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#5 『チア・アート』~アートとデザインの違い~

医療デザイン勉強会は毎月1回を目標に開催されています。
今回のテーマは『チア・アート』でした。

ゲストにチア・アート代表の岩田(@yukarebe)をお招きし、岩田さんの活動を通して、アートとデザインの違いなどについて勉強しました。
(岩田さんのnote:https://note.com/cheerart/
空間のデザインの持つ可能性について学びの多い内容になってます!

勉強会の動画はこちらです。

デザインとは?

いつもデザインとは何か?って話からしてる気もしますが・・・
デザインとはひとことで言うと『創意工夫』

で、われわれが行っている医療デザインとは何かというと、
デザインって環境デザインとか建築デザインとか、
いろんな分野にデザインがあるのだけれど、
医療者と患者をハートフルにつなげることを目指したもののすべて』
です。

さらには、われわれが大切にしているのがデザイン思考です。
デザイン思考の3つのプロセスというのは前回までに学んできました。
『着想→発案→実現』ですね。
今回ゲストでお越しいただいた岩田さんはすで素晴らしい活動を実現しています。

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この実現からなぜそれを思いついたのか、どの様にプロセスに落とし込んで行ったのかっていうところを逆算するような形でみんなで読み解いていきたいと思います。

デザインとアートって

桑畑代表によると、明確に定義はされておらず各団体などで表現型が違うそうです。明確な線引きが難しいものなんですね。

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筆者が勉強したのは、この記事です。

簡単にまとめると、
アートとは自己表現で自分中心
デザインとは問題解決で他人中心
って感じになります。

基本はそういうことでいいと思うんですけど、でも人によってとらえ方は様々なんだなぁて感じてます。

岩田さんはアーデザイントコーディネーターで、デザインが応用芸術のようにアートの文脈の一つとして位置付けられてきた経緯から、アートにデザインが内包されているという考え方で活動されている方です。

アハ体験

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われわれの勉強会で大切にしているのはアハ体験。

ひらめき、気づき、発見
実践につながる何かを大切にしています。

この勉強会で何を得られたか、そういう体験はあったか、どんな些細なことでも明日に繋がる、医療がよりよくなる体験、それが一番大事です。

皆さんもアハを見つけてください!

岩田さんのおはなし

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岩田さんが筑波メディカルセンター病院という、つくば市にある急性期病院でアート・デザイン・コーディネータとしてご活躍されたお話です。

今回ご紹介いただいた活動の一つが、つつまれサロンでした。

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利用頻度が低かった家族控え室を改修し、曲面の壁や木製のベンチによる柔らかい雰囲気のなかで落ちついて過ごせる多目的な空間がデザインされたプロジェクト。入り口の扉をなくす代わりに、カーテンと曲面壁で廊下と内部の空間を柔らかく仕切っている。「妄想ワークショップ」によって、病院職員と学生で使い方のアイデア出しを行い、3日間で80枚のアイデアシートが集まった。集まったアイデアから、緊張感の緩和されるような部屋、逃げ込める居場所のような部屋、出張散髪時の利用ができる部屋をコンセプトに設計された。患者さんと家族の面会、病棟でのリハビリテーション、ピアサポートの会場など多様な場面で利用されている
(チア・アートwebサイトより)

プロジェクトのマネジメント

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こちらは病院のエントランスを改修した時のマネージメントの図なのですが、
・よくその現場を観察したりリサーチをして、まずよく探ると
・実寸大の模型を作って配置してみてサイズ感を確認したりしてフィードバックをもらう
・地域のみなさんや職員にお披露目する
このあたりがミソのようです。

モデルやフローをうまく回していくコツについては、
・プロジェクトのゴールをお披露目することはとても重要
・実際に課題などを共有して初めて愛着がわく
に気を付けているそうです。

ワークショップに関しても、
・『展示』だと良い悪いが言いづらいが、『空間』だと職員たちの参加意欲がわいた
・現場のニーズ、職員たちの思いが汲み取れた
・その結果質の高いデザインが提供できた
とのこと。
時間もかかるし非効率だが結果的に病院の方々が長く使っていくのに重要だったそうです。

限界芸術論とチア・アート

岩田さんがチア・アートを語るうえで鶴見俊輔さんの限界芸術論がベースにあるとのことです。

芸術と生活の境界に位置する広大な領域、専門的芸術家によるのでなく、非専門的芸術家によって作られ大衆によって享受される芸術、それが「限界芸術」である。五千年前のアルタミラの壁画以来、落書き、民謡、盆栽、花火、都々逸にいたるまで、暮らしを舞台に人々の心にわき上がり、ほとばしり、形を変えてきた限界芸術とは何か。その先達である柳宗悦、宮沢賢治、柳田国男らの仕事をたどり、実践例として黒岩涙香の生涯や三遊亭円朝の身振りなどを論じた、戦後日本を代表する文化論。表題作『限界芸術』に加え、芸術の領域での著者の業績がこの一冊に。(amazonより)

デザインとアートは、対象や方法は違えとも、どちらも創造的な行為で、生活の一部なんだよってメッセージなんですね。

岩田さんの活動の課題とゴールは?という問いに、
『課題としては芸術学部のある大学が近くにない病院とコラボレーションできていないこと。
ゴールとしては、この活動を全国に展開したい。』
と、岩田さん。

生活の一部としての(デザインを内包した)アートが病院に溶け込むことを目指す岩田さんの今後の活躍に期待ですね。

岩田さんの宣伝


岩田さんの活動に関しましては、こちらをご覧ください。
https://www.cheerart.jp/
また勉強会もやっているそうなのでいかがでしょうか?
https://www.cheerart.jp/cheersemi

クラファンもやってます。ご興味のある方はぜひ!
https://readyfor.jp/projects/tmc

写真展「病院のまなざし」

今回の勉強会でご紹介いただいた写真展「病院のまなざし」

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撮影を担当したのはつくば市在住の看護師さんとカメラマンなのですが、
近いうちに勉強会にゲストでお越しいただく予定です。
乞うご期待!


各自のアハとういか、まとめ

・病院で反対にあうとき、空間をデザインすると各自を巻き込んで当事者にできるのはいいと思った
・プロジェクト設計がされていて、実行できるのがすごい。
・どう効果があったか指標づくりも気になる。
・プロセスで職員を巻き込むかにノウハウがありそう。
・最初の思い → こう変わった っていうのが言語化できるといい。

アートの中にデザインがある??
デザインとアートの関係は奥が深いですね。
言葉の定義にとらわれず、どうやったらより医療が良くなるか?
ってところにフォーカスしたいなと思いました。

病院は病気を治す場所で機能には特化しているけれど、
さらには居心地であったり使い勝手であったり、
親切な心があるといいなって
われわれは考えて活動していました。

それが、ハートフルに医療者と患者をつなぐ=医療デザインなのですが、
チア・アートも患者を応援する(cheer)ので、
これも医療デザインですね。
目指すものは一緒です。

医療により優しさがあふれるようするにはどうしたらよいのか。
空間のデザインというものは、
無関心な医療者も一気に巻き込んでより良い医療を提供するための、
ソリューションの一つなんだ。

今回は、プロジェクトマネジメントのサイクルを回すにあたり、
お披露目であったりとか、
空間を対象にしていろんな人を当事者にするとか、
学びの多い勉強会でした。


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こちらが今回のグラレコになります。いつにもまして素敵です!
グラレコはPTの豊原さん(@ryoko_PT)です。

最後までお読み頂きありがとうございました。
勉強会は毎月第3木曜日の夜行っています。
詳しい内容などにつきましたては日本医療デザインセンターのSNSでご確認下さい。
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では、また!



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