見出し画像

呼吸の本|星野道夫『旅をする木』

星野道夫さんの『旅をする木』は、呼吸の本。

文字の先に、呼吸がある。
紙の先に、海の風がある。

「今」しか見えない。
星野さんの描く世界は、「今」だけ。

目の前にあるもの。さっき起きた出来事。今の自分に与えられている感情。

まっすぐな視線で、星野さんが授かった「今」をひたすら描いている。

深い森の頂にある湖みたいに、私の脳内ノイズを断ち切ってくれる。

万物愛に満ちた彼の視点を借りて、私は地球で深呼吸する。

この記事が参加している募集

読書感想文