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噛みちぎるクリスマス

今日、世間はクリスマスである。
いわゆるクリスマス・イブというやつだ。
家族とか恋人同士とかがアレコレする日だ。

私とて人の子。平均的な一般家庭で生まれた人間である。
一時期はサンタさんを信じていたし、おもちゃ屋さんにならぶご家庭のサンタさんを見ると頭が下がる思いである。むかしはクリスマスプレゼントにワクワクしたし、家族で食べるケーキは好きだった。
友人にトリュフチョコを作って振る舞ったことも、一羽まるまる使った丸鶏のローストチキンを作ったこともある。

しかして、である。
今年もぼっちクリスマスなのだ。去年と同じく一人きりのクリスマスである。もう何年も一人きりなのだ。
きっと君は来ない。どころではない、待っている人すらいない、待ってくれている人すらいないクリスマスなのだ。まったくエモくない。寂寥感ばかりが延々と広がるサハラ砂漠だ。乾ききっている。おじいちゃんの肌よりカッサカサである。トリュフも作る時間も、チキンを作る時間もない。
希望はおろか絶望すらない、「無」だ。虚無だ。

そんな私に福音が訪れる。
それはクリスマスチキン。クリスマスケーキ。巷にあふれるクリスマスシーズンだけの食べ物たちだ。
こいつはいい。手軽にクリスマスの雰囲気が味わえる。
だから貪りつく。ダイエット、なんですかそれ美味しいんですかクリスマスの味はしますか。しませんか?ならきえてください。私はクリスマスを味わいたいんです。

ああ、美味なり。誰にはばかることもなくチキンを食べまくる
きっと君は来ない、一人きりのクリスマスチキン。
むしゃ、もぐもぐ。うまうま
もちゅもちゅ、はぐはぐ、ごくん
……………………ごくん。おごちそうさまでした(合掌)
はてさて、なぜ毎年、塩味が強くなっていくんだろう?
どうして勝手に塩分がプラスされていくんですかねー
美味しいのにどこか虚無なのってすごくないですか?

それはそうとして皆メリークリスマス

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