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BTS ▼music theory『MAP OF THE SOUL:7』


2月21日に発売されたBTS第4集アルバム「MAP OF THE SOUL : 7」。
昨年発売された「MAP OF THE SOUL : PERSONA」から続くこのシリーズは、自分の本当の姿を見つけるために旅を始めた防弾少年団の率直な想いが込められています。
「PERSONA」では世界への関心や愛の喜びを通して世間から見た自分を発見すること、「MAP OF THE SOUL : 7」では隠してきた自分の内面にある影との対話やデビュー以来、7人のメンバーで歩んできた決して平坦ではなかった7年間の道のりを振り返るように、世間に見せたい自分の姿や本来の自分の姿、そのすべてを受け入れることで見つけた自分たちの話を伝えてくれています。

今回のアルバムは、リブート(Reboot)コンセプトを適用して防弾少年団のデビュー期の「学校3部作」のアルバムを再解析することで、彼らの音楽的スペクトラムを一層拡大させた。「MAP OF THE SOUL:PERSONA」のタイトル曲「小さなもののための時(Boy With Luv)」が2番目のミニアルバム「Skool Luv Affair」のタイトル曲「サンナムジャ(Boy In Luv)」と関連しているように、今回のタイトル曲「ON」と最初のミニアルバム「O!RUL8,2?」のタイトル曲「N.O」が対応をなす。また、今回のアルバムの収録曲「We are Bulletproof:the Eternal」はデビューアルバム「2 COOL 4 SKOOL」の収録曲「We are Bulletproof Pt.2」をつなぐ歌である。
melon アルバム紹介より一部抜粋)

このようなコンセプトのもと作られた「MAP OF THE SOUL : 7」に込められたメッセージや仕組みを
1 Intro:Persona
2 Interlude:Shadow
3 Outro:Ego
4 Black Swan
5 ON

上記5曲の解説ののち、“魂の地図”というコンセプトの中での各楽曲の関連を紐解いていきます。




1  Intro:Persona


ギターサウンドとトラップジャンルのヒップホップのリズムをベースにしたこの曲は「自分は誰なのか」というテーマによりRMの哲学が華麗なラップで畳み掛けるように語られています。
「Skool Luv Affair」アルバムのイントロ曲「Skool Luv Affair」のビートがサンプリングされていますがMVも当時と同じアニメーションからスタートするなど、視覚的にも、過去から現在へ走り抜けてきた彼らの歴史を感じることのできる仕掛けがほどこされています。




2  Interlude:Shadow


「PERSONA」に続き、BTS学校三部作より「O!RUL8,2?」のイントロ曲「O!RUL8,2?」の音がサンプリングされたSUGAのソロ曲。
Emo Hip hopというジャンルをベースにした壮大ながらも繊細な音楽から始まり、曲の後半でRockingTrapという力強いサウンドに変化することが魅力の一曲です。
「O!RUL8,2?」の音の比較動画をご覧ください。

「O!RUL8,2?」の冒頭の弦のフレーズや曲の山場から登場するサイレンのような音にゆがんだようなエフェクトがかかっています。
冒頭に聴こえるビニール音はSUGAのソロ曲「Seesaw」を始めBTSの楽曲に度々登場しています。ビニール音とはレコードが回る音であり、レコードの回転はSFなど映画や物語の世界において、時空を超えるワームホールのような役割を果たすそうです。“タイムリープをして仲間達を救う”という花様年華のストーリーとも関連を感じさせますが、「MAP OF THE SOUL」が「学校三部作」のReboot作品であるということから、ここでは、7年間の“時”を感じさせる仕掛けになっているのではないでしょうか。
また、音源のイントロに入っているラジオの周波数を合わせるような音やゆがんだ弦、くぐもったサイレンの音は、どこか閉鎖的な空間を彷彿とさせ、この曲が“Shadow=影”の話だという提示をしているかのようです。
上の動画内の0:26では、マイクが落ちるような音が聴こえます。
「MIC Drop」という楽曲の最後にマイクを落とすというパフォーマンスを担うのがSUGAであり、「Shadow」で語られる感情が、ステージの上で「もう何も言う事はない」とクールにマイクドロップをした彼のその後の話であることが想像できます。
そしてサンプリングされたサイレンのような音は、この2つの楽曲の他に「WINGS Short film」でのサイレンの音を思い出しました。

「Shadow」の中で、個人的にもっとも心震えたフレーズが
“I wanna be a Rock star”という言葉です。
ラッパーなのに?という声が聞こえてきそうですが、このフレーズはトレンドを意識した彼なりの皮肉めいた遊び心のようでもあり(あくまでもそこに深い意味があるとするならば…の仮定の話ですが)世界という大きなステージで戦う彼らの、未来への決意の表れなのではないかと感じました。

なぜなら、近年世界の音楽シーンで活躍するラッパーたちがこぞって、俺はラッパーじゃない、ロックスターだ…という発言やリリックを出しているそうです。ポストマローンがグラミーでポップジャンルとカテゴライズされた件について「ラッパーにはなりたくない、ただ音楽を作る人間でありたい」と語ったように、近年音楽のジャンルの垣根は曖昧になり、何かのカテゴリーにおさまらないすばらしい音を紡ぐ新しいスターたちが、多く生まれています。
韓国のHIPHOPボーイズグループとしてデビューしたBTSの現在の音楽のジャンルについて様々な意見がありますが、個人的にはそのことについては何も重要性を感じていません。HIPHOPグループなのにHIPHOPじゃない…という人がいるかもしれません。おそらくその意見は正しい面もあるでしょう。
しかし多くのARMYが、BTSがHIPHOPをしているから好きになったのではなく、初めのきっかけがどうであれ、今現在のBTSの音楽が好きだからARMYでいるのではないでしょうか?

HIPHOPが好きでラッパーを夢見て走ってきた少年たちは、デビューから7年の時を経て世界の舞台に触れ、“ただ音楽を作る人間でありたい”という新たな思いや野望を抱えているのではないかと思うと「Shadow」の中の“I wanna be a”に続くRock starなどの言葉たちはとても特別な祈りのように感じます。
そんな彼の自由な発想やきっぱりとした態度こそ、HIPHOPでありROCKだと私は思います。

(ラッパーとロックスターについて、文中のポストマローンの話など下記の記事で詳しく解説されています。とても面白い記事なのでぜひご覧ください)


動画の1:15〜、「PERSONA」と同様に過去のMVと同じアニメーションの文字が同じタイミングで浮かぶ場面、1:20頃、動画左下の窓の「O!RUL8,2?」MVでは防弾少年団のかつてのロゴであった防弾チョッキのデザインのBTSの文字が現れますが、「Shadow」では詩の内容ともリンクしながら画面の真ん中に王冠が現れます。
7年の歳月を経て、王冠を手にした彼らを象徴しているような場面です。


SUGAは2018年のインタビューで、このようなことを話していました。

(ARMYに向けて)
あまりにも高く飛んでいるようです。
あまりにも多くのことが見えて、あまりにも遠くに見えます。
下を見ると、時々怖いですね。
僕たち一緒に飛んでいることに勇気づけられます。
墜落を恐れますが、着陸は怖くありません。
一緒にいてくれてありがとうございます。
いつも感謝しています。愛しています。(insightより)

また「BON VOYAGE」での手紙や「RUN BTS!」で書いた詩の中でもたびたび、“思った以上のことを成し遂げるのはすごく負担で恐ろしい。それを楽しむ事は難しいけれど、少し気持ちを楽にして考えて”と自分やメンバーに向けて話してきたSUGAの「成功を手にした現在、高く上がれば上がるほどプレッシャーや影もより大きくなっていく…」というこれまで抱いていた苦悩が、今回のコンセプトの中で見事に昇華されています。



3  Outro:Ego


RM、SUGAとラッパーラインによる曲が続き、3番目に公開されたJ- HOPEのソロ曲「EGO」には、アルバム「2 COOL 4 SKOOL」のイントロ曲「2 COOL 4 SKOOL」のビートがサンプリングされています。

幼い頃からダンスに夢中だった少年が、チョンホソクではなく“J-HOPE”になるまでの歩み…。平坦な道ではなかったけれど、自分は運命の選択を間違えていなかった、そしてこのまま自分を信じてこの道を歩き続けていく…というJ-HOPEらしい明るさとブレない強さを感じさせます。音源サイトでのアルバム紹介に“アフリカンリズムに基づいたエネルギッシュなポップジャンルの曲”とありましたが、個人名義で出したミックステープ「HOPE WORD」で登場した多国籍な楽器の音やビートを織り交ぜた、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような彼らしい楽しさが溢れた楽曲です。

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またMVは、明るくポップに踊るホソクくんの後ろで、花様年華の風景が織り込まれていたりと様々な要素が見える不思議な映像でしたが、そんな中、迷路に突っ込んでいくホソクくんや、唯一曲がりくねった表示がある未来への車線を颯爽と走る彼の姿、そしてその車線に「Road to Myself」という表示があることは、これまでたくさんの困難を乗り越えてきた彼や7人のメンバーの歩みを示しているようでした。




4   Black Swan


トラップドラムビートと切ないローファイギターの旋律が印象的なEmo Hip hop。

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先行リリース時に公開されたArt Film performedの冒頭の
“ダンサーは二度死ぬ。
一度目は踊ることをやめた時
そしてその一度目の死はもっとも辛い” という現代舞踏の巨匠マーサ・グレハムの言葉のように音楽に没頭するほどに感動や高揚感が薄れていってしまうのではないかという恐れを“Black Swan”に例え、音楽が自分にとって何を意味するのかを悟った芸術家としての告白を込めた楽曲です。
個人的には、実験的な楽曲というよりはトレンドのUKポップ感を感じていますが、BTSの楽曲の中では、これまでにないミニマルなサウンドにより、HIPHOPアーティストを夢見た“少年たちの音楽”から“成熟したアーティスト”としてのステップを登った彼らの“今”を感じることのできる一曲だと思います。

公開当初、Art Filmというこれまでにないコンテンツや、ミニマルなサウンドに戸惑いを感じたARMYも多いのではないでしょうか。しかしながらこの流れは、通常運転のように感じます。グループの人気が高まり、カムバックの話が上がるとファンや多くのニュースサイトがこぞって彼らの次のステップへの考察合戦を始めますが、これまでも、いい意味でそのような期待をすべて裏切り、予想の斜め上の新しい世界を見せてくれた彼らの通常の姿なのではないでしょうか。

以下「Black Swan」の詩の内容です。
(意訳を含みます。また他サイトへの転載等一切お断りいたします。)

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冒頭の“Do your thang”という繰り返されるVerseはまるで2人の人間が語らいあっているようです。

Do your thang with me now
(お前のやりたいことをやれよ 俺と一緒に)
What’s my thang tell me now
(僕のやりたいことって何? 教えてよ) 

そして続く冒頭のSUGAパートでは“심장이 뛰지 않는대(心臓が動かないんだって)”という歌い出し。この“〇〇なんだって”という語尾はまるで他人行儀で自分のことではないような言い回しです。
これらの詩は、外側にいる自分と内側の自分、すなわちペルソナとシャドウの対話のようです。そして“抜け出そうと逃れても口の中に飛び込む”という「口」とは、コンセプトフォトにあった大きなくらい穴のように、“すべての光が沈黙する海”のように、この曲中でまるで他人に話しているかのように語り出した主人公は心の声(=Shadow)であるということが推測できます。
楽曲はやがて決意と共に光の差すような後半の流れを迎えますがそこに登場する、“両目を開けて僕の森へ Jump”という部分の「森」。
これは「Butterfly」に登場する“僕の海辺のカフカよ 向かわないで森へと”という詩の「森」であり、「Euphoria」の「森」なのではないでしょうか?
小説「海辺のカフカ」での「森」とは時空間を超える不思議な場所でしたが、時空間を超えることのできる場所は特別なものではなく、私たちの脳内にある心の記憶のことだと思います。心はいつも時空を超え様々な記憶を呼び覚まし、そのすべての中に“自分”という存在がいるのです。
森へ飛び込むということは、自分の内面に飛び込むということの例えなのかもしれません。




5  ON


UCLAマーチングバンドによるドラム、ブラスとゴスペルクワイアサウンドが調和し、最近のトレンドを導く電子音楽とは差別性を持ちながらも、パフォーマンス音楽の別の次元を示した一曲。(melon アルバム紹介より)

「MAP OF THE SOUL」で語られてきた、自分の望む姿と本来の自分、予想以上に高く上り重心を失った苦悩や困難に溢れたこの道を運命として受け入れ、高らかに歌い、舞い踊る姿に胸を打たられる一曲です。

これまでBTSの音楽、「FIRE」「NOT TODAY」「MIC Drop」「IDOL」には酷似した音がサンプリングされていたり、ソカビートが登場したりとサウンド面での共通点がありました。これらの楽曲はどれもカーニバルの為に作られた(発祥した)大衆音楽です。困難を抱え、貧困や差別に直面する中で、それでもカーニバルのビートを打ち鳴らした、民衆のパワーが生んだ音楽のルーツのように、苦悩や困難を抱え舞い踊る7人のメンバーとともに、それぞれの悩みや事情を抱えた私たちもまた多くの勇気や希望を受け取ってきました。
楽曲紹介に“電子音楽とは差別性を持つ”と書かれていましたが、マーチングドラムもブラスも人の手で奏でるものであり、ゴスペルクワイアは身体中を楽器にして鳴らすサウンドであり、これらはすべて、生身の人間である一人一人の力や歴史や性格がにじみ出る音です。人の温度を感じるサウンドの中で力強く舞う彼らの頼もしさは7年の歳月の中でどんな時も走り続けた彼らの努力の結晶なのかもしれません。



6  Black Swanと関連しているあの曲とは?


ここからはアルバムを通して込められたメッセージや仕掛けについてです。「Black Swan」が公開された当初、イントロが「Fake love」に似ていると話題になりました。「Fake love」のイントロのフレーズから少し音を抜いたような印象のメロディですが、意味を見出すとしたら“Reboot感”というところでしょうか。(Rebootとは、リメイクのように元々あったものを新しい技術で作り直すのではなく、元々あったものと同じだけれど全く新しいもの…という意味です)
「MAP OF THE SOUL」においてこの曲が、LYSシリーズでの「Fake love」のような位置にあるのだという提示なのかもしれませんが、3つのマイナーコードが永遠に循環する「Fake love」と4つの7thコードの循環から少し変化をつけて進む「Black Swan」では、あまり関連性は感じません。BTSの音楽に度々登場する時を巻き戻しているようなビートの音が、「Black Swan」ではギターの同音が続くフレーズになりかわっていたりと、いくつかの変化がみられます。このことからも先述の通り、「Black Swan」は新しいステップへと踏み出した彼らの新境地なのだと思います。
ここでもっとも重要なのは、マーサ・グレハム氏の“ダンサーは二度死ぬ”という言葉のように、音楽に心が動かなくなった時の“死”についての話です。

「MAP OF THE SOUL : 7」に再び収録されている「Dionysus」では酒杯を芸術(音楽)に例え、創作の苦悩や世の中の騒音、ARMYたちとの疎通を通し、狂った芸術家(BTS)の芸術に酔って歌おうというメッセージが込められていました。
“僕たちは二度生まれる”というリリックは、マーサ・グレハム氏の言葉を思い出します。
それぞれの曲を比べてみると「音楽を作り、ファンの前で披露する時二度生まれる…」という詩と「音楽に心ときめかなくなる事で迎える芸術の死」、「僕は今世界の扉の前にいる・ステージに上がると聴こえる歓声」「すべての光が沈黙する海・どんな音も聴こえない」という詩は、ペルソナ(Dionysus)とシャドウ(Black Swan)のような関係性になっています。
そしてこの2つの曲の中で語られた苦悩は「ON」によって、「この2つの世界に自分を投げ出すんだ」「Find me and I’m gonna live with ya(僕を見つけて君と生きよう)」という一つの結論に到達します。

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「ON」の“監獄”という言葉は「Black Swan」のArt FilmのMNダンスカンパニーによるパフォーマンスを彷彿とさせる点でも、BTS特有の、音楽を軸に、すべてのコンテツに一貫して流れる物語性を感じられます。




7  魂の地図の手引き


ペルソナ、シャドウとはカール・ユングの自己の理論に基づいたキーワードです。
それぞれの言葉の意味は、以下の通りです。
表向きの自分=ペルソナ
本来の自分=シャドウ
自我=エゴ

表面的な説明になりますが、
人はみんなそれぞれの中に「自己(セルフ)」を持っています。
そして私たちは、他人の目を気にしまるで仮面(ペルソナ)をつけるように自分を演じます。その過程で失った「自我(エゴ)」と「本来の自分(シャドウ)」のバランス。この一人の人間の中にあるすべての面と向き合い、対話し、理解する事で「自己」を実現し、人は成長する…。

「Outro : EGO」のMVでJ-HOPEが颯爽と通り過ぎる道には「Road to Myself(自分自身への道)」という標識がありました。
このように「MAP OF THE SOUL」シリーズは、ペルソナとシャドウ、エゴという3つ要素を軸に自己を実現する(成長)過程の道しるべなのです。

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8  「7」


ユング心理学でのペルソナ、シャドウ、エゴの関係をふまえ、ラッパーラインによる3つの曲を比べてみると、まさに自己の対話のような構成になっています。
最近の作品ではBIG HITのPD陣に加え、外部のプロデューサーを招くことも多く見られるようになりましたが、個性の異なる3人がそれぞれの持ち味を生かしつつ、見事にコンセプトの中で自分たちの話をしているというこの点は、メンバーが楽曲制作に関わっているという、BTSのデビュー当時からの強みのさらなる成長を感じることができます。

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また、ここでとりあげた6つの楽曲以外にも「Jamais Vu」と「Louder than bombs」など詩の内容が反転しているような印象を受ける楽曲があるなど、“魂の地図”というコンセプトの中で、デビューから7年間の7人での歩みと成長、葛藤と苦悩、そして今彼らが抱いている“決意”がこの1枚のアルバムの中に詰め込まれています。


ここで少し話しはそれますが、アルバムのコンセプトの中でしっかりと役割を果たしながらも、過去7年間でリリースされた楽曲との関連を思わせるSUGAパートをご覧ください。(1分半弱の動画です)

デビュー前に公開された「We are  Bulletproof pt1」のVerseをAugust Dで再び持ってくるなど、SUGA本人も過去曲での詩やフロウをあえて引っ張ってくるのが好きだと話していましたが、時には月日の流れと成長を感じさせたり、時にはラッパー特有の皮肉を織り交ぜてみたり、各楽曲にぴったりとハマる彼特有の遊びを披露していることもこのアルバムのテーマである「7」というキーワードへの大きなスパイスになっていると思います。




9  the Eternal


デビュー当時から作曲に関わっていたラッパーラインだけでなく、今ではボーカルラインの4人もそれぞれが自作曲をリリースし、アルバムの楽曲制作にも関わっています。またダンスライン(ダンスの核となるメンバー)と呼ばれるJ-HOPE、JIMIN、JUNGKOOKではない、4人のメンバー、JIN、RM、SUGA、V がみせた「Black Swan」や「ON」でみせた華麗なダンスは、非ダンスラインであることが信じられないほどの完成度でした。

7年間の集大成を思わせる濃密な19曲の中でくり返し語られているのは、困難な道のりだったけど、時に間違ってしまうけど、もう二度と立ち止まらないという彼らの決意です。彼らはまだ喉が乾いていて、森に飛び込み、美しい監獄に足を踏み入れるのです。このアルバムには、そこに私たちがいる限り、彼らは永遠に防弾であり続けるのだという力強く優しいメッセージが込められているのだと思います。

「Jamais Vu」での悲しみの原因や「My Time」で時に息を詰まらせるものの正体は、おそらくゆがんだファンたちの愛情や過度な期待、押し付けてしまう理想です。
しかし、“時に恥ずかしかった名前は鉄の証明”だというRMパートの言葉通り、彼らは強くたくましく、“どんな困難も派手にはねのけていく”のです。
時に監獄の柵のようになってしまう私たちに、彼らは私たちが“終わりの見えない永遠の夜に朝をくれた”光であり、歩き続ける理由でもあるのだと語ります。

「世の中からジャージャー麺とハンバーガーのどっちがなくなったら困る?」というたわいもない話題で盛りあっていた男の子たちは、その無邪気さはそのままに、いつのまにか世界の中心の華やかな世界に飛び立ちました。いつのまにか、時に見たことのないような大人の顔をしたすてきな人たちになりました。
日々成長していく彼らの姿を前に、私たちは自分の地図を広げ、向き合うでしょう。その過程で時に目を背け逃げ出したくなるとき、自分がとてもちっぽけに思える時、彼らのくれた「MAP OF THE SOUL」はきっと私たちの道しるべになるでしょう。


“僕たちは7人
だけど僕たちはもう7人じゃない
君が一緒だから”


その魂の地図は、7人のくれた私たちへの長い長いラブレターであり、
きっとそれはこれからも届き続けるのでしょう。
いつもとびきりの驚きとときめきをたずさえて…


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*ユング心理学参考
https://k19266.ti-da.net/e11359080.html
https://filia-blog.com/wp/2015/10/04/shodow/
https://kotento.com/2017/07/28/post-154/


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