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十年そこらの孤独

10年、10年描かなくなったらおれは畑を耕して植物のことに詳しくなりたい

土のことだって雨のことだって汗をかく労働の痛みだってわかるだろう
そしてやっと暗い部屋にもう一度明かりを灯して描き始めたならきっとすぐにやめてしまう
昔の話を誰かにするだろうか
「漫画を描いていたんだ」

続けていくことは苦しい
肺呼吸の魚のように無理な水泳を永遠と永遠と続けることだから

おれは描くことを通してなにを見つめていただろう
淡い輪郭の幸福か、悲しい結末の快楽か
映画のなかにある劇的な瞬間があったとしても、それを望めたとしても
その後に続く日々は過去への憧れ、あの瞬間の輝きを夢のなかで追い求め縋るだけのつまらない人間に成り下がる

知りたいことはただひとつ
道は続いているかどうかなんだ
枝分かれしていてもいい、道なき道でもいい
ただ最後に灯台があってくれれば納得するんだ
そこに誰かいようといまいと
手紙が届こうが届きまいが関係ない
舟を出せるんだ

10年、10年描いたらおれは続けて描くだろうか
きっと描くんだ
あの日のあの瞬間の話なんてしたくないんだ
ひたすら続けるんだ
たとえ暗い未来が待っていたとしても
鳥は朝になれば必ず飛び立つ

してもらえるとすごく嬉しいです!映画や本を読んで漫画の肥やしにします。