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新法はやたらアラ探しするのに、新技術はべた褒めするのおかしいよね?

本日の日経新聞で、キッチンカーの規制が曖昧で、自治体により出店の可否が異なるということが取り上げられていました。

確かに、法律は実際に施行されたときに、基準が曖昧、指標の合理性がない、実態に則していない、厳しすぎるといった指摘がされるのをよく目にします。

そこで私は思いました、新技術だってそうであるべきでは?成功までのビジョンや成功したときの利点ばかり語られて、本来するべき指摘がなされないことが少なくないのでは?という疑問が沸いてきました。

日経新聞を投資に活かすことを目的に、気になった記事を取り上げていきます。
投資初心者たる私が、その記事を見て、調べ考えたことを発信していきます。
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キッチンカー、ご当地規制の怪:日本経済新聞

キッチンカーの規制

キッチンカーでは提供するメニューや種類によって必要な給水・排水タンクの容量がことなります。
メニューは一種類、工程は暖める簡単なもののみであれば、タンクは最小の40リットル程度で出店が可能です。

その他、工程が多く大量の水が必要な調理を含むと、200リットルのタンクが必要とされます。

今回記事で取り上げられていたのはおにぎりでした。
おにぎりを、米を炊き、具を包み、成型するものだとしたら、米を炊くところに水が必要です。工程も三つにわかれています。ならば、タンクは200リットルですよね!と思うと、東京都内の自治体では80リットルのタンクで出店許可を出しているところもあります。

規制をしておきながら基準が曖昧で、整備が行き届いてないのです。また、辛うじて示された指針も、現代の衛生環境、技術を組み込めていません。
法律ができて以降の静脈的な修正が及んでいないのです。

技術分野でよく聞く動脈と静脈という言葉

こうした草分けとそのあとの整備について、動脈的、静脈的という言葉が使われることがあります。

技術分野では新しい技術や研究について動脈的と称します。
動脈というのは、心臓から送り出された血液が流れる血管のことをいいます。心臓に近いため、勢いよく流れています。そうした激しさのイメージから、草分けなどの新規開拓のようなイメージと重ねて動脈的と表現します。

逆に、静脈というのは、各組織を巡ったあとの心臓へと向かう血液が流れる血管です。心臓から送り出されてからかなり距離を移動したあとなので、ゆっくりと流れています。
これについて新規開拓と対になる、新技術の周りの細かなところの研究や、マイナーチェンジといった技術に対して静脈的という言葉をあてています。

例えばボールペン。
このボールペンを始めて作り出したのは1880年代のことですが、このときのボールペンは動脈的でしょう。
何せ、万年筆の時代に、インクをつけなおさなくても書き続けられる筆記具が登場したのですから。

しかし、初期のものは液漏れをするなどの問題がありました。
これを改良していくときの技術や研究、これは静脈的となるわけです。
ボールペンは今でも発色や書き心地などが追求されていますが、それらも大きな視点で見れば静脈的でしょう。

あるいは、価格を下げるということも静脈的技術開発になります。初めて世に出るときはムダが多いものです。それらをなくしていく研究開発もまた、静脈的です。

イノベーションは動脈的か?

イノベーションという言葉はもはやトレンドワードのごとく頻出するようになりました。さて、イノベーションは動脈的な技術開発に当たるのでしょうか?

私もの考えでは、NOです。どちらにも当てはまる言葉だと考えています。

しかし、現在、日本国内で使われるイノベーションは動脈的な技術開発に偏っているような気がします。
何かにつけて革新、革新。衝撃的な技術を産み出そうと言う“流行り”が起きているように感じます。

動脈的なだけではダメ

先に規制の話もしました。ボールペンの例も上げました。

初めて世に出るものというのは何かしら問題が起こるものです。完璧にはいかないものです。
だからこそ、産み出されたそのあとに、その技術や規制をさらに洗練させていくことが重要なのです。

現在はイノベーションという言葉とともにさまざまな技術についての情報が溢れています。私が期待を寄せている洋上浮体式風力発電もその一つです。空飛ぶ車や、完全自動運転などもそうかもしれません。

確かにその技術は実現可能で、着実に発展しているかもしれません。しかし、これが日常生活に浸透するかは別の話です。静脈的技術開発に掛かっているのです。

まとめ

悲観したくなる現実に直面した2020年から、その視点を無理矢理上向けるかのようにさまざまな新技術が取り上げ、持ち上げられるようになっています。

特に脱炭素関連は世界的な圧力もあり各国、各企業が全力で取り組んでいます。多くの企業が脱炭素を果たすための研究開発に打ち込んでいます。

しかし、全ての技術が実るわけではありません。実験室ではできたことがプラントで再現できないこともあるでしょう。
どうしてもコストを下げられず、別の技術に埋もれてしまうこともあるでしょう。

私自身、脱炭素による市場の変化、発展にはとても期待しています。
だからこそ、それに取り組む企業をしっかりと精査し、実現可能な技術開発を見極めなければならないのです。期待の新技術の“アラ”を探し、それを克服できるアプローチをできている企業にこそ投資するべきなのです。

くれぐれも、インパクトのあるニュースの見出しだけで投資することの無いように気を付けましょう。
実現できた後の、実用化には大きな壁があるものです。

的確に、“アラ”を見つけ、その最も適したアプローチを見定める上で、「イシューからはじめよ」で語られた手法も大事かもしれませんね。
ではまた!



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