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烏に単は似合わない感想 2024年5月30日

恐ろしい才能の小説を読んでしまった!

『烏に単は似合わない』阿部智里 
世継ぎである若宮の妃を選ぶため、名家から4人の女性が集められる。女性しかいないなかで妃となるのは一体誰なのか!


この時点で読みたいと思っている方はすぐにブラウザバック。


表紙を見た時、「いかにも乙女向け文庫な表紙だなぁ。」と思った。アニメをしているらしいという情報も相まって、最後主人公がイケメン王子と結ばれるんだろうな〜…と。(私自身、異世界転生者も含め女性向けライトノベルは嗜んできた。)しかし、いい意味で裏切られた。読む前までに持っていた、女社会の嫉妬、お互いに研鑽することで生まれる友情、また甘い恋愛への期待は粉々に打ち砕かれた。

この物語は、ミステリー?サスペンス?あたりに分類されると思う。既視感を利用し、読者にミスリードさせる展開が本当に見事だった。初め、ライトノベルのつもりで読んでいたので、文章や描写の違和感も「若い作家さんだもんな〜」でスルーしてしまっていた。それらの違和感がつながり、物語の恐ろしい全貌が見えてくる。この快感は読んだ人にしかわからないので、本当に読んでみてほしい!

母にお勧めしたところ、「面白いとしてもそういう表紙の文庫本を買うのは恥ずかしいから嫌だ。」とのことだった。もったいないなぁと思いつつも、確かにそうだとも思う。表紙のイラストによってこの本を楽しむ読書力を持った人を逃している側面があるのは間違いない。
この本を心から楽しむには、いわゆる”女性向けライトノベルあるある”への理解が必要なのではないか。しかしミステリー好きと女性向けラノベ好きが両立する人って多いのか…?(アニメ化してるんだし心配無用ですね)

今は続編「烏は主を選ばない」を読んでいる。残りの八咫烏シリーズも楽しみだ。


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