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第1章 親同士の関係を強化し、子のアウトカムを向上させるのに有効な事

この記事は、イギリス労働年金省の委託を受け、EIF(早期介入財団)が実施したレビュー「WHAT WORKS TO ENHANCE INTER-PARENTAL RELATIONSHIPS AND IMPROVE OUTCOMES FOR CHILDREN」の第1章を翻訳したものです。

レビューの背景と概要

 早期介入財団(EIF) は、早期介入の効果的な利用を擁護し、支援するために、2013年7月に設立された独立慈善団体です。「早期」とは、どの年齢でも子どもの発達をサポートする活動によって、問題が根を下ろし、取り返しがつかなくなるのを防ぐことができる、リスクの発生の初期段階を意味します。「介入」とは、長期的な社会的コストも伴う可能性のあるマイナスの人生のアウトカムのリスクが確認されている子どもや家族のニーズを対象としたプログラムや実践を意味します。
 EIFは、既存のエビデンスをよりアクセスしやすくし、最終的にその強度を向上させることを目的としたイギリスの7つの独立した「What Works」センターの1つです。「What Works Centre」として、EIFは介入と実践に関するエビデンスを体系的に収集し、それを明確かつ正確な方法で統合して、政策立案者や地方委員の意思決定に情報を提供することが求められています。
 EIFは労働年金省から「親同士の関係を強化し、子どものアウトカムを向上させるために何が有効であるか」について、レビューを実施するよう委託されています。このレビューは、2015年の歳出見直し、及び政府の「ライフ・チャンス戦略」に情報を提供する目的で委託されました。
このレビューのために、EIFは、児童発達、特に児童の心理的発達における家族の役割の専門家であるゴードン・ハロルド教授と、アンドリュー&バージニア・ラッド養子縁組研究実践センターとサセックス大学心理学部の両方に所属する、児童の精神病理に対する家族の影響を調査しているESRC未来リーダー・リサーチ・フェローであるルース・セラーズ博士と協業しました。サセックス・ラッド・センターは、進歩する科学的知識、弱い立場にある子どもと家族のための実践の改善、政策開発に焦点を当てており、サセックス大学の心理学部と教育社会福祉学部の間のユニークな学際的パートナーシップを構成しています。
 ダニエル・アクア博士が率いるEIFエビデンス・チームと協力して、著者らは、親同士の関係が子どもの発達にどのような影響を与えるのか、また子どものメンタルヘルスにプラスとなるアウトカムと将来のライフ・チャンスを促進するために、両親間士の関係を支援するための局所的介入を通じて政策にどのような影響があるのかについて文献をレビューしました。
 私たちは体系的なアプローチをとっていますが、完全に体系的なレビューとするために、利用可能な時間の中で全ての関連文献と入手可能なエビデンスをレビューする、ということは目指しませんでした。寧ろ、これは以下の3つの要素からなる簡単なレビューです。

  • 第2章では、子どもの発達における夫婦関係の重要性に関する主要な調査結果の概要を説明します。第2章では、特に発達科学に基づいて、夫婦間の関係の質が子どもにどのような影響を与えるかについて科学的に説明します。私たちは、親同士の関係が子どもの発達に重大な因果関係を与えるという命題に強力な根拠があることを明らかにする主要な科学論文の簡単な要約を示します。人間関係の崩壊によるコストも考慮します。

  • 第3章では、体系的な方法を使用して、イギリスおよび海外の夫婦関係および親同士の関係を改善するために設計された介入を評価した研究を学術文献から検索します。私たちは、このタイプのプログラムが機能することを示し、利用可能な介入の種類の範囲についての説明を提供する、比較的十分な根拠に基づく介入を28件特定しました。

  • 第4章では、「エビデンスの要求」と、現在利用可能なイギリスの夫婦関係/両親間関係プログラムに関するエビデンスの強さに関する正式な評価に基づいています。現在イギリスで提供されているプログラムとサービス、またはイギリスの状況において実装に関連し実用的であるプログラムとサービスがレビューの対象となりました。15のプログラムとサービスに関するエビデンスの強さが、パネルレビューのプロセスを通じてEIFのエビデンスの基準に関連して評価されました。私たちはイギリスで利用可能な全てのサービスとプログラムに関するエビデンスの強さを評価していません。それにも拘らず、主要なプロバイダーの支援と貢献により、現時点でイギリスにおけるこの種のプログラムに関するエビデンスの広範な状態を適切に評価することができたと私たちは信じています。

(了)

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