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遠藤麻衣 連続特別講義「シャドーフェミニズムズ・チャット・ルーム」

Shadow Feminisms Chat Room


この度、メディア芸術コースでは俳優・美術家の遠藤麻衣さんをお招きし、4回連続となる特別講義を開催します。2021年、メディア芸術コース卒業制作展の関連イベントとして、「教授陣×学生対談 司会 - 小田原のどか メディア芸術 / 美術教育 / 大学制度 / ジェンダー」というトークイベントが開催され、メディア芸術領域におけるジェンダーバランスや、大学制度における不均衡の問題などについて話し合われました。また、この際に有志学生から研究室宛に要望書が提出され、その中でコース内でのジェンダーバランスや多様性の欠如についての指摘や、ジェンダー、フェミニズムに関して学ぶ機会を求める要望がありました。これを受け、メディア芸術コースはこれらの問題を真摯にうけとめ、よりよい学びの場を作ることを約束しました。

今回、俳優・美術家の遠藤麻衣さんをお招きして、自身の活動や研究の紹介や、フェミニズムの歴史、芸術におけるフェミニズムの展開についてなど、フェミニズムの理論と芸術実践について学んでいきたいと思います。また、Discordなどのオンラインのプラットフォームを活用し、活発なディスカッションや実践を通じてより深い理解につながるような形で4回連続の特別講義を開催します。ぜひ奮ってご参加ください。

講座説明

この講座では、芸術を実践することと、フェミニズムの視点を持つことが不可分であることを前提として、ときには美術史的にカテゴライズされる「フェミニズム・アート」を批判的に考察しながら、さまざまな芸術実践を取り上げていきます。レクチャーをベースとしつつ、生徒のみなさんとのチャットを通して、それぞれの考えが反映されたり、個々の実践との接続が模索できる場所となるようにします。フェミニズムの視点を持つというのは、ジェンダーやセクシュアリティに対する「一つの正しい知識」を獲得するためではありません。むしろ、そういった考えをときほぐし、カウンター的な知識を身につけることを目指します。

またこの講座は、タイトルにもある通り「シャドーフェミニズムズ」を概念的な拠り所として各講座を構成しています。「シャドーフェミニズムズ」とはジャック・ハルバースタム『The Queer Art of Failure』の中で論じられる、ネガティブでパッシブな複数のフェミニズムです。

ですのでまず第一回目は、シャドーフェミニズムズについて、遠藤の自己紹介を兼ねて説明するとともに、次回以降の講座の見通しを共有します。

続く第二回目は、フェミニズムにとって「経験」とは何か、を考えます。第二波フェミニズム、ポストコロニアルフェミニズムやブラックフェミニズム、80年代以降に国際的に広がりをみせたセックスワーカー運動などを系譜的に振り返りながら、関連する芸術表現も扱いつつ、個人的な「経験」を表現として用いることについて考えます。

第三回目は、イメージと演じることをテーマにします。狭義の現代アートに限らず、マンガやファッション、ドラァグなどの文化芸術に触れながら、イメージに内在するジェンダー規範を明らかにしつつ、それに抵抗したり流用したりするような表現を見ていきます。また、このような表現が、規範に対する抵抗を目的とするだけではなく、表現者自身の癒しになったり、ファンカルチャーのようにネットワークを形成することの重要性も見ていきます。

そして第四回目は、時間をクィアすることについて考えます。生まれてから死ぬまでのライフサイクルの中で例えば教育、就職、結婚、出産といった時間、または歴史のような長い連続的な時間、このような「メイン」の時間をクィアすることがどのような創造的実践と結びつくのかを見ていきます。

プロフィール


遠藤麻衣 俳優・美術家
1984年兵庫県生まれ。身体を通じたおしゃべりやDIY、演技といった遊戯的な手法を用いる。遠藤は、民話や伝説といった史料や、ティーン向けの漫画やファンフィクション、婚姻制度や表現規制に関する法律など幅広い対象の調査に基づき、クィア・フェミニスト的な実践を展開している。主な個展に「燃ゆる想いに身を焼きながら」愛知県立芸術大学サテライトギャラリー SA・KURA(2021)、「アイ・アム・ノット・フェミニスト!」ゲーテ・インスティトゥート東京(2017)など。グループ展として、「彼女たちは歌う」東京藝術大学大学美術館陳列館(2020)、「新水晶宮」Talion Gallery、VOU(2020)、「When It Waxes and Wanes」VBKÖ(2020)などがある。 パフォーマーとして小林勇輝「Stilllive」ゲーテ・インスティトゥート東京(2019)、俳優として指輪ホテル「バタイユのバスローブ」naebono art studio、BUoY(2019)に出演。2018年に丸山美佳と「Multiple Spirits(マルスピ)」を創刊。主なエッセイに「毛むくじゃらの山」蜘蛛と箒『原稿集』(2020)など。2022年より文化庁新進芸術家海外研修制度でニューヨークに滞在中。


https://maiendo.net/
https://marusupi.love/

開講日時

各回とも午前 10:30〜12:00
9月24日(土)「シャドーフェミニズムズについて」
10月1日(土)「フェミニズムにとって「経験」とは何か」
10月15日(土)「イメージと演じること」
10月22日(土)「時間をクィアすること」

オンライン会場

Zoomにてオンラインで開催します。
学内掲示のポスターや、学内告知メールにてURLをご確認ください。

対象:

情報デザイン学科(メディア芸術コース・情報デザインコース)学部・大学院生

Discord

講義に関しての連絡やディスカッションのためにDiscordを使用します。
参加希望の学生は、必ず講義の初回までに下記Discordに参加してください。
学内掲示のポスターや、学内告知メールにて招待URLをご確認ください。


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