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Cafcass ドメスティックアビューズを評価するためのリソース

カフカスの家庭裁判所アドバイザーは多様なツールを使用してドメスティックアビューズを評価しています。日本におけるアセスメントやスクリーニングの参考になると思い、「Resources for assessing domestic abuse」を翻訳しました。なお、オリジナルでは表に記載されたツール名にワードやPDFをリンクしていますが、この記事では元記事の下に、各ツールのワードやPDF内容を翻訳し記載しています。体裁は変わっていますので、ご承知おき下さい。

 カフカスの家庭裁判所アドバイザー(FCA)は、ドメスティックアビューズに関するアセスメントが、子どもへの影響に焦点を当て、静的および動的な危険因子、収集した情報の組み合わせに基づくこと、及び、合理的な専門的判断を用いて分析されることを保証する必要があります。
 カフカスのFCAは、ソーシャルワークの技術を駆使しますが、適切な研究基盤や、リスクに関してできるだけ明確にするためにどのような証拠に基づくツールが役立つかを知っておく必要があります。

ツールとガイダンス

「ドメスティックアビューズの評価実践の経路」はこちら
「ドメスティックアビューズの実践ガイダンス」(下記pdfを翻訳予定)

⑴ドメスティックアビューズ-私たちが知っておくべきこと

ドメスティックアビューズを、被害者や加害者はどのように理解しているか
ドメスティックアビューズ被害者や加害者の反応に関する証拠資料
 ・最初の出来事はいつ起きたか ⇒
 ・最後の出来事はいつ起きたか ⇒
 ・ドメスティックアビューズの内容(身体的、言語的、心理的、性的、経済的、ストーカー行為、ハラスメント。強制的および/または支配的な行為があるかどうかも検討してください) ⇒
 ・殺害予告を含むあらゆる脅迫の内容 ⇒
 ・身体的虐待の場合-傷害の有無および医療措置を受けたかどうか ⇒
 ・出来事の期間と頻度 ⇒
 ・警察の介入 ⇒
 ・更なる虐待への継続的な恐怖 ⇒
 ・ドメスティックアビューズを行うためにコンタクトを利用する ⇒
 ・裁判所の命令に違反する行為 ⇒
 ・被害者への影響 ⇒
子ども
 ・子どもがドメスティックアビューズを目撃したことがある ⇒
 ・子どもが目撃した出来事の内容、頻度、期間 ⇒
 ・出来事が起きたとき、子どもは家や近くにいたのか ⇒
 ・子どもが出来事に巻き込まれたり、けがをしたりしなかったか ⇒
 ・子どもも脅威にさらされているか ⇒
 ・子どもへの影響:感情面と行動面 ⇒
 ・虐待の対象となる子ども:身体的、精神的、性的、ネグレクト ⇒
 ・子どもの脆弱性:年齢、障がいの有無 ⇒
 ・子どもへの影響と子どもを守るために取るべき行動を理解する ⇒
 ・他の支援者の有無 ⇒
 ・子どもとそれぞれの親との関係 ⇒
潜在的な脆弱性
 ・被害者や加害者のメンタルヘルス上のニーズ(自殺行為や自殺念慮を含む) ⇒
 ・被害者や加害者の薬物乱用 ⇒
 ・被害者や加害者の学習障害または身体障害 ⇒
 ・被害者や加害者の孤立または限られたサポートネットワーク ⇒
 ・被害者や加害者が支援サービスを利用していない、または利用することに抵抗がある ⇒
 ・被害者が以前の関係においてドメスティックアビューズを受けた経験がある ⇒
 ・加害者が以前の関係で暴力を振るったことがある ⇒
 ・被害者や加害者の幼少期の虐待経験 ⇒
 ・最近の生活上の出来事のストレス要因:失業、経済的問題、病気、損失 ⇒

⑵セーフライブズ「DASH」ガイダンス

 (翻訳許可を問い合わせる予定)

⑶セーフライブズ「DASH」ツール

 (翻訳許可を問い合わせる予定)

⑷安全なコンタクトの指標

子どもの希望と気持ち
 ・子どもが自由なコンタクトを望んでいる(安全)
  子どもが自由なコンタクトを望んでいない(危険)
 ・子どもがポジティブな記憶を持っている(安全)
  子どもがネガティブな記憶を持っている(危険)
別離前の被害とその影響
 ・子どもが暴力を目撃していない(安全)
  子どもが暴力を目的していた(危険)
 ・子どもが暴力的な行動を真似していない(安全)
  子どもが暴力的な行動を真似している(危険)
 ・子どもが怖がらない(安全)
  子どもが怖がっている(危険)
 ・同居親は恐れていない(安全)
  同居親は恐れている(危険)
 ・子どもへの事前の危害を承認する(安全)
  子どもへの事前の危害を否認する(危険)
 ・加害者が被害者への影響を承認する(安全)
  加害者が被害者への影響を否認する(危険)
 ・後悔の念を表明する(安全)
  後悔の念を表明しない(危険)
コンタクト時の体験
 ・子どもへの虐待やネグレクトがない(安全)
  子どもへの虐待やネグレクトがある(危険)
 ・同居親が徐々に傷つけられていない(安全)
  同居親が徐々に傷つけられている(危険)
 ・コンタクトの品質や信頼性が高い(安全)
  コンタクトの品質や信頼性が低い(危険)
 ・安全な取決めをしている(安全)
  取決めが安全でない(危険)
コンタクトの明確な目的
 ・有益な関係を維持する(安全)
  現実的に有益な関係を築ける見込みがない(危険)
 ・「壊れた」関係を修復する(安全)
  「壊れた」関係を修復する現実的な見込みがない(危険)
 ・子どものアイデンティティに貢献する(安全)
  子どものアイデンティティに貢献する現実的な見込みがない(危険)

上記から導き出された、この子にとってのベネフィットとリスクについてのあなたの分析
[ここにコメントを記入]

分析結果は報告書に反映させることができますが、書式そのものを報告書に添付するべきではありません。

⑸DVPPが適切かどうかを評価するためのツール

サージとグレイザーに由来します

加害者は以下の態度を示す。
a) 暴力を何らかの形で(できれば完全に)認めている。
b) 暴力の責任をある程度(適切なら完全に、つまり暴力の唯一の扇動者である)受け入れている。
c) 特に家庭内や子育てにおける暴力の不適切さ、および子どもへの悪影響の可能性を完全に受け入れていること。
d) 子どもの福祉に対する真の関心と、子どもに対する完全なコミットメント、つまり、自分が条件を付けない形でのコンタクトを望むこと。
e) 子どもに償いをし、子どもが暴力や元パートナーへの態度や扱いが不適切であることを認識し、子どもが適切な価値観や態度を身につけるよう働きかけることを希望すること。
f) 後悔の表明と、過去と現在における自分の行動が元パートナーに与える影響について何らかの理解を示していること。
g) コンタクトを求める親が、あらゆる意味で確実にコンタクトを維持できることを示すものであること。

⑹安全対策ツール(安全性を高めるための家族計画):このツールを使用する前に考慮すべきステップ

 このツールは、家庭内暴力が確認されたものの、その深刻度や継続的な家庭内暴力の可能性が低い場合に、時間を過ごす取決めの安全性を高めるために使用することができます。
 このツールは以下のような場合に適しています。
  ・子どもがもう一人の親と一緒に過ごしたいという希望を表明しており、「安全なコンタクトの指標」とともに「子どもの影響評価」を適用し、その結果が安全で有益な時間の過ごし方の取決めを再開または開始できることを示している。
  ・強制的な支配が現在行われていない。
  ・親がドメスティックアビューズ加害者更生プログラム(DAPP)を成功裏に完了した、あるいはリスクが減少したため、DAPPは必要ない。
 このツールは以下の場合には適切ではありません。
  ・「子どもへの影響評価」と「安全なコンタクトの指標」が、直接過ごす時間の取決めが危険である可能性が高いことを示している。
  ・ドメスティックアビューズが高リスクであると評価されている場合、強制的な支配が続いている場合、または親がDAPPの閾値を満たしてはいるが出席に適さない(例えば、裁判所が作成した事実認定を受け入れない、ドメスティックアビューズに対する責任を認めない)場合。
このツールは、アセスメントのどの時点でも、子どもの現在の状況、希望、感情を分析するために使用することができます。
 このツールを使って安全対策が立てられないと判断された場合、「ドメスティックアビューズの評価実践の経路」を使い、他にどのように進めるかを検討する必要があります。

「安全を強化するための家族計画」を立てる:子どもと家族で完成させるためのツール
 安全で有益な時間の過ごし方を進めることができるのであれば、「安全を強化するための家族計画」に何をどのように盛り込むべきかを検討する必要があります。この計画は、新しい情報を受け取ったり、状況が変わったりしたときに見直す必要があります。
 あなたは、子どもや若者(年齢と発達に応じて)と両方の親が、この「安全を強化するための家族計画」に同意し、協力しあうことを確認する必要があります。「安全を強化するための家族計画」が合意され、裁判所と共有され、裁判所によって承認されたら、この計画は最終的な子どもの取決め命令の一部を形成する必要があります。「安全を強化するための家族計画」の例を以下に示します。

 以下のような質問を検討されるとよいでしょう。
  ・子どもの意見に耳を傾けたか?可能なら「安全を強化するための家族計画」に反映させたか?
  ・子どもは、計画に参加するために特別な手配や設備を必要とするような、障害、追加のニーズ、脆弱性を持っているか?
  ・子どもには、更なる配慮が必要な宗教的/文化的/社会的な活動や課外活動に関するニーズや約束があるか?
  ・両親が直接接触するのを防ぐために、子どもを学校で送迎すべきか?
  ・取決めは公共の場で行うべきか?もしそうなら、どこで?
  ・子どもに身近な大人に、安全で、引継ぎをサポートしたり、終始立ち会うことができる者がいるか?
  ・子どもは、もう一人の親、または「安全」が特定された大人と連絡を取る手段、例えば、携帯電話を持っているか?
  ・サッカーや水泳など、計画的に行われるイベントでの取り決めが必要か。
  ・親同士のコミュニケーションは、限定的・体系的である必要があるか?電子メール、共同子育て用アプリ「ファミリーウィザード」、仲介者の利用は?
  ・一方の親がもう一方の親かつ/または子どもに謝罪する必要があるか?
  ・何か出来事や懸念事項があった場合、どのように子どもと過ごす時間を中断したり、変更したりするのか?
  ・薬物やアルコールの乱用、親のメンタルヘルスの悪化など、共存する危険因子を管理するために、追加の安全対策が必要か?
  ・「安全を強化するための家族計画」が機能している場合、それはどのような状態か?
  ・「安全を強化するための家族計画」が機能していない場合、それはどのような状態か?
  ・安全対策が破綻した場合、家族はどのように支援を求めればよいかを知っているか?関連するサービスや地域資源を家族に案内したか?
  ・家族計画は、いつ、誰が見直すのか?

私たちの安全を強化するための家族計画
家族の強みは?
 [記入例 ママとおばあちゃんは仲良しで、おばあちゃんの家に行くのが好きです]
心配事はありますか?
 [記入例 土曜日にパパが私たちを迎えに来た時、パパがママに怒ったのを覚えています。それが怖くて、金曜日は寝たくないと思うことがあります]
このような心配事が解決されたら、どのように感じるかな?
 [記入例 金曜日の夜に寝ることに不安を感じなくなり、土曜日の朝、パパに会うのが楽しみになります]
何を合意し、それはどのように機能するの?
 [記入例 金曜日の放課後はグランマの家に泊まるから、土曜日の朝はパパがグランマの家に迎えに来てくれる]
 [記入例 ママとパパは、私たちのことやパパに会うときのことを話すために、特別なEメールアドレスを持つことにしました]

⑺強制的支配を評価するためのツール

 このツールは、セーフライブズ「DASH」が、評価結果を適用するに当たって、その力学をより完全に評価するために、家族関係における強制的かつ/または支配的行動の要素を特定した場合に使用されるべきものです。
 支配的行動とは、支援源から孤立させ、個人的利益のためにその資源と能力を搾取し、自立、抵抗、逃避に必要な手段を奪い、日常行動を規制することによって、その人を従属的かつ/または依存的にしようとする様々な行為です。
 強制的行動とは、その被害者を傷つけたり、罰したり、怖がらせたりするために用いられる、暴行、脅迫、屈辱、威嚇などの行為またはそのパターンを指します。強制的な支配には、被害者の自由を制限するために用いられる、反復的、継続的、意図的な戦術が含まれます。これらの戦術は、必ずしも身体的なものである必要はありません。性的、経済的、心理的、法的、制度的、あるいはこれらの全てである可能性があります。このような戦術を展開することによって、虐待者は、被害者が常に監視され、批判され、一挙手一投足をチェックされるような世界を作り出すことができるのです。被害者はしばしば、日常的なことを「させてもらえない」、あるいは「許可を得なければならない」、「虐待者の期待に応えられていない、あるいは要求に従えていないという恐怖に常にさらされている」と強制的支配を表現します。「卵の殻の上を歩く(ように慎重に行動する)」という言葉がよく使われます。
その他の参考資料と情報はこちら。
 ・学習と開発 強制的な支配の噛み傷
 ・支配的または威圧的な行動に関する内務省の法的指針の枠組み
 ・強制的支配について若者と話すための「ウーマンズエイズのツールキット」

強制的支配を識別するためのツール
束縛されている自由とその頻度
 ・パートナーが家族や友人から私を孤立させている(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーに服装を指定された(いつも・ある程度・全く)
 ・許可なく外出することは許されない(いつも・ある程度・全く)
 ・車を使うのを禁止された(いつも・ある程度・全く)
 ・私や子どもたちの医療を拒否された(いつも・ある程度・全く)
 ・外出したとき、その時間を記録しなければならなかった(いつも・ある程度・全く)
 ・外出先で私が誰と話しているか、パートナーに嫉妬された(いつも・ある程度・全く)
 ・不倫していると非難された(いつも・ある程度・全く)
 ・基本的欲求、食事、睡眠を奪われた(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私の携帯電話の位置情報を追跡し、私の居場所を監視していた(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私のメッセージ、Eメール、SNSアカウントを監視していた(いつも・ある程度・全く)
 ・その他の確認された行動(いつも・ある程度・全く)
 ・関連する場合は性別に関する注記(いつも・ある程度・全く)

精神的虐待とその頻度
 ・パートナーが子供の前で私を侮蔑し、罵倒した(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが家族や友人の前で私を侮辱した(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私の外見を侮辱した(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私を罵り、悪態をついた(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私に従うべき規則を押し付けた(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私に愛想を尽かした(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーに家を出ていっても見つけてやると脅された(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが子どもの世話をさせなかった(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私を馬鹿だ、気が狂っていると言った(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが子どもに私を虐待するよう指示した(いつも・ある程度・全く)
 ・その他の確認された行動(いつも・ある程度・全く)
 ・関連する場合は性別に関する注記(いつも・ある程度・全く)

脅迫および威嚇とその頻度
 ・パートナーから身体的虐待を受けた(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私を支配するために、身体的虐待の脅威を利用した(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが理由もなく機嫌を損ねた(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私や子どもの持ち物を壊した(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私への罰として、子どもに危害を加えると脅した、または加えた(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが予定していたイベントを台無しにすると脅した、または台無しにした(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが子どもを連れ去ると脅した(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私を殺すと脅し、それを信じさせた(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私をレイプした(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが私に性的な屈辱を与えた(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが家族のペットを虐待した(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが車を乱暴に運転した(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが自分を怒らせたと私を責めた(いつも・ある程度・全く)
 ・その他の確認された行動(いつも・ある程度・全く)
 ・関連する場合は性別に関する注記(いつも・ある程度・全く)

経済的虐待とその頻度
 ・パートナーが私に必要なお金を渡さなかった(いつも・ある程度・全く)
 ・自分や子どものためにお金を使うことが許されなかった(いつも・ある程度・全く)
 ・自分が使ったもの全てに責任を負わねばならなかった(いつも・ある程度・全く)
 ・要求しないと生活必需品を渡してもらえなかった(いつも・ある程度・全く)
 ・パートナーが自分のためだけにお金を使った(いつも・ある程度・全く)
 ・家計を秘密にされた(いつも・ある程度・全く)
パートナーが支出の証拠を求めて私の持ち物を調べた(いつも・ある程度・全く)
 ・その他の確認された行動(いつも・ある程度・全く)
 ・関連する場合は性別に関する注記(いつも・ある程度・全く)

アセスメント
 アセスメントをする者は、被害者とともに書式について話し、行動の性質と強度を決定し、現在の認識と安全性に関する関連した質問をします。この作業の目的は、開示されり、申し立てられた行動が、現在のリスクとして(つまり継続的に)被害者にどのように影響しているか、あるいは、影響がより心理的に影響し、被害者がまだ支配されたり強制されたりしていると感じているかを検討することです。
 このツールは、以下の要素に関してリスクを確立するために使用されるべきです。
  ・行動の性質と主な加害者
  ・これらの要因が関係性の中にどの程度存在していたのか。
あなたの評価は、以下を確立する必要があります。
  ・これらの要因が関係性の中にどの程度まで残っているか
  ・被害者と子どもに対する現在のリスク
  ・育児能力への影響
  ・子どもへの影響
  ・保護要因の緩和
このツールは、あくまでガイドです。補完的なツールと併用し、全体的なアセスメント・プロセスの一部として使用するものです。

⑻状況的カップル暴力-ガイダンス文書

関係における力の不均衡が続いていないこと
 状況的カップル暴力の認識
 強制的支配のパターンがない場合、行動は事件として、あるいは関係性のパターンとして明らかになる可能性がありますこ。以下に例を挙げますが、これらに限定されません。
  ・暴力が繰り返され、暴力を煽る者は様々である。
  ・暴力の事件があったが、それはパターンの一部ではなく、特定の状況または出来事に関連している可能性がある。
  ・高度のまたは持続的な相互の暴言、両パートナーが煽って加える暴力、支配のパターンの変化。
  ・どちらのパートナーも、日常生活において、自分の選択を著しく制限されたり、相手を恐れたりすることはない。
  ・どちらかのパートナーに対する身体的・精神的影響は、明らかに非対称ではない。
  ・暴力は時としてエスカレートし、慢性的かつ深刻な状態になることがある。
  ・アルコールは、それ自体が紛争の原因として、また暴力や虐待をエスカレートさせる要因として、SCV(状況的カップル暴力)において重要な役割を果たす可能性がある。
 
 考慮すべき点
 ・状況的カップル虐待や暴力は、その頻度、深刻度、大人と子どもへの影響、およびその背景を評価する必要があるため、低リスクまたは高リスクになる可能性があります。影響とその結果としてのリスクは、口論や、それぞれのパートナーによる小さな暴力行為を伴うものから、それぞれのパートナーによる激しい暴力を伴う「攻め合い」まで、深刻さの連続性に沿ってどこにでも当てはまる可能性があります。したがって、関係性における事件の頻度とパターンを明確にすることが重要です。
 ・持続的な「低-深刻度」虐待は、それとともに生きなければならない子どもたちに重大な精神的危害を与える可能性が非常に高く、深刻な危害をもたらす高いリスクを伴う暴力は、どちらのパートナーも相手に対する支配パターンを(まだ)確立していない状況でも使われる可能性があります。
 ・女性がSCVに関与する可能性は男性と同様ですが、(男性が加害者である場合)女性への影響は、恐怖、心理的影響という点では勿論のこと、(体格などの理由で)身体的傷害でより大きくなります。
 ・かなり深刻な暴力や虐待を経験している人の中には、被害者意識を持ちたくないという理由で、被害者であることを否定する人もいます。
注:強制的支配の被害者が暴力や虐待を防衛手段として用いる場合、これを状況的カップル暴力と誤解してはならない。
 
 暴力や虐待を防衛手段とする強制的支配の被害者についての補足説明
  ・暴力は加害者の暴力や強制的支配に対する反応である。
  ・加害者はこれを相互のものとして提示する。誰が虐待的な暴力を始めたかではなく、誰が暴力を終わらせたか、誰が最も怖がり、危険にさらされているかで特定する。
  ・親からの暴力の申し立てがあるが、暴行の背景に関する情報は、これが恐怖と脅威の中で行われたことを示す。被害者(一般に女性)はしばしば責任を認め、自責の念に駆られることがある。この種の暴力は、被害者への脅威が差し迫っている、あるいは持続している状況では深刻であり、加害者の体格や力の強さを補うために武器を使用することがある。
  ・被害者が性的虐待や心理的支配を受けていた場合、そのことが明らかにされないため、根本的な脅威が見えず、被害者の行動は状況的カップル暴力のように見えることがある。

⑼ドメスティックアビューズと有害な葛藤の区別-スクリーニングツール

 リンク先のnoteはこちら

⑽ドメスティックアビューズを経験することによる子どもへの影響

 子どもの経験
 子どものコンタクトの問題に関する全ての法廷報告書の中心は、子どもの経験であるべきです。ドメスティックアビューズを含む事案の複雑さを理解することは、実践者が、被害者と同等に考慮されるべき虐待が子どもに与え得る影響に焦点を当てることを助けます。ドメスティックアビューズとそれが引き起こすトラウマを抱えながら生活を送る場合、子どもは様々な形で影響を受けるでしょう。
 2002年養子縁組および児童法では、重大な危害を定義する際に、ドメスティックアビューズにさらされたり目撃したりした子どもが受ける障害に言及していますが、Callaghan(2015)の研究によると、子どもは単に目撃者としてだけでなく被害者としてドメスティックアビューズを経験することが示されています。ドメスティックアビューズは、苦痛、ストレス、有害な環境を作り出し、このトラウマの長期的な影響は、成人期まで及ぶ可能性があります。

実践の方向性におけるドメスティックアビューズに関する一般原則12-J:子どものコンタクトの取決めとコンタクト命令:ドメスティックアビューズ(司法省、2017年)
 ドメスティックアビューズは、子どもがドメスティックアビューズを受けているか、親の一方がもう一方の親に暴力や虐待を加えているのを目撃しているか、ドメスティックアビューズが行われている家庭に住んでいるか(たとえ子どもが幼過ぎてその行動を自覚できなくても)に関わらず、子どもにとって有害であり、かつ/または、子どもを危険にさらすものです。子どもはドメスティックアビューズを抱えながら生活することで、直接的な身体的、心理的、かつ/または、感情的な危害を受ける可能性があり、またドメスティックアビューズが両親のどちらか、あるいは両方の育児能力を損なう場合、間接的に危害を受ける可能性もあります。

 ドメスティックアビューズを抱えながらの生活に対する子どもの反応は、年齢や発達段階によって異なる場合があります。
 
子どもが受ける影響の仕方は様々です。例えば、ドメスティックアビューズを抱えながら生活を送る赤ちゃんは、アタッチメント・パターンの乱れとともに、より高いレベルの不健康、より悪い睡眠習慣、過度の啼泣に見舞われるようです。就学前の子どもは、おねしょ、睡眠障害、摂食障害などの行動障害を最も多く示す年齢層であり、特に大人の暴力のために自分を責めやすい傾向があります。年長の子どもは、学校での成績不振、不十分な社会的ネットワーク、自傷行為、家出、反社会的行動など、生活の乱れの影響を示す傾向があります。(Humphreys and Houghton, 2008).
ドメスティックバイオレンスへの曝露が子どもの脳の発達に与える影響に注目した研究が始まっています。ドメスティックアビューズを経験した幼児は、母親のIQ、出生時の体重、出生時の合併症、家庭での知的刺激の質、性別を統制しても、認知測定でのスコアが低いという新たな証拠が得られています。

特に生後2年間は家庭内虐待にさらされると、特に有害であるようです(Enlow et al 2012)。

子どもは、空腹、新しい人との出会い、新しい体験への対応など、ストレスのかかる状況に対応するように予めプログラムされていますが、ある種のストレッサーが他のストレッサーよりも有害であることは明らかです。個々の子どものストレス管理システムが強く長く活性化することで、毒性ストレスが発生するのです。

 ドメスティックアビューズなど、子どものストレスレベルが高い状況では、ストレスホルモンの持続的な上昇と主要な脳内化学物質のレベルの変化が、発達中の脳の構造を破壊する内部生理状態が生じ、学習、記憶、自己調節に困難をもたらす可能性があります。その結果として、幼児期に有害なストレスを経験した子どもは、メンタルヘルス問題(うつ病、不安障害、物質乱用など)は勿論のこと、ストレスに関連した身体的疾患(心臓血管疾患、高血圧、糖尿病など)に生涯にわたってかかりやすくなります(National Scientific Council on the Developing Child, 2007)。また、喫煙などの健康を害する行動や薬物摂取などの大人のライフスタイルを示す可能性も高く、ウェルビーイングを損ない、結果として早期の死につながります(Brown et al 2009)。

キーポイント
ドメスティックアビューズを抱えながら生活している子どもは、「慣れる」わけでも「影響をあまり感じない」わけでもありません。虐待にさらされている期間こそが、最も大きな被害をもたらすのです(英語 2003 スタンレーにて2011)。

 ジェンダーノート
 「就学前の親同士の暴力を目撃すると、16歳時点で男子には外面化問題が現れ、女子には内面化問題が現れると予測されました。幼児期にドメスティックアビューズを経験すると、特に男の子に、青年期に現れる遺産を残します」「行動問題の予測では、対照的に、恐らく特に幼少期における家庭内の暴力、混乱、破壊の環境が最も強い予測因子であることがわかった」(Stroufe et al 2005年)。

 影響のアセスメント
 子どもが自分の経験をどのように認識し、内面化したかを理解することが重要であり、虐待の内容にだけ被害原因を求めないことが大切です。例えば、状況的カップル暴力や別離に起因する虐待は、発生頻度は低いものの、大きなトラウマを与えている場合があります。ドメスティックアビューズの最も広範で長期にわたる影響は、強制的な支配のもとで生活するのと同じようなものと思われますが、ある事件や複数の恐ろしい事件を長期間にわたって目撃することによっても、大きな影響を受ける可能性があります。
 
 子どもの強制的支配体験

 子どもは、自分が置かれている支配的な環境に影響を受けています。心理的虐待や強制的な支配に伴う絶え間ない恐怖感は、彼らの生活の常であり、彼らは創造的かつ意識的に自分の経験を管理し、被害を最小限に抑えるための自分にとって有効な戦略を活用するための手段を講じます。彼らは受動的な目撃者ではなく、暴力や虐待に「さらされる」のではなく、むしろ大人と同じように暴力や虐待と共存し、それを直接体験しているのです。更に、彼らは暴力や強制的支配に対して、創造的な主体として反応し、不利な経験に合わせて適応し、変化し、それを管理することができるのです。強制的支配を経験した子どもは、大人の被害者と同様の影響を経験する可能性があり、選択する機会や自由を感じる機会、自立心や能力感を育む機会が制限され、苦しむ可能性があります(Katz, 2016)。

 キャラハンら(2015)は、面接した子どもが述べた効果として、家庭内の空間使用の制約と自己表現の制約を挙げています。自分自身の行動を抑制する子どもは、加害者から自分自身を守るために、自分なりの強制的支配の経験を定義し、「目に入り過ぎず、騒ぎ過ぎず、目立ち過ぎないように」自分の言動を管理することを学びました。自分の行動を抑制することは、多くの子どもが安全感を生み出す方法として採用する明確な対処戦略です。したがって、この過覚醒は家庭での強制的統制の明らかな影響として注目し、専門家がこの警戒と制約の強化が子どものウェルビーイングにどのように影響するか検討することが重要です。

  子どもとの直接の仕事
 ドメスティックアビューズの影響は、実践者が表面的に観察できる問題や子どもが表現できる問題よりも複雑であることが多くあります。子どもに彼らの経験について面接する場合は、誘導するのではなく、子どもの反応を通してサポートし、励ますことが重要です。スマートフォンやタブレット端末のアプリなどのテクノロジーは、子どもとのラポールを築くのに役立ち、一方、問題プリントや塗り絵は、あらゆる年齢の子どもがリラックスできるようにするために使うことができます。
 質問をすることで多くのことが明らかになりますが、適切な質問をすることで、子どもは自分の経験を安心して話すことができ、実践者は子どもの視点で理解することができます。適切な質問とは以下のようなものです。
  ・ご家族はどなたですか?
  ・家族で起こる怖いことはありますか?
  ・一番仲が悪いのは誰ですか?
  ・怖いことが起きたとき、あなたはどうしますか?
  ・家族の中で安心できるのは誰ですか?
  ・家庭をより良くするためには、何を変える必要があると思いますか?
  ・どうしたら物事を変えられると思いますか?
  ・物事を変えるために、他の人は何ができるでしょうか?
 報告書を作成し、裁判所へ勧告する際には、あなたの質問に答えた子どもの言葉をそのまま使ったほうが威力を発揮します。
 また、実践者は、面接終了後、どのように子どもをサポートすべきかを検討する必要があります。

私はいつも何を言うべきか躊躇していました。たとえ「こんにちは」と言ったとしても、以前の私はいつも「彼は私を締め出すのだろうか?」と考えていたものでした。「彼はいい返事をするのだろうか?」「それとも怒るのかな?」とか、そういうことを考えるんです。私はいつも自分の言っていることよりも先を考えていました。
子どもの発言の引用(Callaghan et al. 2015)

私の立場で:若者のドメスティックアビューズの経験

 8歳のベンジャミンは、水たまりの中の無人島に立っている小さな人の絵を描いている間、熱心に集中していました。これは自分の涙のプールに立っている自分自身だと説明しました。島では誰も自分に手を差し伸べてくれないから、島の隣の海に描いた竜巻の中にいたいんだ、と言いました。隣に大きな人影を描き、その人物は「轟音と叫び」をあげていると言いました。それはベンジャミンの父親でした。ベンジャミンはその時の思い出を詳しく説明してくれました。裁判所が仕切っていて、ママはパパを止められないって知っているから、島の上にママを描けなかったんだよ、とベンジャミンは言いました。

 サイモンは、寝室のドアの向こうから母親が父親に「もうたくさん」と言うのが聞こえ、母親が衣服を旅行鞄に放り込んでいるのを見た、とFCA(家庭裁判所アドバイザー)に話しました。サイモンは、父親が「車を奪うつもりなら、もっと別のことを考えろ!」と叫んだのを鮮明に覚えています。サイモンにその時の気持ちを聞いてみると、心臓が「嵐のように鼓動して」、どうしたらいいかわからず「1分間固まっていた」と言いました。彼は、叫び声が大きくなるのが聞こえ、「誰かが怪我をするのではないか」と心配になりました。サイモンは、どうやってプレイモービルの騎士のコスチュームを急いで身につけ、階段を駆け下り、父親が母親とソファーの上で「格闘」しているのを見つけたかを説明しました(警察国家コンピューターPNCの記録によると、父親は母親の手から車のキーを取り出そうとしていて、その結果、母親は軽い怪我を負った)。サイモンはプラスチックの剣で「何度も何度も父さんを叩いた」が、父親はキーを手にすると、サイモンを押し退けて車に乗って出て行ったと述べました。

[訳者註]警察国家コンピューター(PNC, Police National Computer)は、英国およびその他の非法執行機関の法執行機関が使用するデータベースです。もともとは犯罪者に関する情報を保存するために1974年に設立されましたが、現在は24時間利用可能な幾つかのデータベースで構成されており、国や地域の問題に関する情報にアクセスできます。(ウィキペディアより)

 子育て能力への影響
 加害者は被害者の育児能力を低下させ、被害者に自分が十分な親ではないと感じさせます。Lapeirre(2010)は、「男性が母性と母子関係を攻撃することは、支配と服従の行使の中心である」と述べています。RadfordとHester (2006)は、ドメスティックアビューズを経験している女性は、自分の子育ての実行能力や潜在的能力に自信を失い、親として与えるものが殆どないと感じるようになると説明しています。

子どもは強制的で支配的な活動、すなわち非虐待親の親としての役割を損なうような活動に直接関与することができます。この活動には孤立、脅迫、監視、ストーカー行為などが含まれ、虐待者が暴力行為を最小化し、合法化し、正当化するために他の方法で使用することがあります(Johnson, 2009, Stark, 2007)。

Radfordら(2011)は、加害者はしばしば、子どもの母親に対する敬意を損ない、母親が子どもに一貫した日課を与えることを妨害し、子どもを母親に敵対させようとする、と付け加えています。また、育児時間を制約することも、アタッチメントを妨げ、自然な関わりを制限するよくある手口です。

 被害者はしばしば、子どもへの被害を抑えようとすることで、子どもを保護する親としての役割を果たそうとします。これは通常、主に2つの方法で行われます・・・
 1 パートナーによる子どもへの身体的暴力を阻止する行為としての保護
 2 暴力のない環境を作り、子供たちに何らかの安定や規範を与えるために行い、時には攻撃を防ぐために加害者をなだめることもある、絶え間ないプロセスとしての保護

母親の発言の引用
私が毎日6時間も料理をしていると、彼は新鮮な食事を欲しがり、いろいろなものを欲しがりました。私は平和を守るために料理を作っていたのです。私が友人と出かけるとき、彼は私が彼の食事をオーブンで準備するか、全て一緒に混ぜ合わせて、後はオーブンに火を入れるだけになっていることを確認しました。とても怖くて、時々それを忘れてしまい、トラブルにならにようにするため、それをするためだけに駅から走って戻ってきたこともありました。

 レジリエンス
 全てのアセスメントと影響評価書には、個々の子どものレジリエンスの可能性を含めることが必要です。危害と保護因子のバランスを取り、経験した逆境に対する強さを相殺することが重要です。
 レジリエンスの議論は、一般的にリスク、脆弱性、保護要因に言及することで組み立てられています。子どものアウトカムを決定するのは、時間の経過に伴うこれらの要因の複雑な相互作用です。Newman (2004)は、レジリエンスを高めるために何が有効かを検討する中で、これらの要因について次のような定義をしています。

 Mastenら(1990)は、子どものレジリエンスを3つのタイプに分類しています。
  1.低出生体重児など、リスクが高いにもかかわらず逆境に屈しない子ども
  2.親が薬物乱用者だったり、アルコール依存症だったりなど、慢性的なストレスの中で対処戦略を発達させる子ども
  3.災害、近親者の突然の喪失、虐待など、極度のトラウマを抱えながらも、立ち直り、成長していく子ども
 したがって、レジリエンスの高い子どもとは、逆境に耐え、不確実性に対処し、トラウマからうまく立ち直ることができる子どもということになります。

学齢期のレジリエンスに関連する要因のまとめ(Daniel and Wassell 2002)

レジリエンスに関連する家族要因
・少なくとも一人の人との密接な絆
・愛情の籠った養育と信頼
・親子の分離がないこと
・親にメンタルヘルスの問題や依存症がないこと
・こどもが必要とする有用性
・自律への働きかけ(女子)
・感情表現の促進(男子)
・親密な祖父母
・兄弟姉妹のアタッチメント
・4人以下の子ども
・十分な経済的資源と物質的資源

レジリエンスに関連する個人要因
 ・女性
・有能感と自己効力感
・内的統制の所在
・他者への共感
・問題解決能力
・社交的なこと
・自立していること
・反射的であるが、衝動的でない
・学業に集中する能力
・自律性(女子)
・感情表現力(男子)
・ユーモアのセンス
・趣味
・計画する意欲と能力

レジリエンスに関連する広範な地域社会要因
・隣人など親族以外の支援
・肯定的な大人の役割モデル
・仲間とのコンタクト
・心地よい学校生活の経験

青年期のレジリエンスに関連する要因のまとめ (Daniel and Wassell 2002)

レジリエンスに関連する個人要因
・男性
・責任感
・他者への共感
・内的統制の所在
・社会的成熟度
・肯定的な自己概念
・達成志向
・優しさ、愛情の籠った養育
・社会的知覚
・構造的なものを好む
・一連の価値観
・知性
・計画する意欲と能力

ドメスティックアビューズにさらされると、子どもや青年に永続的な影響を与えることがあります。全ての若者が同じような影響を受けるわけではありません。ある子どもはレジリエンスがあり、癒やされ、成長することができます。子どもや家族、地域社会における様々な危険因子や保護因子は、子どもや若者が虐待にさらされたことをどのように処理し、理解するかに影響を与えることがあります(Edelson 2004)。

被害者のレジリエンスを促進する家庭や地域社会における保護的要因

役立つリソース
 ・発達段階によるドメスティックアビューズの子どもへの影響(PDF)
www.cedarnetwork.org.uk/
(ドメスティックアビューズを経験した子どもたちの回復)
・ユニセフ 閉ざされたドアの向こう側(PDF)
イギリスはこれ以上言いません:ドメスティックアビューズの子どもへの影響

⑾スタージとグレイザーに基づく、被害者の共感に関する動機と指標

 親と過ごす時間が安全かどうかを考える場合、スタージとグレイザーの基準を参照し、加害者が虐待に対する説明責任をどのように考えているかを確認するための基準点として指標を使用することが重要です。この基準は、チェックリストや独立したツールとしてではなく、静的かつ動的な危険因子と並んで、全体的なアセスメントの中で動機と被害者の共感を探るための補足的なガイドとして使用されるべきものです。この基準は、男性から女性への虐待に関連する性別特有の言葉で書かれていますが、原則はすべての関係性の力学に適用されるものです。スタージとグレイザーの専門家報告書は、コンタクトが子どもにとって有益であると考えられるためには、各ポイントを意識しているという証拠がアセスメント内にあるべきであると述べています。
 アセスメントする者は、プロチェスカとディクレメントの変容に関する他理論統合モデルを考慮することもできます。詳細については、こちらをご覧ください。
http://www.socialworkerstoolbox.com/the-cycle-of-change
 
 スタージとグレイザーの基準と探索するテーマの例
①暴力に対するある程度の(できれば完全な)認知
 ・ドメスティックアビューズが行われたことを認めるか。
 ・FFH(事実認定審問,Fact-Finding Hearing)があった場合、自分の虐待行為について裁判所が行った調査結果を認めるか。認めないなら、それはどんな理由か。
 ・刑事裁判があった場合、関連する犯罪に対する有罪判決に同意するか。同意しない場合、それはどんな理由か。
 ・虐待行為の内容についてどのように説明するか。それがいつ始まり、どのくらいの期間続いたと考えているか。
 ・虐待がなぜ起こったのかについて、どのような理解を有しているのか。
 ・虐待における役割は何なのか。また、きっかけや誘因を認識しているか。
②その暴力に対する責任のある程度の同意(適切な場合は完全な同意、すなわち暴力の唯一の扇動者であることに同意)
 ・責任を否定しているか、あるいは主要な加害者としての役割をある程度認めているか(家庭裁判所アドバイザーFCAは裏付けとなる証拠を用いてこれに異議を唱える)。
 ・誰を責めているのか。
 ・虐待の内容はどのようなものか。
 ・支配的な行動を認識しているか。また関連する場合、相互に虐待的な行動における自分の役割を説明できるか(強制的支配をする虐待者は、虐待を最小化し、否定し、責任転嫁し、メンタルヘルス上の問題を被害者のせいにし、あるいは自分自身を被害者の立場に置く可能性がある)。
③特に家庭内および子育ての状況に関する暴力の不適切さ、および子どもへの悪影響の可能性について完全に同意
 ・虐待を子育ての失敗として同意しているか。
 ・ドメスティックアビューズを抱えて生活することが子どもに有害であることを認識しているか。
 ・虐待されているときの子どもの立場に立った説明ができるか。子どもが経験したことを説明することができるか。
 ・虐待の背景となるような幼少期の虐待歴があるか。
④子どもの福祉に真に関心があり、子どもに対して全面的にコミットしていること、すなわち、自分が条件をつけていない状態でのコンタクトを希望していること。
 ・なぜ今、子どもとのコンタクトを申請するのか。
 ・子どもの希望や気持ちに共感できるか。
 ・被害者である大人の親に共感できるか。
 ・コンタクトをする際に、大人に焦点を当てた条件を設定しているか。
 ・動機は本物か。継続的な支配のパターンの一部ではないか。
⑤子どもに対して償いをし、子どもが暴力、母親に対する態度や扱いの不適切さを認識し、子どもが適切な価値観や態度を身につけることができるよう努力することを希望すること
 ・子どもが経験した被害の影響について、どのように償うことができるのか。
 ・子どもにとって最も重要なことは何だと考えているか。
⑥後悔の念を表明し、自分の行動が過去および現在の元パートナーに与える影響をある程度理解していること
 ・子どもの安心感や安全感がどんなに損なわれているか説明できるか。
 ・反省の気持ちを明確に表現できるか。
 ・虐待は、親としての自分自身の意識や役割にどのような影響を与えたか。
 ・虐待が大人の被害者や被害者の子育て能力にどのような影響を与えたと考えるか。
⑦子どもとのコンタクトを求める親が、あらゆる意味においてコンタクトを確実に維持できることを示している
 ・子どもの条件に合わせて、感情的にも物理的にも子どもに寄り添うことができるのか。
 ・子どもを優先した安全対策に同意できるか。
 ・子どものペースに合わせ、子どもの取決めをサポートするよう努力するか。
 ・被害者である大人がコンタクト方法について意見を述べるべきであることに同意するか。
 ・加害者だった彼らを支援できる家族はいるか。子どもが安全だと感じる者であれば、誰であってもコンタクトをとる意思はあるか。

 実施細則12Jの第37条に関する注意事項
 ドメスティックアビューズの発見または承認がなされた場合、またはドメスティックアビューズが他の方法で立証された場合、裁判所は、両親の互いに対する行動、子供に対する行動、およびその影響を考慮する必要があります。
 特に、裁判所は以下の点を考慮する必要があります。
  ⒜ドメスティックアビューズが子どもに与える影響、および子どもの生活に関する取決めに与える影響
  ⒝ドメスティックアビューズが子どもに与える影響と、子どもの両親との関係に与える影響
  ⒞親が、子供の最善の利益を促進したいという願望によって動機づけられているか、あるいは、もう一方の親に対するドメスティックアビューズを継続するために、このプロセスを利用しているかどうか
  ⒟調査結果が出された親のコンタクト時の行動と子どもに対するその影響
  ⒠過去の家庭内虐待の影響と将来の家庭内虐待の可能性を理解する両親の能力

⑿コンタクトの監督-親戚と友人の評価(SCARF):コンタクトを支援するために、より広い範囲の家族や友人を評価するためのツール

 リンク先ののnoteはこちら

(了)


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