左ききの女』の上演につながっています。

魚田:福井さん自身は、基本的に演出専業で劇作はしませんよね?

福井:私が基本的に劇作を行わないのは、自分が劇作に向いていないことや、自分が書かなくても面白い文章が世の中にたくさんあることもありますが、振り返ると在学中にゼロから劇作をしない人々と接する機会があったことも影響しているかもしれません。その一方で、「面白い文章の中にむりやり主張したいことを入れ込むのは違う」と思っていたので、ぐちゃぐちゃと悩みながら演出をやってきました。

魚田:「主張したいことを入れ込むのは違う」とは?

福井:例えば政治的に「こうした方がいいのではないか」という考えを言語化できるのならば、SNSに書き込むなり、デモに参加するなり直接行動にした方が効果があるのでは?と思っていて。仮にその想いを作品に忍ばせることはあっても、テーマとして前面に打ち出すことは押しつけがましいというか……。上演が「その意見を受け入れられるか、受け入れられないか」というゼロイチの評価軸になってしまったり、ある価値観の再確認や補強の場になってしまうと、閉じた場になってしまい、豊かさが失われてしまう気がしています。もちろん、「最終的には言語化して人に説明できるようにしないといけない部分もあるよな」とは思っているんですが、直接そこにすぐ言葉で表現できないようなことイエデイヌ企画の上演でやりたいですね。

『エリカによろしく』(撮影:瀬崎元嵩)

山﨑:イエデイヌ企画の上演にはベースとしてテキストが存在すると思いますが、扱うテキストはどのように選んでいますか? 

福井:「これを上演でやった方がいいのでは?」と思ったテキストを上演しているので、直観的といえば直感的なんですが…。それって多分、私が生活している中で感じている問題意識がそのテキストを呼んでくれるのかなと思っていて。卒業制作で『東京ノート』(2015年10月)を上演したのは、東京デスロックの影響ももちろんありますが、2015年がちょうど戦後70年の年で、やった方がいいな、と思ったのも理由の一つです。『左ききの女』では、一人の女性が夫と別れを告げて子どもと一緒に住むという物語が、母親とか妻ではない、自分の在り方を考えるための行動に思えたので、今の時代にやる意味があるなと感じた部分もあります。

魚田:イエデイヌ企画としてのターニングポイントは『左ききの女』なのかな?

福井:そうですね…。当時、『左ききの女』の宣伝の文章で、 「俳優は登場人物の行動の理由を知ることなく、舞台上を動き、演じる。」と書いたんですが、これは主人公のマリアンヌが夫と別れる理由がテキストに「さっとひらめいたの」としか書かれていなくて、それが面白さでもあり、すごく大事なことだと感じていました。当時、行動の理由付けって行動がなされてからその結果を通じて後付けで考えられることの方が多いよな、日常生活においていちいち自分の行動を理由付けしてから行動を起こしていることって案外限られているよな、と考えていて。それで俳優に「理解できていなくても、テキストに書いてあることなのでやってください」と伝えていたんです。今思うと言葉が足りていなくてだいぶ乱暴な指示ですが、言葉の意味そのものの強度を信じて過剰に脚色することなく、空間に言葉を置くように発話するというやり方によって、最後の通し稽古が終わった時に、「テキストの言葉と俳優が持つ言葉の遠さ」を意識できたのは大きい気がします。

松田正隆と私たち

松田ゼミ 稽古風景

山﨑:私は前作の『イマジナリーピーポー イン トーキョー』と今作『エリカによろしく』の2本しか観られていないのですが、福井さんのスタイルは松田さんから影響を受けているのでしょうか? 

福井:間違いなく松田さんの影響を受けています。おそらく登場人物の感情をどう扱うかについては『午後の光』くらいから意識はしていたんじゃないかな。ただ松田さんは全然説明をしないんですよね(笑)。お話がとても巧みな方ですし、こちらの質問に対して答えてくれますが、ご自身の中にある理論を正解として教えようとはしていない感じがありました。
だから授業で松田さんが演出をつけているのを脇で盗み見て、それを自分の創作で真似することで生まれてくる何かを頼りに、ここまでやってきているような気がします。松田さんが俳優に「登場人物のこんな気持ちを表現して」という演出指示をしているのをみたことがなくて、それこそ「書いてあるからやる」スタイルは松田さんから影響ではないかな、と。

魚田:僕も、役に立つことは何一つ聞いてないと言い切れます(笑)ただ、それがすごく大事なことでもあると思っています。
修了後に私は新国立劇場の劇作ワークショップに参加して、数年単位で一作品の劇作に取り組む機会がありました。
その時、周囲にフィードバックをくれる仲間はたくさんいる中で、結局、創作に向き合う段階では一人で無から何かを作り出さないといけない。その根本的な孤独との付き合い方に悩んでいた時に、松田さんの「何にも寄りかからない」姿勢がとても腑に落ちる瞬間があったんです。感覚的な話なので、はっきりと説明はできないんですが……。

山﨑:おふたりに限らずですが、松田スクールの人たちが「すごいな」と思うのは、明らかに影響を受けているにもかかわらず、そこから独自性を打ち出しているところだと思っていて。松田さんの教育者としてのポテンシャルというか、「何をしたらこんな人たちが出てくるのだろう」という点にも興味がありました。

福井:松田さんは「自分が絶対に正しい」と思ってしゃべらないように言葉を選んでくれていたので、私たちも依存しないで済んだように思います。だから直接理論を教わったというより、本当に姿勢の部分を学ばせていただきました。ただ松田さんにもらった言葉で印象に残っていることを挙げると、『午後の光』上演後、松田さんが大学から駅に行くまでのタクシーに乗せてもらったことがあって、その時「福井さんは待つことができる人だね」と言われたのは、私の強みなのかなと思って、創作の芯にしている部分はあります。

待つことと、場面展開が際立たせる上演の今という時間

劇作家・魚田まさや

魚田:私も今作『エリカによろしく』の上演を観て、福井さんは「本当に待つことができるんだな」と思いました。例えば「沈黙を見せたいシーンの前は、リズム感でパパっと展開しちゃお」みたいな、観やすさに奉仕する“お得な演出”のようなものがあると思います。僕自身もシーンを描くときは一応、そう言ったリズムを意識するのですが、福井さんはとにかく「間をメチャクチャちゃんととるなぁ」と。それは福井さんが沈黙をすごく信頼していることもあり、自分とは全く違う生理感覚だからだと思います。
上演全体も一貫して福井さんの時間感覚で構成されているからこそ、後半へ行くにつれて観ている側の身体にその感覚がどんどん馴染み、普段とは異なる時間感覚で作品を体験できたことは衝撃的でした。やはりいろいろな人間が演劇をやっていることは大切だと感じました。

山﨑:イエデイヌ企画の演出ではマイムも多用されていますが、これも松田さんの影響でしょうか? 

福井:松田さんの影響ですが、私が上演している作品は、テキストに様々な場所が出てくるので、場面転換のことを考えると単純にマイムが便利なんですよね。なので松田さんのマイムの位置づけとは違うように感じています。

山﨑:「色んな場面をテンポよく表現できるからマイムが便利」というお話と、先ほどの「待つことができる」というお話が微妙にずれているところが面白いなと思いました。上演ではあまり感じませんが、言われてみれば『イマジナリーピーポー イン トーキョー』でも場面がバンバン飛んでいたように思います。

福井:『イマジナリーピーポー イン トーキョー』は一晩を1時間でやっていますからね。たぶん、時間をかけたいポイントが一般的な考えと違うのかもしれません。『エリカによろしく』では「気まずくなるまで続けて、気まずくなっても続けて」という指示をしたシーンがありますが、これは幸せな時間に限らず、すごく気まずい時間も含めて、日常のささやかな時間が恋人たちの間で大切なことかなと思って指示していました。ただそれは「気まずい」という感情をリアルに表現するための時間ではなくて、気まずくなるような長さの時間を通じて俳優の中に何かを生じさせてほしい、という考えによるものです。何かを生じさせるにはあれくらい時間をかける必要がある、というか…。

魚田:『水の駅』のような、同じ物、同じ時間でずっと同じことをすることで馬力を生むような考え方もあると思うのですが、『左ききの女』もそうでしたが、場所と時間が異なるリミックスの妙みたいなものに福井さんのフェチがあるように思ったのですが…。

福井:フェチズムか…。本当に浅いことを言うと、テキスト上でずっと同じ場所で物語が展開されると、自分が飽きちゃう(笑)。

山﨑:飽きちゃうのは、めちゃめちゃわかるな(笑)。でも、今聞いていて改めて思うのは、作品世界で複数の時空間が飛ぶからこそ、上演の時空間の「今ここ」は一つしかないという持続の方が通っているようにも感じます。

社会人として演劇を続けるライフスタイル

イエデイヌ企画 稽古風景

魚田:話は変わりますが、正社員として働きながら演劇を続ける福井さんのライフスタイルについてお伺いしたいです。
実情はどうあれ、「演劇をする」というと、劇団に入りバイトをしながら人生の全てを捧げて演劇に打ち込む、その一方で就職はリタイアという「全か無か」のようなイメージが根強くあるように思います。それはハラスメントの温床にもなっていると感じていて…。だからこそ、福井さんのライフスタイルは個人的にも興味があるし、とても意義があることだと思っています。

福井:イエデイヌ企画に参加してくれたメンバーには、演劇をプロとしてやっている人がほぼいません。私を含め一般企業に勤めている人もいるので、稽古は週2回、土日の午前中から3~4時間程度にして、演劇以外の生活の負担になり過ぎないようにすることは意識しています。その代わり、稽古期間は3~6か月近くになったりもするんですけど…。このやり方にしたのは、学生の時に出会った面白い人と社会人になっても一緒に演劇を続けてほしかったのと、松田ゼミの創作で、週2回2時間ずつの稽古で、半年間にひとつの作品を発表するスケジュールを体験できたことで「このやり方で社会に出ても作品は創れるのでは?」と思ったからです。
私自身、大学院に進学時にお金がないと観たいものが観られない、勉強したいことも勉強できない、ということを実感しました。しかし経済的な基盤が安定していないと、不安でお金の事しか考えられなくてしまう側面を感じつつも、だからといって仕事に人生の全てを捧げる必要はない、と思っているので、「生活を安定させつつ演劇を長く続けるためにどう時間を作ればいいのか?」といったことを考えながら創作を続けています。

魚田:お勤め先は演劇や芸術に関係があるところですか?

福井:IT企業に勤めています。演劇とは直接関係ない仕事ですが、仕事をする中で「ここは演劇でも使えるな」とか、逆に演劇をやっていても「ここは仕事でも使えるな」みたいなことはすごく面白いなと感じます。もちろん生活の全てを演劇に捧げることで到達できる深みもあると思いますが、色々な視点から創作や生活を見ることができるようになってきたので、今は互いにいい影響を与えられている部分もあると感じています。

山﨑:そういったことができるべきだと思います。また、続けていけない問題もある一方で、「年齢問わず途中から演劇を始める」ということが起こらないことも、それは演劇界だけではなく、日本の労働環境のそのものの問題なような気もします。
ちなみにy/nもおなじような稽古スタイルです。ふたりでテキストを書いているというのもありますが、オンラインでのやりとりで進める部分も多い。そもそも結成が2019年10月で最初の公演2020年2月と、ほぼコロナ禍に入ってから活動していることも、稽古スタイルに影響を与えているのかも知れません。

魚田:そういった話は調べても出てこないから、”演劇の続け方”を知れることで私も勇気が出てきます…。
そして、大道具を使わず、マイムだけというイエデイヌ企画の上演形式は予算がかからなくて、それもめちゃくちゃいいことだなと(笑)。
似た例で言うと、欧米ではオブジェクトシアターというネオ人形劇みたいなジャンルが盛んで、舞台はテーブル一台あればOK、ペンとかコップが俳優なのでギャラも数ドルで済むしハラスメントもなし…と、とにかく参入しやすく、色んな感性を持った人が才能を発揮して、表現全体が元気なんです。予算もかからないし、演劇的な豊かさを内包した形式という観点からも、イエデイヌ企画が今ここで活動していることは多くの側面で良いことだなと思いました。

福井:大道具は倉庫も必要だし搬入・搬出が大変だったりするから、確かにその利点はあるかもしれないですね。またプロではない人が参加してくれることで、参加メンバーの友達や会社の人など、普段演劇を観ない人たちに観劇してもらえるかもしれない、というのも一つの可能性としても面白いな、と思います。

『エリカによろしく』(撮影:瀬崎元嵩)

山﨑:続けることの難しさにつながる話ですが、僕としては、面白い人をきちんと押さえて、活動をお知らせしていくということも自分の大事な仕事だと思っているのですが、やはり3年に1回のペースだと忘れられてしまうというか…。

福井:今回3年空いてしまったのはコロナの影響が強くて、劇場に人を集める危険性に加えて、演劇で食べているわけではない俳優たちがコロナに罹ってしまったら補償もできないし、ご家族にも申し訳ないなと…。オンラインの演劇もやってみようかと思いましたが、自分があまりそこに面白さを見いだせなかったので、3年の沈黙につながってしまいました。今回3年ぶりにやってみて、前に比べて環境として上演はしやすくなった一方で、集客には苦労したので今後は年1くらいのペースでやりたいです。

魚田:妊娠・育児などで創作活動を中断する可能性が女性の方が男性よりも高い現状で、今回のように3年空いても本人が元気で活動できる創作スタイルは、ジェンダーの不平等を和らげるための選択肢の一つでもあるように感じています。手厚い助成金でも「助成を受けている期間中、1年に1本は必ず創らなければいけなくて、中断は不可」といった条件があると20代〜30代の女性は取りにくく、健康な男性が取っていくみたいな…。それ以外のルートがあって、そこで実際に面白い作品を創作している人がいるというのはすごく勇気の出る話だなと思います。

福井:週1~2、1回3~4時間という稽古スタイルで創作していることは、もっと主張してもいいのかな?とここ数年の状況をみて思ったりもしています。

山﨑:イエデイヌ企画のように、エンタメ系でどんどん集客を増やしていくようなタイプではない劇団の場合は、こういう創り方は十分に選択肢に入ると思います。本来は創作で十分なお金を得られるということがあった方がよいと思いますが、少なくとも日本の現状においては、働きながら続けられることはとても大事なことだと思います。

イエデイヌ企画への期待は、”期待していないこと”

批評家・山﨑健太

福井:もし今後のイエデイヌ企画に期待されていることがあれば伺いたいのですが、何かありますか?

山﨑:期待することは、“期待していないこと”を見せてもらいということです。今作でも、前作同様の”音の実験”をやられていたら、「んー…」ってなっていたと思うし、全然期待していなかったものを観られたことがよかったです。

福井:予想もしていないものをお届けできたら、私もそれがやっていて一番面白いですね。魚田さんが今後イエデイヌ企画以外でやりたいことはありますか?

魚田:次は沢山人が出てくる戯曲を書いてみたいなと思います。すでに新しいプロットも立てて書き始めています。

福井:沢山人が出ている戯曲、イエデイヌ企画でやりたくなってしまいますね(笑)。そして、ぜひ他の方が上演する『エリカによろしく』も観てみたいです!

魚田:僕もすごくそれは観てみたいです。プロデューサーのみなさま、ご連絡お待ちしています。もちろんイエデイヌ企画さんからも引き続きお仕事いただけたら、嬉しいです(笑)

山﨑:僕も観てみたいけど、あまりにも今回の上演が鮮やかだったので、「大丈夫かな…」と思いながら観に行くことになりそう(笑)。ただ、上演してもらうためには戯曲にアクセスできるようになっていないといけないですよね。日本の演劇界にはその問題もあり、最近は戯曲デジタルアーカイブの取り組みもあり多少は改善されている部分もありますけど、引き続き演劇界として取り組んでいくべき課題だと思います。
福井さん自身が今後興味のあることや、次作で考えていることはありますか?

福井:以前、「テキストの言葉とそれを読む人が持つ言葉の距離感を探る」というワークショップを内々で行ったことがあるんですが、これをもう一度やった方がいいかなと思っています。
その他にも、上演してみたい作品や試してみたいアイデアはいっぱいあるので、それらを実現するための準備も進めていきたいです。
あと、今まで付き合ってくれたイエデイヌ企画のメンバーが、プライベートで家庭をもったり、地方に行ったりもしていて、物理的に参加が難しくなったりもしているので、新しい人を入れて創作を行うための準備もしていきたいですね。

魚田:僕も新しい人がイエデイヌやっているの、観てみたいですね。

福井:正直、人に自分の考えを整理して伝えるのがとても下手なので、苦労することは目に見えているんですが(笑)、全然演劇をやったことのない人と演劇をやるのもすごく楽しいことだと思うので、そういった方々とも出会いながら続けていけたらと思います。

>前編はこちら

(文・野中知樹/進行・寺内七瀬)

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