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ざらり   /詩

昼夜を問わず明るい電灯のまわりを飛び回る羽虫
それを覆い囲むようにして宙を這いまわる蛇の視点で
恥ずかしいおもいをしたことを思い出す夜半に
じゅわっと熱した電球にぶち当たる
死よりも痛みをそこで感じるエネルギーだ
 
至近距離で傷口を見つめて
溢れる血液を接写するジャーナリズムで
もっと傷つけたいわたしの身体
 
この感情を晒して自由になれるくらいだったら
すべてを秘密にして呪いたい幾千もの忘却
 
時間に接触していると肌から脳が活性化して
不快な記憶ばかりが蘇る闇のなかでは
痛みだけが地に足をつける指標だ

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