もしも性が選べたら

 私の性は女だ。
 生きていて、女でいてよかったなぁと思う最大のポイントはなにか。断言できる。それは、ほどほどなサイズのおっぱいがあることだ。私は巨乳ではないが、だからといってそれほど貧乳でもない。ブラジャーのサイズはCかDを選ぶ。

(これは余談だが、昨今の日本においてこのサイズはおそらく小さいほうではないだろうか。近年の日本人は栄養状態と運動量が良いために、高身長も多く、全体的に発育が良い。という記事をどこかで読んだし、実際にそのとおりだと感じる)

 CだかDだかの私の胸だが、とても触り心地がよい。
 やわらかくて肌もなめらかでむにむにしている。触っていてとにかくその感触が気持ち良い。ちなみにここに性感は含まれない。
 ビーズクッションを触って「きもちいい」と思うのと、なんら変わりない感情だ。
 そうだ。私は自身の体に、いつでも触って良くて、誰にも文句を言われることのない、最高の触り心地な胸がある。これはすごいことだ。
 もちろん触るときは時と場所を間違えてはならないわけだが、家でくつろいでいるとき、手持ち無沙汰に自らの胸をもむ。すると柔らかい。柔らかくて手触りが良くて気持ちがいい。ほどよい弾力を誰に断る必要もなく楽しめる。
 ちなみに同じ理由で、最近肉付きのよくなってきた自身の二の腕が好きだ。

 最近、もしも人間として生きるうえで、肉体の性を選べるのならなにがいいか考えるタイミングがあった。私はそもそも人間として生きることを望まないので、この手の疑問はすぐさまどうでもよくなるのだが、今回は違った。
 ふと思ったのだ。

 おっぱいのある無性がいい。

 無性とは、ようするに生殖器官がないという意味合いだ。卵子も精子もなく、そもそも穴も棒もない、そういう意味だ。
 ただ、おっぱいは気持ちがいいから欲しい。母乳は出なくて良いが、このやわらかくて気持ちのいい、肉の塊は欲しい。できれば自分の体に付属していて、触っても文句を言われないような部位であってほしい。

 こんな処女なので当然男性の棒なぞ触ったことがないが、棒の質感と触っていて気持ちがいいかだけ知りたいとも思った。もちろん性感を含めないで、だ。
 もしも使わずともついているだけで得があるなら胸じゃなくて棒のある無性でもいいかな、と思う。

 とりあえず自分の胸をビーズクッション感覚で触るのは、とても気分がいい。最近は保湿クリームなぞを塗って一層手触りをよくしている。
 私の、女で良かったと思うこと。でした。