薬剤耐性”AMR”ってなんですか?
こたえ:AMR:Anti-Microbial Resistance
薬剤(抗微生物薬)耐性問題
厳密には、細菌(耐性菌)だけではなく・真菌・ウイルス・寄生虫等の多くの微生物で薬剤耐性(治療薬が効かなくなること)が世界中で問題となっている。
まあ、このようなことが「回答」にはなるかと思いますが、これだけではなかなかその概要を把握するのがムズカシイかと思いますので引き続き解説してまいります。
”AMR”。この「ことば」が唐突に私の目の前に現れたのは、2016年4月5日になります。正確に日時を明記できるのは、この日に国に於いて「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」というものが決定され私共に広く公開されたからです。
参考:薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン 2016-2020
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000120769.pdf
AMRは上記にも記載したように、Anti-Microbial Resistanceの略です。
直訳すると「抗微生物耐性」とでもなるでしょうか。それが、何故に「薬剤耐性」という、非常にざっくりとした、しかも「Anti-Microbial」(抗微生物)を直接的に示唆しているとは受け取り難い「薬剤」ということばに置き換えてしまったのかは、私には今でも謎です。
これまでも、”AMR”「薬剤耐性」に似たような概念を表現することばは使われてきました。
「耐性菌」もしくは「抗生物質・抗菌薬耐性菌」、「耐性ウイルス」などがそれに相当するでしょうか。これらのことば・概念は医療提供者のみではなく、一般市民の皆様にもある程度普及していたのではないかと想像しております。
そのような中で、敢えてこれらのことばを包括して表現する”AMR”「薬剤耐性」という新たなことばを創造したのにはそれなりの理由があるからなのでしょう。
その理由の一つに、”AMR”「薬剤耐性」はヒトの生命の脅威となることが挙げられます。
”AMR”「薬剤耐性」をこのまま何も対策を取らずに時が過ぎ去るのをただ見守るだけでは、多くの人々が”AMR”「薬剤耐性」により、感染症の原因菌・微生物に有効な薬が無くなることで命を落とすことが推定されているからです。
2014年に公開された英国研究者の推計では、2050年には1000万人以上の人々がこの”AMR”「薬剤耐性」により死亡する可能性があるとされています。
参考:TACKLING DRUG-RESISTANT INFECTIONS GLOBALLY:FINAL REPORT AND RECOMMENDATIONS.THE REVIEW ON ANTIMICROBIAL RESISTANCE
CHAIRED BY JIM O’NEILL MAY 2016
https://amr-review.org/sites/default/files/160525_Final%20paper_with%20cover.pdf
ある領域の専門家が専門家ではない皆様に、知っていただきたい様々な知見を提供させていただく際には、「ことば・用語の統一」は欠かせません。
私共は、薬剤耐性”AMR”は広く皆様に「問題」として認識していただき、人類皆で「解決」を目指すことが望ましいものであると考えております。
筆者は、全ての問題はそれが「問題である」と適切に認識された時点ですでに解決へと向かっているものと考えております。
薬剤耐性”AMR”を、人類皆が「問題」と認識する時が訪れれば、自ずと解決への道が開けることでしょう。
次回以降、具体的に薬剤耐性"AMR"問題をカイケツへと導く術をお話させていただきます。
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