#7 こもりうたは労働歌だった?②
前回は、こもりうたの起源が労働歌であったお話をご紹介しました。特に日本では、子守奉公に雇われた少女が、労働としての子守で歌ってきた背景があったから、辛い歌詞もたくさん出てくるんですね…
今回は具体例をいくつかご紹介します。
嘆きのこもりうた
五木のこもりうた
世界的に有名な「五木のこもりうた」は、その代表格です。
伝承者により歌詞が複数ありますが、例えば、このような歌詞があります。
自分は貧しく、あの人たちは良い装いをしているといった趣旨の歌詞です。
子どもに聞かせるというよりかは、ぼそぼそと口から歌にして吐き出すことで、心のバランスを保っていたと推察できます。
幡多地方の子守唄
苦手な方はごめんなさい。
寝ない子はまな板にのせて大根きざむようにきざみたい…といった内容です。
いわゆる「脅し」の意味を持つ歌詞は国内外にも多くありますが、個人的には群を抜いて身震いしました。
守り子のこもりうたについては、文献も色々あるので、折を見てまた深堀したいと思います。
ここまで辛いか、こもりうた
「日本のこもりうたは怖い」となんとなく知っている方も多かったと思いますが、いざ見てみると背筋の凍る恐ろしさ。
大の大人が眠らない子どもと格闘するだけでもしんどいので、守り子の境遇を想えば語気の強さから伝わるものに、心が締め付けられる思いです。我が子の寝かしつけに根を上げているだけの自分を恥ずかしく思います。(いやでもしんどい)
現代に必要なこもりうたの姿
もうここまでくると、こもりうたのイメージはだいぶ変わりましたよね。
もちろん、やさしくねんねに促す唄も多くありますが、特に日本の場合は奉公に出ていた守り子の労働歌として捌け口としての大事な大事な役割を担っていたことが分かりました。
現代でイメージする、いわゆる「作詞」とは異なり、口からこぼれた言葉とメロディーがだんだんと伝承されてきて、誰かが譜面と文字に起こしたものが現代に残っている。
そう考えると、子守唄の始まりは、より正直で、包み隠すことのない「吐露」だったのだと感じ取れます。
似たようなもので、「捌け口」「ガス抜き」「発散」…
現代でも大切と言われていますが、もしかしたら、こもりうたって、私たちにとってそんな存在になれるのかもしれない…?
次回、知識編を離れて、日ごろの想いをおしゃべりさせてください。
おすすめこもりうた
最近、まさに「ねむれないモンスター」を相手に奮闘中です。
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