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事業再構築補助金/対象になるか⁉一発でわかる新事業・設備の判断基準



今日は

「事業再構築補助金/対象になるか⁉
一発でわかる新事業・設備の判断基準」
というテーマでお話します。


この記事は、
私が『事業再構築補助金の計画書作成支援機関
へ出向していた時の経験に基づいて
作成しています。

そして、この記事は

「自分の計画が事業再構築補助金の
対象になるか知りたい方」
「知っていれば、補助金申請できたのに…
 を防ぎたい方」
「事業再構築補助金を営業の武器にしたい方」

に読んでいただきたい内容となっています。
ぜひ申請にお役立てください。



正直、補助金の対象になるか、
ならないか
の考え方が、
事業再構築補助金の
最も大切で、最も難しい部分
になります。



事業再構築補助金は、今回で12回目の
公募となりましたが、
大前提は第1回から変わっていません。




事業再構築補助金の計画書を作成する前に、
大前提、押さえておきたいポイントがあります。

最近でも
「そもそも通らない計画書を作っている方」
「注力するポイントを間違っている方」


が、たくさんいらっしゃいます。

初期の頃、
私も重要なポイントを見誤っていました。


そのため、
時間をかけて計画書を作っても、
全然採択されない時期がありました。

今はありがたいことに、
たくさんの方の申請を支援し、
採択に繋げることができています。



そのポイントとは何でしょうか?

では早速見てみましょう。


第一章 事業再構築補助金における『新事業』


事業再構築補助金の計画書を作成する前に、
やらなければならないことがあります。

それは、
「本当に事業再構築補助金の対象になるか?」
についての確認です。

実際この仕事をしていると、

「今と違う事業ならいいんでしょ?」
「新事業に使うお金ならなんでもいけるの?」

など様々な質問をいただきます。


こういった大前提を確認せずに計画書を
作り始めてしまうと、途方もない時間を
無駄にすることになってしまいます。

このnoteでは、事業再構築補助金に申請できる
計画書かどうかが一発でわかる新事業・設備の
判断基準を説明させて頂きます。



事業再構築補助金における『新事業』は、
次の二つで定義されます。

1.製品・サービスの新規性
2.市場・顧客の新規性


1ページ目でこの新事業の要件合致を示し、
この二つの新規性の定義を
満たしていることを示せない場合、
「2ページ目から計画書を読みません」と
公募要領に定義されています。

では、
この新規性は具体的に
どのようなものでしょうか?

それぞれ説明します。


1.製品・サービスの新規性について


例えば、

1.「今は住宅建設業だが、
ラーメン屋を始めたい!」

2.「エステをしているが、脱毛を始めたい!」


これは対象になるでしょうか?


結論を言うと、
この2つは「製品・サービスの新規制」を
満たしているため、対象になります。



それでは、この2つは採択される計画テーマ
言えるでしょうか?

この問の場合は、①②の両方が、おそらく
『採択されない』計画テーマになります。 

「え?どうして?」と思われた方が
多いと思うので、理由を説明します。

確かに両方とも、
今行っていない事業であるため、
大前提の新規性は満たします。

しかし、新規性を満たせば何でも
採択されるのかと言えば、
そうではありません。

「1.ラーメン屋」の場合、
新事業であることは疑いようがありませんが、
既存事業との関係性が薄すぎます。

つまり、今の自社の強みが新事業に活かせず、尚且つ、既存事業にとっても
シナジー(相乗効果)がありません。

何か、画期的な相乗効果の裏付けがある場合は
話が別ですが、一般的には
「通りにくい」計画書と言えるでしょう。

まとめると、申請者がやっても、
素人がやっても
同じような結果になる事業は
採択されにくいということです。

強みを存分に活かせる計画にしましょう!

次に、
2.「エステから脱毛」の再構築の場合、
自社の強みは活かせそうですね。
これまで、やっていなかったことなので、
新事業にも見えます。

しかし、この場合も採択を受けることは
できません。

「業種の大分類や中分類を
変更しないといけない
ということですか?」

と聞かれることもありますが、
そんな決まりもありません。


このパターンは、
実は第10回公募までは一定数が採択されて
いました。

しかし第11回公募からは、ほとんど採択
されなくなってしまいました。


審査基準に見直しが入ったからです。

事業再構築のテーマの一つである。
「日本経済の構造転換を促すことに資するか?」
という項目に引っかかってしまったのです。

脱毛では産業の構造を転換できないと
判断されてしまったのでしょう。

その結果、
脱毛の案件は
ほとんど採択されなくなりました。

他にもキッチンカーへの進出計画も
多くありましたが、同様の理由で
採択されにくくなりました。

『イノベーション。サプライチェーン。
構造転換。雇用創出。SDGs。先進技術。
地域貢献。思い切った設備投資。経済波及効果。
グローバル市場での競争優位性。
シナジー効果。』

など再構築補助金で意識すべきキーワードは
公募要領で数多く示されています。


これらを充足しない
「安易な新事業」や「補助金か欲しいだけで
始める新事業」
への風当たりは相当キツくなっています。


これは個人的な意見ですが、
「補助金がなくてもやりたいほど付加価値が
期待できる事業」でなければ採択されにくい
というのが、正直な印象です。


ちなみに、他にも
「国からの報酬で運営する介護医療事業等」や「一次産業と、一次産業に近い事業」
また、
「単に不動産等を賃貸するだけの事業」等の
不労所得を得られるタイプの事業は基本的に
補助事業対象外となっています。


2.市場・顧客の新規性について


次に、市場・顧客の新規性についてですが、
こちらは、さらに判断が難しくなります。

先ほどの

1.「今は建設業で家を建てているが、
ラーメン屋を始めたい!」
に関しては、「住宅建築市場」と「飲食市場」
で、明らかに市場が異なります。

しかし、
2.「エステをしているが、脱毛を始めたい!」

ではどうでしょうか?

この場合は、
結論、計画 及び 書き方によって正否が
異なります。

例えば、
既存事業のエステの顧客に対して、
追加で脱毛サービスも提供するという
計画書なら、即座に不採択となります。

しかし、
「レディスエステ」から「メンズ脱毛」
に進出する場合などは、話は別です。

「レディス」から「メンズ」に市場が
変わってるため、「市場・顧客の新規制」
に関しては、対象になり得ると言えます。

他にも、年齢や属性によってターゲットを
分けることで、新規性を謳うこともできます。


3.事業再構築補助金の対象にする方法


これらの前提の中で、
逆に、対象にならなさそうな事業でも、
戦略によって新規性をクリアする方法
があります。


ある具体例を出します。

「住宅建設会社A」があります。
これまで、Aの住宅設計業務は「設計事務所B」に
外注していました。

今回、Aは新たに設計士を雇用し、社内に設計部門
を新設します。これまで外注していた設計業務を
内製化し、外注コストの削減を図ります。

この計画の場合、
①単に自社で建築する住宅のみの設計する場合
②設計業務単独でも他建設業者から受注する場合

によって答えが異なります。

①単に自社で建築する住宅のみの設計する場合
サービスに対してお金を支払うのは、
住宅を建てる個人です。

設計を外注した場合と、市場・顧客は
変わらないため、再構築ではないとみなします。
(どちらの場合も、お金を払う人は施主さん)

対して、
②設計業務単独でも他建設業等から受注する場合は、ターゲットが
住宅建設する個人(toB) →  建設業社(toC)

と変化するため、市場・顧客の新規性を
満たすことができます。
(お金を払うのは施主ではなく、他建設業者になる)

ただし、
①自社建築分の設計のみの場合でも、
市場・顧客の新規性を満たす場合があります。

どんな場合でしょうか??

それは、
これまで性能重視の住宅建築で、デザイン性を
無視してきた会社が、設計部門を立ち上げ、
デザイン性重視の新商品販売を
開始する場合です。

これまではデザイン重視の顧客は他社に流れ、
機会損失となっていました。

性能重視顧客 → デザイン重視顧客

への進出となり、市場・顧客の新規性が
認められます。

この様に、ターゲットの設定や戦略によって、
新規性を認められることも可能となります。



第二章 新事業の補助対象となる経費



ここからは、補助対象となる
経費について説明します。

事業再構築補助金の採択が下りたからと言って、
申請金額のすべてがもらえると
確定するわけではありません。

採択後に、『交付申請』という、
いわゆる『見積審査』が実施されます。
その『交付申請』で問題が発見されず、
『交付決定』を受けたとき、
はじめて補助金額が内定します。

場合によっては、補助金額が減額、
または最悪の場合、
交付金額「ゼロ」になる場合もあります。

そうならないために、『補助対象経費』
の考え方について、
きっちりと理解しておきましょう。

よく、事業再構築補助金の補助対象経費
について、以下のような質問を受けます。

1.「既存事業でも使える設備を買いたい」
2.「使っていない土地を活用したい」
3.「新事業のために事務所を建設したい」
4.「新事業開始のためのランニングコストを
補助してほしい」


さて、これらは補助対象になるでしょうか?


結論、これらはすべて「否」です。

結果的にOKになるケースもありますが、
基本的にはよろしくありません。

以下でそれぞれ理由を説明します。


1.「既存事業でも使える設備を
買いたい」


まず、事業再構築補助金の対象となる
補助事業経費の大前提を説明します。
それは、
専ら、新事業に必要となる費用』です。

既存事業で使える設備は、
補助対象になりません


もしくは、既存事業と新事業での利用頻度に
基づいた按分割合が減額されます。

実際に、既存事業でも使用している工場を
新事業のためにリフォームした案件では、
既存事業で使用する面積分を割り引いた
補助金しかもらえませんでした。

もらえると思っていた補助金が、
急にもらえなくれば、本業に甚大な
被害をもたらす可能性があるため、
事前に割り引かれる可能性を、きちんと
理解したうえで申請する必要があります。

新事業にしか使えない設備
もしくは使えない状態にすれば問題ないため、
専ら(専門的に)新事業に用いる費用のみ
計上
するようにしましょう。


次に

2.「使っていない土地を活用したい」


先ほど、「否」と答えましたが、
こちらは、結果的に「可」となる場合も
あります。

事業再構築補助金の考え方として、
計画書では、『新事業に最適な選択』
取り続ける必要があります。

その新事業を
「その場所でしなければならない」
「その場所が最適」である理由を
説明しなければいけません。

例えば、新事業で居酒屋を開始する場合、
駅前等の人通りの多い立地が最適であるため、
山奥の遊休地で始めるのは、
最適とは言えません。
(何か土地柄を活かした戦略があれば
別ですが)


説明を凝らして突破する方もいますが、
「遊休地を活用したいだけじゃないですか?」
と思われると、審査に影響が出るため注意が
必要です。


3.「新事業のために事務所を
建設したい」


こちらも土地活用と同じく、説明によって
突破可能です。
しかし、
「本当に、新事業のために事務所を
建設しないとだめですか?」
「実は、建物を建てたいだけでは?」

と常に疑念の目で見られることは
覚悟しなければいけません。

実際に、交付申請の段階で指摘を受けて、
補助金交付まで大変苦労したケースも
あります。
(結果的に交付決定がおりたので
ホッとしました…)

計画書内で、
「なぜ新築でなければならないのか?」
「賃貸ではだめなのか?」
「増築や改装で対応できないのか?」
について詳しく説明する必要があるため、
計上する場合はしっかりと理由を
考えておきましょう。


最後に、

4.「新事業開始のための
ランニングコストを補助してほしい」


要領に記載されている「広告宣伝費」、
「研修費」等の一部経費を除いた
ランニングコストは補助対象になりません。

つまり、人件費等はいかなる場合も
「補助対象外」となるため注意が必要です。

新事業を開始できるだけの体制を整えた
うえで、事業再構築に臨みましょう。


まとめ

以上が、『事業再構築補助金』の
大前提になります。

前述のとおり、「知っているか、知らないか」
によって、
採ることのできる事業戦略は変わります。

「知っていれば、申請できたのに…」

という声も、これまで沢山聴いてきました。

機会損失を減らすためにお役立ちする情報を
今後も発信していきます!!

ご精読ありがとうございました。


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