【連載小説】『お喋りな宝石たち』~竹から生まれし王子様~第一部 第十三話「王子を守る妖精」
第十三話「王子を守る妖精」
「な、なに? 」
「あんた、エリス様の孫でしょ。
魔法使えるはずなんだから、
今からでも習得しなさいよ」
「はっ? おばさんの私に今から魔法使いになれと? 」
紫の女の子の言葉に、
瑠璃が素っ頓狂な声を出した。
「魔女は昔からおばあさんと決まってる。
うちの王国でも偉い大魔法使いは、
みんなおばあちゃんだ」
金髪の男の子が説明して頷いた。
「私はまだおばあちゃんではないです」
「でも、覚える頃にはおばあちゃんかもしれないでしょ? 」
ラピスが笑った。
「………」
瑠璃はムスッとした表情をすると、
「そうだ。ちょっと気になったんだけど、
なんで私、あなた達と普通に話せてるんだろう」
「あんたは今、宝石王国の言葉で話してるのよ」
「えっ? 」
「だから~ちゃんと脳内がそのように働いてるの。
それだけでもエリス様の孫だって証明になる。
そのネックレスは身につけておくと、
魔法の増幅につながるからいいわよ」
紫の子に言われ、瑠璃はダイヤのような石を見つめた。
「それにしてもこの子大きくならないわね」
瑠璃が王子を見る。
「多分………そこからは通常に大きくなるんじゃないの? 」
「へっ? 困るんだけど」
ピンクの子の説明に瑠璃は慌てた。
子育てしたことないのに、
こんな小さな子………
どうすればいいの?
何食べるの?
それより、ここにかくまうって事?
見つかったら私、誘拐犯になっちゃうじゃない。
「ねえ、王子~早く大きくなって、
それで、
アルバイトでもしてくれないかな~」
「な、なんという事を。
由緒正しきフォス王子に、
あんたは何をさせるつもりだ」
「何って、私だって分かんないのよ。
こんな小さな子、どうしたらいいの? 」
オレンジの髪の男の子を見た。
「だったら、あんたの子にして育てなさいよ」
紫の子が言う。
「はぁ? 妊婦だったこともない私が、
いきなり子供連れてたらかえって疑われるでしょ」
「子供など一分もあれば出来上がるだろう? 」
白い髪の男の子の言葉に絶句した。
宝石王国では抑々男がいないのだから、
子中をなすこと自体考えられないのだろう。
そりゃそうだ。
たった一滴血を垂らせば、こんなのが出来上がるのだから。
あっ、でも妖精は?
男もいるじゃん。
瑠璃がそのことを指摘すると、
「妖精は人じゃないから、
フェアリーストーンは石から誕生するの」
赤い髪の女の子が説明した。
ふぅ~ん。そういう事か………
瑠璃はウトウトするフォスと呼ばれた王子を眺めた。
母性がないわけではない。
そして子供を放っておくこともできない。
「この国では………というより、
人間は十月十日大事に育てて自分で産むのよ」
「産む? 」
顔を顰める妖精たちに、
「まぁいいわ。あなた達魔法を使えるのよね」
と聞くと十四人は頷いた。
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