遠藤麻衣 連続特別講義「シャドーフェミニズムズ・チャット・ルーム 2023」Shadow Feminisms Chat Room 2023
この度、メディア芸術コースでは俳優・美術家の遠藤麻衣さんをお招きし、4回連続となる特別講義を開催します。2021年、メディア芸術コース卒業制作展の関連イベントとして、「教授陣×学生対談 司会 - 小田原のどか メディア芸術 / 美術教育 / 大学制度 / ジェンダー」というトークイベントが開催され、メディア芸術領域におけるジェンダーバランスや、大学制度における不均衡の問題などについて話し合われました。また、この際に有志学生から研究室宛に要望書が提出され、その中でコース内でのジェンダーバランスや多様性の欠如についての指摘や、ジェンダー、フェミニズムに関して学ぶ機会を求める要望がありました。これを受け、メディア芸術コースはこれらの問題を真摯にうけとめ、よりよい学びの場を作ることを約束しました。
今回、俳優・美術家の遠藤麻衣さんをお招きして、自身の活動や研究の紹介や、フェミニズムの歴史、芸術におけるフェミニズムの展開についてなど、フェミニズムの理論と芸術実践について学んでいきたいと思います。また、Discordなどのオンラインのプラットフォームを活用し、活発なディスカッションや実践を通じてより深い理解につながるような形で4回連続の特別講義を開催します。ぜひ奮ってご参加ください。
講座説明
この講座では、芸術を実践することと、フェミニスト的な視点を持つことが不可分であることを前提として、ときには美術史的にカテゴライズされる「フェミニズム・アート」を批判的に考察しながら、さまざまな芸術実践を取り上げていきます。レクチャーをベースとしつつ、生徒のみなさんとのチャットを通して、それぞれの考えが反映されたり、個々の実践との接続が模索できる場所となるようにします。
フェミニスト的な視点を持つというのは、ジェンダーやセクシュアリティに対する「一つの正しい知識」を獲得するためではありません。むしろ、そういった考えをときほぐし、カウンター的な知識を身につけることを目指します。またこの講座は、タイトルにもある通り「シャドーフェミニズムズ」を概念的な拠り所として各講座を構成しています。「シャドーフェミニズムズ」とはジャック・ハルバースタム『The Queer Art of Failure』の中で論じられる、ネガティブでパッシブな複数のフェミニズムです。ですのでまず第一回目は、シャドーフェミニズムズについて、遠藤の自己紹介を兼ねて説明するとともに、時事的な出来事や前提となる問題設定の共有をし、次回以降の講座の見通しを共有します。
続く第二回では、美術教育の現場、または表現の現場でどのようなことが問われてきているのかを確認します。ジェンダーギャップ指数や、過去の展覧会や美術批評でジェンダーがどのように扱われてきたかを確認しながら、セクシズムやジェンダートラックが形成される状況について考えます。そして、性別役割分業を批判した上で他者や自分をケアすることの重要性を確認し、フェミニズムを学ぶだけではなく、フェミニスト的に学びや表現の場を作り出すにはどうすれば良いのか?ということについて考えます。
第三回は、イメージをどのように用いて表現を行うことができるのか?というテーマでいくつかの例を挙げていきます。まずは、マンガやゲームなどの表現に触れながら、イメージに内在するジェンダー規範を明らかにしつつ、それをクィアするような表現をあげます。現代美術の実践でも同様にクィアな表現を見ていきます。そして、周辺化された表現ほど規制を受けやすいことを確認し、さまざまな規制の種類について分類しつつ、自身の表現との兼ね合いで考えてみます。
第四回は、チャットする時間にします。第三回までの講座から気になったトピックを選んで、考えたことや疑問に思ったことを書いたり喋ったりします。あるいは、講座では出てこなかったけれど、個人的に気になっていることでもかまいません。積極的に意見交流することを期待しています。
プロフィール
遠藤麻衣
俳優・美術家
イメージとの関わりにおけるパフォーマティブな身体に関心を寄せ、映像、写真、演劇、本などのメディアや方法論を横断した表現をしている。近年は、美学校で「シャドーフェミニズムズの芸術実践」の開講や、丸山美佳との「Multiple Spirits(マルスピ)」でジン出版や展覧会企画などクィアフェミニスト的な実践を展開している。主な展覧会に「VOUで大きな回転舞台を制作する」(VOU、京都、2023)、「体の終わり La Clausura del Cuerpo」(Centro Cultural las Cigarreras、Alicante、2022) 「燃ゆる想いに身を焼きながら」(愛知県立芸術大学サテライトギャラリー SA・KURA、愛知、2021)、「フェミニズムズ」(金沢21世紀美術館、石川、2021)、「ルール?」(2021年、21_21 DESIGN SIGHT)など。2023年に「Scraps of Defending Reanimated Marilyn」(oarpress)刊行。2021年東京芸術大学美術研究科博士後期課程修了。2022年文化庁新進芸術家海外研修制度でニューヨーク滞在。
https://maiendo.net/
https://marusupi.love/
開講日時
10月12日(木)16:30 - 18:00「シャドーフェミニズムズについて」
10月19日(木)16:30 - 18:00「フェミニスト的に学ぶ・作るって?」
10月26日(木)16:30 - 18:00「表現でクィアする・表現に関する規制を知る」
11月9日(木)16:30 - 18:00「チャットの時間」
オンライン会場
以下のZoomにてオンラインで開催します。
Zoom :
学内のお知らせメールなどを参照してアクセスしてください。
対象:全学
Discord:
講義に関しての連絡やディスカッションのためにDiscordを使用します。
参加希望の学生は、必ず講義の初回までに下記Discordに参加してください。
遠藤さん特別講義 Discord:
学内のお知らせメールなどを参照してアクセスしてください。
主催:
情報デザイン学科メディア芸術コース研究室
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