「その男、ジョーカー」EPISODE1「卒業」あとがき
どうも、松田悠士郎です。
先週、ハートボイルド小説「その男、ジョーカー」の記念すべき第一話「卒業」が終了致しました。一度でも読んで頂いた方々、誠にありがとうございました。今回も「鳳凰落とし」と同様に「あとがき」と称して色々書いて行きます。
本編開始前の記事で書いた通り、「その男、ジョーカー」は私が尊敬する松田優作さん主演の元祖ハートボイルドドラマ「探偵物語」のあからさまなオマージュとして執筆開始しました。なので主人公のジョーこと青天目譲の台詞や地の文(一人称形式なので地の文もジョーの喋りと言う建付け)を書く際も「探偵物語」の主人公である私立探偵の工藤俊作の喋り方を大いに意識しました。
さて、今回のサブタイトルは「卒業」ですが、このタイトルがダブルミーニングになっている事にお気づきの方も多いでしょう。
つまり、ひとつ目の意味はアイドル歌手として活動していたMOMOが、ジョーに連れて行かれた『喫茶 カメリア』で出会ったマスターの椿大悟にひと目惚れして結婚を決意し、歌手を引退する事を指し、ふたつ目の意味はMOMOと大悟の結婚式での出来事に引用した映画、タイトルはズバリ『卒業』です。
この映画、私はキチンと観た事はありませんが、結婚式場にダスティン・ホフマンさん演じる主人公が乱入して花嫁を連れ去るクライマックスシーンはかつて様々なテレビ番組で何度も擦られていたので知っていました。今回、大悟とMOMOの馴れ初めを描くと決めた時に、このクライマックスを引用する事はすぐに決めました。なので基本的には結婚式までどう持って行くかを考えて書いていました。マネジャーの藤村がストーカーだったと言う事実も早い段階で決めていました。これも何か元ネタになった話があった気がするのですが失念しました。
次はMOMOの本名です。「こぶし探偵ともちん」では既に結婚して椿桃子に名前が変わった後なので、今回の重要なポイントとして考えていました。
元々、MOMOの苗字には『鬼』と言う漢字を入れようと思っていて、実際に存在する『鬼』を使った苗字を検索して最終的に『鬼瓦』に落ち着きました。昔話『桃太郎』に引っ掛けて『鬼ヶ島』と言う苗字があれば完璧だったのですが、検索しても『鬼島』『鬼嶋』はあるのですが『鬼ヶ島』は無いらしく断念。『鬼瓦』に決定したのは、かつての人気バラエティ番組「おれたちひょうきん族」でビートたけしさんが演じたキャラクター『鬼瓦権三』を思い出して、ここにもダブルミーニングを入れたくなったからです。尤も私は「8時だヨ! 全員集合」派だったので「〜ひょうきん族」は数回しか観ていませんが。
次は、事前の記事では設定しなかったキャラクターについて。それが、結婚指輪を求めてジョーが訪れた質店『勝俣屋』の店主、勝俣時央です。正直言って、指輪の入手経路については全く考えておらず、いざ式の段取りを決めるくだりに入った所で気づいて頭を抱えました。そこで閃いたのが質屋でした。イメージソースは質屋そのものよりかは、かつて放送されていたドラマ「確証」等で描かれた、贓品(盗まれて質入れされた品)を扱う質屋の方が強いです。
勝俣本人のビジュアルイメージは、当初は「探偵物語」に登場した宝石商の山崎(演:榎木兵衛さん)を考えていましたが、山崎が年がら年中酔っ払っていたのが引っかかったので止め、木梨憲武さんに変更しました。
最後に取り上げるのは少し細かい所ですが、坂上署の溝口喜信刑事がジョーに頭を撫でられる度に言う「触るな勃起する」と言う台詞について。
この台詞は、かつて歌手の松山千春さんが音楽番組「うたばん」にゲスト出演した際、自身のスキンヘッドをMCの中居正広さんに撫でられた時に実際に言った言葉です。溝口はスキンヘッドではありませんが、頭髪が寂しい事を表現する為にジョーに触らせて件の台詞を言わせた次第です。今後も事ある毎に上記のやり取りは行われるでしょう。
今回、初めて一人称形式で書いた訳ですが、思っていたよりもスムーズに書けました。これからもこのnote上に掲載する予定ですので、お引き立ての程宜しくどうぞ。では、これにて終了。
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