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ドーナツ・ドーナツ・ドーナツ(古南亭アーカイブ③)

「ドーナツ・ドーナツ・ドーナツ」
頭にドーナツの油でできた天使の輪をもつ少年。キューティクルの輝きではなかった!
指にドーナツをひっかけてスピナーしている。

少年は大きなドーナツにジャラジャラといろいろな鍵をつけている。看守のもってる鍵みたいだ。

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万が一、かつあげされたり、ひったくられても、握力でドーナツがバラバラになるから、あたりに鍵が散乱してしまう。食い物(ドーナツ)のうらみはおそろしく、悪は少年の鉄拳に敗れる。
少年は自分のあまりにも強いパンチ力を封印するために、ドーナツのメリケンサックをしている。フワフワだから致命傷には至らない。
少年の腕にグルグル巻きになっているテーピングがベリベリばり、どすん。べりべりべり、どすん。そしてドーナツのメリケンサックをスッと外した時。それは相手の死を意味する。

(↑よく少年向けの格闘マンガの主人公が、腕をテーピングでぐるぐる巻きにしていますよね。あれは強すぎる力を包帯で封印してるらしいです。笑)

少年はジャラジャラと吊るしたいろいろな鍵の中から、車の鍵を取り出した。

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少年の愛車はなんと「Audi(アウディ)」!?と思いきや、エンブレムの四つのリングがみんなドーナツ。タイヤがドーナツ。ハンドルももちろんドーナツ。少年は運転中、口さびしさにうっかりハンドルを食べてしまうことがよくある。
たいていハンドルを切り損ねたために崖から墜落して命を落とす。
頭のてっぺんに本物の天使の輪がぴょこんと飛び出すが、これがドーナツ。背中には天使の羽。
天に召されつつあるさなか、背中から生えた天使の羽で崖の上まで飛んだ少年。ちょうどいい高さで、すかさず頭のドーナツを食べて、奇跡の生還。崖から脱出したのだった。

少年は今日も今日とてドーナツを食べる。
彼がドーナツをきれいに半分だけ残した。
珍しいこともあるものだ。
少年はドーナツを指でつまんで、受話器のように耳元にあてると、ドーナツ屋さんにドーナツの注文を始めた。まさか~。彼の片方のほっぺたがてらてらと光っている。心もち照れているようにも見える。まさかね。

数分後、スクーターでドーナツ屋さんがやってきた。支払いはケロッグのチョコワ。

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(↑ケロッグのチョコワもドーナツみたいなリングになってますよね)

少年からにこにこ笑顔とドーナツが絶えることはない。




つづき「人喰いドーナツ」
少年はドーナツと会話ができる。「もおおお隊長の言うことをちゃんと聞かなきゃだめじゃないかドーナツ3号!」隊長?3号?

少年がお弁当のドーナツを食べようとしたら、タイヤになったドーナツが坂道を転がった。

ま待てーーー。

ドーナツは穴に落ちた。穴の中にはネズミが住んでいてかなり広い。

ネズミはドーナツのお礼に【小さいつづら】と【大きいつづら】のどちらかを選べという。 ごめんなさい!!中身はもちろんドーナツです(泣)!! 

昔話だと正直者のじいさんが【小さいつづら】を選ぶけど、少年は迷わず【大きいつづら】を選ぶに決まっている。むしろ彼の方が正直です。実はじいさんは計算高いよ。

大きいつづらを開けたら。中身は・・・・・人喰いドーナツ!!小さいのはただのドーナツだろうなあ。

それにしてもドーナツが人を食べるなんてあべこべだ。

ワンワンワンワンと吠えまくる人喰いドーナツに少年は、

「コラ!(太字・100pt)」

と一喝。

人食いドーナツはシュンとしてたちまちただのドーナツになってしまったそうだ。

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