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私たちにもたらすものはなに?“再生医療”のメリット・デメリット

皆さんこんにちは。
今日も少し健康について考えていきたいと思います。
皆さん、一度は再生医療という言葉を耳にしたことがあるかと思います。
けれど、何かを聞かれると説明するのが難しいのではないでしょうか。

病気への治療のイメージは明確ですが最近では美容でも再生医療美容なんてちらほら耳にすることも増えてきました。
今回はそんな再生医療についてまとめていきたいと思います。
 


” 再生医療 ”の一例

 再生医療にはいろいろありますが、
たとえば自分の身体から幹細胞という特殊な細胞を取り出して増やし、
目的とする組織や臓器などにしてからもとの身体に移植する方法があります。
そのような方法では最近、iPS細胞を使った再生医療にも注目が集まっています。再生医療は根本的な治療になり得る優れた治療といわれています。
では、もう少し詳しくまとめていきましょう!
 
 

再生医療とは?


 トカゲのしっぽは切り離されてもまた元通りになりますよね。
トカゲほどではありませんが、人間にも、もともと「再生する力」があります。
再生医療とは、ケガや病気などによって失ってしまった機能を、
いわゆる“化合物”である薬でケガや病気を治療するのではなく、
人のからだの「再生する力」を利用して、元どおりに戻すことを目指す医療のことです。

現在、再生医療では、「幹細胞」や「体細胞」それぞれを利用して
ケガや病気で損傷した部分に移植して組織の再生を促したり、
根本的な治癒を目指す「細胞移植治療」が行われています。
 

「幹細胞」と「体細胞」とは

 私たちのからだは、約60兆個の細胞からできており、
その起源は1個の受精卵です。受精卵が細胞分裂(増殖)によって「」になり、さらに細胞分裂を繰り返して多種多様な細胞に成長し、皮膚や脳、心臓といった組織や臓器がつくられます。このように、細胞が様々な組織や臓器に変化することを「分化」と言います。

 一方、細胞には寿命があり、多くの細胞は分化すると増殖することができなくなり、やがて死んでいきます。
例えば、肌をこすって垢が出るのは、皮膚の死んだ細胞が剥がれ落ちるからですが、その下にすでに新しい皮膚があるのは、組織の中には、新しい細胞を補充する役目をもつ未分化な細胞があるからです。完全に分化し、皮膚や血液のように組織や臓器となった細胞は「体細胞」、これからいろいろな組織や臓器になれる未分化な細胞は「幹細胞」と呼ばれています。


ステムと分化


 成熟し、組織や臓器になった細胞のことを体細胞といい、これらはからだの特定の組織の維持に働きます。 
⼀⽅で、幹細胞は様々な細胞に姿を変える能⼒を持った細胞のことを⾔い、英語でStem cell(ステムセル)と呼ばれます。 

Stem(ステム)とは⽊の幹という意味で、幹細胞(⽊の幹)から様々な種類の細胞(⽊の枝)が分かれ、からだの組織や器官をつくる成熟した体細胞に変化します。
このように1つの細胞が多くの細胞に分かれ、様々な細胞へと変化することを分化と呼びます。


幹細胞の種類


 再生する力を持った細胞である幹細胞は、おもに以下3つに分かれます。
 
ES細胞
ES細胞とは、生殖医療などで生じる余剰胚(胚盤胞)から取り出した「内部細胞塊」を培養した幹細胞です。
適切な培養条件を与えてやれば無限に増殖可能であり、
身体を作るあらゆる細胞へと分化する能力を持ち、例えば心筋・神経・網膜へ分化させることができます。
ES細胞は、胚性幹細胞(はいせいかんさいぼう)と呼ばれ、受精卵が分裂したあとの細胞のかたまりである胚(はい)から作られる細胞です。

すべての種類の細胞に分化が可能であり、ほぼ無限に分裂できる特徴を持ちます。
一方で、他人の細胞から作られるため、免疫拒絶反応が起こるリスクも持ち合わせます。
また、他人の受精卵を活用することで起こる倫理的な問題や、
腫瘍化・がん化のリスクも叫ばれているのが現状です。
 
 
iPS細胞
iPS細胞とは、人の皮膚から採取した細胞に遺伝子を入れ込み、培養して作る細胞です。すべての種類の細胞に分化でき、ほぼ無限に分裂できます。
iPS細胞は自分の細胞から作るため、免疫拒絶反応が起こるリスクは低く、倫理的な問題も起こらないのが特徴です。
一方で、細胞の性質が安定せず、腫瘍化やがん化のリスクがあるとされています。
 
 
体性幹細胞
体性幹細胞とは各組織に存在する幹細胞なので、いわゆる「自然治癒力」の源です。原則として、多様な細胞に分化する能力は有しません。
例えば、皮膚幹細胞であれば皮膚の細胞に、角膜幹細胞であれば角膜の細胞にのみ分化します。
体性幹細胞とは、人の身体に存在し、機能修復・維持に作用する幹細胞です。体性幹細胞は自分の細胞から作るため、免疫拒絶反応が起こりにくく、倫理的な問題も起こりません。
一方で、体内に存在する数が少なく、体外で増殖・維持するのが難しいとされています。


再生医療のメリット


新たな可能性を示唆
再生医療は、患者自身や他者の細胞から治療に必要な組織や細胞を作り出して移植するため、他者の臓器移植などに頼ることなく治療を行うことが可能となります。

また、現在の医学では治療法が確立していない病気の中にも、再生医療によって治癒する可能性が示唆されているものもあり、これまでの医療では治すことができなかった病気やけがのある部位を“新たに作り出した健康的な組織や臓器に入れ替える”ために生み出された治療法なのです。
 
体への負担が少ない
たとえば、外科手術の場合、数時間にわたる手術によって身体にメスを入れて患部を切除するケースがあります。治療後は身体にダメージが残る場合もあるでしょう。
一方で、再生医療の場合は細胞を摂取する際にごく少量の組織を採取するだけで成立するため、身体にダメージが残りにくいのです。そのため、患者さんに負担がかからない形で治療できます。
 
 

再生医療のデメリット


高額であること
再生医療は自由診療であるため、治療費が高額になりやすいとされています。治療によっては、数百万かかるケースもあるようです。
 
効果を100%保証するものではない
再生医療を適応できると考えられている人体の部位は多岐にわたり、
脳神経、目、耳、歯、歯肉、心臓、肝臓、食道、大腸、腎臓、尿道、卵巣、子宮、血管、皮膚、関節、骨などが挙げられます。
これらの部位に生じる病気の中には、望み得る最高レベルの医療を行っても十分に改善しないものも多いため、手の施しようがなく命を落とすケースや重大な後遺症を残すケースも多々あるのが現状です。
 
倫理的問題
「ES細胞」は受精卵が胎児になる途中の胚の中にある細胞を採り出して培養し、作製するため、本来赤ちゃんになれる細胞を利用するという倫理的な問題があります。
 
 
◉治療を受けられるクリニックが限られる
再生医療は、厚生労働省に届け出て受理されたクリニックでしか治療ができないため、治療を受けられるクリニックが限定されます。

再生医療は、有効性のある新しい治療法であるため、安全性に細心の注意を払わなければなりません。
安全性を担保する意味で、厚生労働省に届け出て受理されたクリニックででしか再生医療が提供できないような仕組みにしているのです。

 
 
今回は再生医療についてまとめてみました!
聞きなれない用語が多く難しいイメージを持ったかもしれませんが、
今後も新しい医学をしっかり学んで健康な毎日を目指していきましょう。
 
 
では、今回はこの辺で。
皆さんの毎日が健康でありますように!


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