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【京都芸術大学】 芸術理論2 西洋の芸術理論レポート全文公開

はじめに


芸術理論2 西洋の芸術理論のレポート全文を公開します。
このままコピペして提出すると不可になるかもしれません。
課題内容は当時のものであり、現在の課題内容とは異なる場合があります。
ご自身でのレポート作成に、参考としてご活用ください。


課題

【設問1】
 教材テキストに登場する以下の用語の中から二つを選び、どのような意味であるかを各400字程度で説明してください。(800字程度)
ゼウクシスのひそみ  エクフラシス  詩は絵(絵画)のごとく  シュムメトリア  批判哲学

【設問2】
 古代ギリシアの彫像の理想的な人体、あるいは舞踊における身体表現のように、古来芸術は、身体を表現の対象や方法としてきました。テキストに掲載された芸術理論を自由に二つ取り上げて、両者での考え方を参照しつつ、芸術と身体との関わりがどのように考えられてきたのかを説明してください。(1200字程度)

【設問3】
 西洋では古代ギリシア以来、芸術とは自然のミメーシス(真似・模倣)であるという考え方が存在しました。テキストに掲載の芸術理論を自由に二つ取り上げて、両者での考え方を参照しつつ、芸術におけるミメーシス(真似・模倣)がどのように論じられてきたかを説明してください。
(1200字程度)

本文

設問1の解答

【ゼウクシスのひそみ】
 ゼウクシスとは人名であり、紀元前四世紀前半に活躍したヘラクレイアの画家である。神殿に納める絵画を制作する際、モデルとしてポーズをとるのにふさわしい美しい女性を見つけられなかったゼウクシスは、5人の美女を選び各々の最も美しい点を取り出して合成し、神話上の絶世の美女ヘレネを描いたとされている。その手法は「西施の顰に倣う」という中国の故事の意味を転用した「ゼウクシスのひそみ」という言葉で知られている。ガイウス・プリニウス・セクンドゥスの著書である『博物誌』に、このエピソードがおさめられている。政治家・弁論家であるマルクス・トゥッリウス・キケロは、著書『発想論』においてこの「ゼウクシスのひそみ」を例に取り上げ、「弁論術のすべてを描こうと思い立ったときに(中略)、全ての教本を一堂に集め、納得できる教えは書き写し、ほかにも優れた著者の卓越した教えを抜き書きした」とあり、先達たちの雄弁術の優れた部分を寄せ集め最高の弁論術論を作り上げようとしたと述べている。

【シュムメトリア】
 シュムメトリアとは、紀元前1世紀頃の建築家・技術者であるマルクス・ウィトルウィウス・ポッリオによる概念で、『建築十書』に記述されている。ウィトルウィウスにとって建築とは、適切な場所・配置・比例・材料などに基づいて作業を行うことでもあり、その「適切さ」を決めるきわめて重要な概念が「シュムメトリア」である。あらゆる作品や構造物の各部分がバランスよく調和していること、更に部分から全体に至るまでひとつの
調和に基づいていることを指す。ウィトルウィウスは調和のとれた構造物の典型を人間の体に求め、美しい人体の調和が保たれている場合、肘・足・掌・指その他細かい部分まで調和がとれているように、例えば神殿の柱や投石機の発射口や船のかじ受け部分など、あらゆる構造物がシュムメトリアに従って作成される、と述べている。この考え方はルネサンスの人々の心を捉え、レオナルド・ダ・ヴィンチの人体図のように、人間の体から導きだされる数学的比率から美しさや有用性が創り出せるという発想が現れた。

設問2の解答

【芸術と身体との関わり:ウィトルウィウスとルキアノスの理論より】
 紀元前1世紀頃の建築家・技術者であるマルクス・ウィトルウィウス・ポッリオは、著書『建築十書』において

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