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ドイツにおける別離後の身上監護の取決め:社会人口学的相関関係、親の共同子育て、および子どもの適応の調査

 この記事「ドイツにおける別離後の身上監護の取決め:社会人口学的相関関係、親の共同子育て、および子どもの適応の調査」は、下記の文献を翻訳したものです。この文献はオープンアクセスです。原題名、原著者は以下の通りです。
掲載書:Soc. Sci. 2022, 11(3), 114; https://doi.org/10.3390/socsci11030114
原題名:Post-Separation Physical Custody Arrangements in Germany: Examining Sociodemographic Correlates, Parental Coparenting, and Child Adjustment
原著者:Alexandra N. Langmeyer, Claudia Recksiedler, Christine Entleitner-Phleps and Sabine Walper
 ドイツにおける共同身上監護の普及率、子どもが別居親と過ごす時間の実態が分かる数少ない文献です。

著作権: © 2022 著者によるもの。
ライセンシー MDPI、バーゼル、スイス。
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ドイツにおける別離後の身上監護の取決め:社会人口学的相関関係、親の共同子育て、および子どもの適応の調査

著者:アレクサンドラ N. ラングマイヤー*,クラウディア・レクシードラー,クリスティーン・エンライトナー・フレプス、サビーヌ・ウォルパー

ドイツ青少年協会、
ノッカー通り 2、81541 ミュンヘン、ドイツ
*連絡先となる著者。

社会 科学. 2022、11(3)、114; https://doi.org/10.3390/socsci11030114
受領日:2021/11/14 / 改訂日:2022/2/28 / 受理日: 2022/3/4 / 発行日:2022/3/9
(この記事は特集「離婚と人生行路」に属する)

概要

 殆どの子どもは、離婚または別離後も母親と暮らし続けるが、多くの西側諸国では、別離後の家庭における父親の関与が大幅に増加している。この変化は、別離後の親が共有身上監護(SPC)-これは通常、子どもが交互にそれぞれの親の居所で多くの期間生活することを意味する-を選択する割合の増加と監護形態の更なる多様化に寄与している。これまでSPCを促進する法的な規定を設けていないドイツの事例をプロファイリングし、SPC家庭の普及率、SPCの社会人口学的相関関係、親の共同子育てや子どもの適応との関連性を検討する。2019年にサンプリングした代表的な調査データ(N=509人の別離した親の800人の未成年者)を使用した結果、SPCを実践した子どもは僅か6〜8%であることが明らかになった。SPCの親は高等教育レベルを修めており、もう一方の親とのより良い共同子育て関係を報告する可能性が高かった。SPCと子どもの適応との間に関連性はなかったが、葛藤を抱えた共同子育てはSPCの子どもの多動性に関連し、多動性のレベルがより高くなった。私たちは、SPCの社会的な選択と、SPCの子どもにおける葛藤を抱えた共同子育てと多動性との関連性は、SPCに必要とされる高コストと元パートナー間の一定レベルのコミュニケーションに起因する可能性が高いと結論づけた。

キーワード:共有身上監護;単独監護;パートナー関係の解消;子どものウェルビーイング;親同士の関係

1. はじめに

 別居や離婚後の共有監護(SPC)は、多くの国で家族法だけでなく社会科学研究でも広く議論される問題となっている(Walper et al. 2021)。別離後の共有監護の是非についての集中討議を踏まえ、大多数の研究が、特に子どものウェルビーイングに関して、より伝統的な単独身上監護の取決めと比較したSPCのアウトカムに焦点を当てている(例えば、Nielsen 2018; Baudeら. 2016; Hjernら. 2021b)。比較すると、別離後の身上監護の取決めに対する選択性の問題は、取り組んだ研究の数がより限られている(Poortmanとvan Gaalen 2017; Sodermansら. 2013; RecksiedlerとBernardi 2021)。にも拘らず、どちらの研究分野も同様に重要であり、相互依存さえしている。理由は種々あるが、特に、子どものウェルビーイングにおける監護権の役割に関する疑問には、SPCの選択的使用を考慮せずに適切に答えることができないためである(Fehlbergら. 2011)。従って、この研究では、ドイツの別離後の家庭のサンプルにおける、親の様々な監護の取決めの選択とその選択に関連する要因、およびそのような取決めと子どもの適応の関連性の両方の側面を検討する。

1.1. 別離家庭における身上監護の取決め

 父親が家庭の問題や育児全般に関与するようになってから(Schoppe-SullivanとFagan 2020)、別離や離婚後の父親の関与も重要性を増した。大多数の子どもは、特に西洋社会では、両親が別離した後も依然として母親と暮らしている(Bernardiら. 2018)。しかし、子どもがほぼ同じ時間を両方の親と暮らすSPCを実践する家庭の割合は増加しており、単独監護はあまり一般的ではなくなりつつある(BjarnasonとArnarsson 2011; Meyerら. 2017)。SPCの定義は、主に50:50 の時間分割(宿泊の均等な割合という点で)から、各親の宿泊時間がより非対称な、最大70:30の配分までの範囲に及ぶ(Baude et al. 2016)。
 SPCはスウェーデンで特に普及しており、両親が別離している子どもの約30%を占めている。このようにSPCの割合が高いのは、恐らく、スウェーデンが家族制度におけるより平等主義的な男女役割分担を支持し、別離後の法的紛争の事案に家庭裁判所がSPCを命令することを認めているという事実によるものである(Vanasscheら. 2017; Walperら. 2021)。新世紀劈頭の10年間にオーストラリア (Fehlbergら. 2011)とベルギー(Sodermansら. 2013)で実施された家族法改正でも、法規範としてSPCが導入され強化された。このことが、別離家庭がSPCを実現する条件の変化に寄与したのは勿論のこと、SPCの増加ももたらした。しかし、SPCの利用増加の傾向は必ずしも直線的ではない。オランダでは、SPCが強化される、2009年の家族法改正の前と改正直後にSPCが増加した。1980年代と1990年代には離婚した家庭の約5%という低水準から始まり、離婚したばかりの夫婦では、SPCは2000年から2007年の間に約20%まで増加した(改正前)。2009年(改正後)、SPCの子どもの割合は32%に上昇したが、その後数年で減少し、2013年には22%になった(Poortmanとvan Gaalen 2017)。
 ドイツでは、SPCはまだ法律によって確立されておらず、SPCに対する制度的な支援は希薄である。従って、ドイツから得られた調査結果は、SPCに対する法的支援や制度的支援がドイツ同様に少ない他の国や管轄区域にのみ適用される可能性があることに注意することが重要である。SPCに対する法的支援や制度的支援が不十分なため、ドイツにおけるSPCの普及率は依然として非常に低位のままであり(BjarnasonとArnarsson 2011)、オランダ、イギリス、スウェーデンなどの SPC に対する幅広い支援を有する他のヨーロッパ諸国に大きく遅れをとっている(Kalmijn 2016)。しかし、ドイツにおけるSPC普及率の推定値は様々である。ドイツ家庭パネル研究「pairfam」の分析により、2014年時点で別離家庭のうちSPCを実践している家庭は5%未満であることが明らかになった(Walper 2016)。2015年に実施された代表的な横断調査「ドイツで育つ」は、別離家庭の子どものうちSPCを実践していたのは僅か3%(60:40の時間分割を使用)という推定値を明らかにしたが、この調査結果はその推定値と一致している。主に単独監護の取決めで暮らしている子どものうち、約21%が父親との接触がないと報告し、半数弱の子ども(48%)が少なくとも毎週、別居する父親と接触していると報告した。良好な四半期(約27%)は、別居する父親との接触が稀であった(Walper ら. 2021)。Köppenら(2020)は、ドイツのSPC普及率が僅かに高い(約12%)と報告した。しかし、その研究では、SPCの異なる定義、つまり正確な宿泊日数ではなく、身上監護の取決めに対する親の主観的な認識が使用された。

1.2. 様々な身上監護の取決めへの社会的な選択に関連する要因

 これまでのエビデンスは、別離後の親の身上監護の選択が、文脈、家庭、個人レベルでのリソースや障壁に関連していることを示唆している(概要は、Walperら. 2021を参照)。

1.2.1. 文脈レベルの要因
 文脈的要因は、別離後の監護の取決めの選択に影響を与える。例えば、法的条件や制度的条件は、別離後にどのような家庭が、そして何件がSPCを選択するかに影響するようである(Walperら 2021)。このことは、人生行路の観点の重要な特徴である、社会制度が個人の人生行路に及ぼす影響によって説明し得る(ElderとShanahan 2006)。より具体的には、国それぞれの家族法などの社会制度や規制が、個人の行動を導き、手引きするのである(MillsとBlossfeld 2009)。個人や家庭も主体的に行動し、自分にとって最善のものを選択する能力を持っているが、その選択は、特定の行動や移行に対する既存の一連の規則や制度的支援システムによって嵌め込まれ、制限される傾向がある。従って、SPCに対する強力な法的基盤がある国、またはSPCが法的デフォルトとして導入されている国では、SPCを選択する家庭の割合が高く、より多様である傾向がある。例えばベルギーでは、別離した親に対する法的な、裁判所命令のデフォルトとしてSPCを導入した後、社会経済的地位(SES)の面でSPC家庭のより特権的な立場が薄れた(Sodermansら. 2013)。スウェーデンは法的な規定もSPCを支持しているが、例え親同士の関係がより高葛藤であったとしても、SPCの社会的受容性は親の間でもかなり高かった(Franssonら. 2016)。このことは、SPCがこの文脈において規範化していることを示している。SPCに関する法的な規定が現在までに存在しないドイツのように、SPCに対する制度的支援が殆どない国では、SPCを確立し交渉するには、親がより積極的である上に、リソースを投入する必要がある。その代わり、ドイツの福祉国家の制度的取決めと家族法は、より伝統的な男性の稼ぎ手モデルの下で運営されており(Grunowら. 2018)、別離後の家庭における女性を家主とした単独監護の取決めの形成を強化する傾向がある。

1.2.2. 家庭レベルの要因
 家庭レベルの要因の中でも、両親の自宅間の距離は、別離後の身上監護の取決めの選択に関連していることが明らかになっている。SPCは移動に一定の労力が必要なため、特に関連する。それぞれの親の家が遠く離れている場合、SPCの実践はより困難になる(例えば、定期的に子どもの世話をし、登下校に対処し、友達に会うことと保証する)。従って、幾つかの研究は、それぞれの親の家が近い場合にSPCが成立する可能性が高いことを明らかにした(Kaspiewら. 2009; Walperら. 2021; SchierとHubert 2015; Baudeら. 2016)。
 別離後の子育て問題について両親が協力し、一緒に取組む-通常は共同子育てと呼ばる-能力も、親が別離後の身上的監護の取決めを選択する際の重要な因子である。SPCは理論的には両親間のやり取りなしでも可能だが(Kaspiewら. 2009)、少なくともある程度の協力意欲が必要であると考えられる(例えば、子どものスケジュールについて話し合い、交渉する場合など)。このような状況を背景に、オランダの前向き研究の結果は、離婚前の両親間葛藤や離婚手続き中の葛藤が、SPC選択する可能性に悪影響を及ぼしていることを示した(Poortmanとvan Gaalen 2017)。別の研究では、SPCの親は単独監護モデルの親よりも葛藤が少ないことも示していた(Cashmoreら. 2010)。Walperら(2021)はまた、親同士のより積極的な共同子育て関係が、ドイツでSPCを実践する可能性が高いことに関連していることを示した。対照的に、より高葛藤状態における共同子育て関係は、SPCまたは単独監護を実践する可能性の高さとは関連していなかった。しかし、幾つかの研究は、親同士の葛藤が存在するにも拘らず、SPCを実践する親が実際に存在することも報告している(Kaspiewら. 2009)。また、こうした葛藤は、両親間でより多くの遣り取りが必要なために生じている可能性もある。

1.2.3. 個人レベルの要因:子どもの年齢と性別、家庭の社会経済的状況、教育レベル、親の就労状況
 乳児や幼児の親がSPCを選択する可能性は低いが、この取決めは3歳から12歳の子どもがいる家庭、特に小学生の子どもがいる家庭で最も一般的に実践されている((Jubyら. 2005; Sodermansら. 2013)。青年期には、SPCの子どもの数は少なくなる(SpruijtとDuindam 2009)。これは、この発達期に仲間や友人の重要性が増しており、青年が両方の親の家の友人グループと平しくアクセスできない可能性があるためかもしれない(例えば、一方の親が遠くに住んでいる場合)。1090人の子どもについて報告した母親からのデータを用いたドイツの代表的な研究でも、SPCを実践する割合は6歳から10歳の子どもで最も高いことが示された(Walperら. 2021)。更に、別離時の子どもの年齢も関係しているようである:カナダの研究では、青年期に親の離婚を経験した場合、子どもはSPCを実践する可能性が高いことが示された(Jubyら. 2005)。これまで、子どもの性別を考慮した研究は殆どなく、男子がSPCになる可能性が高いことを示した研究が1件あるだけである(Kalmijn 2016)。
 教育と収入の面で親の社会経済的地位(SES)が高いことも、SPCの可能性を高めることがわかっている(Jubyら. 2005; SpruijtとDuindam 2009; Kaspiewら. 2009; Walperら. 2021; Nielsen 2013; Cancianら. 2014; Kalmijn 2016; RecksiedlerとBernardi 2021)。これは恐らく、SPCでは家計の負担が増加することを反映していると考えられる。というのは、SPCには両方の家に適切な生活環境と子どもに関連する設備が必要だからである(MelliとBrown 2008)。更に、母親にとっては、SPCの取決めで家族に対する責任と就業との調和が容易になる可能性がある(Bonnetら. 2018)。しかし、SPCの観点から見た母親の就業に関するエビデンスはまだ明らかではない。一方では、SPCによって母親が働きやすくなった可能性がある。しかし、他方、SPCでは仕事と育児をより両立できるため、働く母親がSPCを好んでいる可能性もある。いずれにせよ、結果として、イギリス、スウェーデン、ドイツの就業している母親の間ではSPCがより一般的であることをCILS4EUデータを用いて、Kalmijn (2016)が明らかにした。しかし、ドイツの調査データでは、母親の就業と別離後の監護の取決めとの間に関連性を見出せなかった(Walperら. 2021)。
 オランダでの前向き研究では、親がSPCを選択する可能性は、離婚前の収入ではなく、親の教育レベルに関係していることが判明した(Poortmanとvan Gaalen 2017)。更に、親同士が別離する前に母親がより多くの時間働いていた場合、その家庭はSPCを実践する可能性が高くなった。しかし、カナダでの別の前向き研究(Jubyら. 2005)では、離婚前の収入はSPCを実践する可能性に対し独立した影響を与えていなかった。興味深いことに、その研究では、大学レベルの教育を受けた親だけでなく、高校卒業資格を持たない親だけでも、SPCの割合が高いことが判明した。その上、収入や親の教育に関係なく、就業条件も不可欠であることが判明した。親が離婚する前に母親が少なくともパートタイムで働いており、父親が夜間や週末に働いていない場合、SPCを選択する可能性が高くなった(Jubyら. 2005)。更にその上、柔軟で家族に優しい労働条件は、SPCを実践する可能性が高いことと関連していた。これは恐らく、両親が家事と仕事のバランスをとるという課題に直面しているためである(Nielsen 2013)。全体として、親の教育と離婚前の就業条件の重要性はより明確になっているようであるが、収入に関する調査結果は依然として混乱している。

1.3. 身上監護の取決めと子どもの適応

 別離や離婚はストレスの多い人生の転換を意味し、親の人生行路に広範囲にわたる波及効果をもたらす。なぜなら、親の身体的、精神的、そしてしばしば経済的なウェルビーイングを損なう可能性があるためである (Amato 2010; Cooperら. 2009; NomaguchiとMilkie 2020; RaleyとSweeney 2020)。同時に、家族の構成や力関係を変える役割の変遷は、他の家族メンバー、特に子どものウェルビーイングや適応にも影響を及ぼす(例えば、 Lamelaら. 2016)。この後者の点は、人生行路の視点の生命の繋がりの原則(Elder and Shanahan 2006; Settersten 2015)などの概念的な枠組みで概説されており、人生行路全体にわたる家族のメンバー間の相互つながりと社会的影響が強調されている(Thomasら. 2017)。例えば、ChoiとBecher(2018)は、母親のうつ病は、別離や離婚後により蔓延する可能性がある(Amato 2010)が、これは母親がより過酷な子育てを行うことにより、子どもの行動問題が発生する可能性が高まることと関連していることを明らかにした。従って、特定の身上監護の取決めへの社会的選択に関連する要因(例えば、親のSES、親同士の住宅の距離、子どもの年齢や性別)を統制して、子どものウェルビーイングと別離後の様々な身上監護の取決めとの関連性を調査した多数の研究が行われたことは驚くべきことではない。SPCの子どもは、伝統的な(女性が世帯主である)単独監護モデルの子どもと比較して、父親との緊密な関係を維持する可能性が高いため、両方の親と緊密な関係を維持し続ける機会から利益を得ている(Augustijn 2021a)とよく主張される。(BjarnasonとArnarsson 2011; Nielsen 2011, 2014; BastaitsとPastels 2019)。しかし、子どもがシングルマザーと暮らしている家庭と比較して、SPCの家庭では父と子のコミュニケーションが良好であるという利点が観察されたのは一部の国だけであった(BjarnasonとArnarsson 2011)。例えば、ドイツ、イタリア、オランダでは特に顕著だったが、アメリカやベルギーでは著しく低かった。これは、SPCを人口のより広範で選択性の低い層が採用した場合、特に物議をかもす、高葛藤な別離の場合(例えば、アメリカとベルギー)、父子関係におけるSPC関連の利点が薄れる可能性があることを指摘しているのかもしれない(Sodermansら. 2013)。
 特に、SPCの子どもの感情的および行動的発達は集中的に研究されており、先行研究ではこの身上監護の取決めの幾つかの利点が特定されている(Bauserman 2002; BreivikとOlweus 2006; Turunenら. 2017; Turunen 2017; BraverとVotruba 2018)。スウェーデンとノルウェーではSPCがかなり早くから導入され、別離後の家庭がかなりの割合で採用しており、両国の研究によると、SPCを実践している青年と両親がいる家庭の青年が同程度のウェルビーイングおよび心理社会的適応を示したことを示唆する(例えSPCの青年のスコアが僅かに低かったとしても)一方、ひとり親と暮らす青年では幸福感と適応への悪影響が観察された(Bergströmら. 2015; Carlsundら. 2013; BreivikとOlweus 2006; Turunen 2017)。これは、例えば、スウェーデンの11歳から15歳の学童を対象とした学齢期の児童の健康行動(HBSC)データの分析に基づいて示された。この分析は、青年の主観的なウェルビーイングと健康障害の違いを調査することに焦点を当てている(Carlsundら. 2013)。両親がいる家庭の子どもや青年は、SPCや単独監護の取決めで暮らす同世代の子どもと比べて、ストレスが少なく、健康障害も少ないと報告した。しかし、単独監護モデルの子どもは、SPCの子どもと比較して、健康とウェルビーイングへの悪影響がより強く、関連する社会経済的要因や子どもの両親との関係の質を統制した場合、健康とウェルビーイングへの悪影響の違いは引き続き非常に顕著であった。この発見は、11年以上の期間を対象としたスウェーデンの最近の縦断研究によっても裏付けられている(Hjernら. 2021b)。両親がいる家庭の子どもは、「子どもの強さと困難さアンケート」(SDQ、Goodman 2006)で最も好ましいスコアであることが明らかになっている。このアンケートは、子どもの不適応や行動問題の評価をする上での有効性が確認され広く使用されている尺度である。両親の別離や離婚を経験した子どものうち、SPCの子どもは、単独監護モデルの子どもに比べて精神的健康上の問題のレベルが低かった。
 対照的に、ノルウェーの研究では、SPCの取決めをしている青年は、行動問題のレベル、特に内在化問題(例えば、うつ病や否定的な自己概念など;BreivikとOlweus 2006)の点で、両親がいる家庭の青年と変わらないことが示唆されている。SDQを使用して子どもの全体的な精神的健康を評価した、より幅広い年齢層(4~18歳)を対象としたスウェーデンの別の研究(Goodman 2006)では、SPCの子どもと青年の精神的健康に明確な利点があるというエビデンスは見出されなかった。SPCの未成年と単独監護モデルの未成年者が示した精神的健康の格差は、(両親がいる家庭の未成年と比較して)別離後の両方の監護の取決めにおける親の生活満足度の低さによって大部分を説明できる可能性がある(Bergströmら. 2014; NomaguchiとMilkie 2020)。デンマークの全国出生コホート研究の分析は、7歳の子どもについて報告した39,661人の母親からのデータを用いているが、その分析でも、母子世帯に新しいパートナーがいる場合といない場合とで、両親の揃った家族、SPC、単独監護モデルの間にSDQ問題スコアの差は見られなかった(Hjernら. 2021a)。
 便宜的なサンプルに基づいたドイツの研究(Augustijn 2021a)も同様の結果を示した:SPCの子どもは、単独監護モデルの子どもよりも心身症の問題を示さないが、これらの違いは、少なくとも部分的には、SPCへの選択性(例えば、より良い親子関係、興味深いことに、特に、父親よりも寧ろ母親との関係)によって説明し得る。このデータに基づく他の分析でも、SPCの子どもは、単独監護モデルの子どもと比べて、ウェルビーイングの他の側面(例えば、身体的健康や学校の成績など)に関して良好であることが示された(SteinbachとAugustijn 2021)。しかし、幾つかの統制変数(例えば、家族関係の質など)を考慮すると、これらの違いは消滅した。このことは、親子関係が最も重要な要因であることを改めて示している。Baudeら(2016)が実施した、19件の研究を調査したメタ分析はでは、効果量がかなり低いにも拘らず、単独監護の取決めと比較してSPC家庭の子どもの方が、適応が良好であることが明らかになった。その上、子どもの適応の違いは、両親と過ごす時間によって控えめになるため、子どもの発達に対する明らかなSPC関連の利点は、両親のそれぞれの住居で過ごす時間を均等に共有した場合(即ち、50:50の時間分割)にのみ現れた。
 要約すると、どのような文脈を用いるか、SPCをどのように定義するか、どのような結果を子どもたちのために考慮するかによって、研究のエビデンスはまちまちであることに注意を払わねばならない。一方の考察では、これらの研究を総合すると、単独監護モデルと比較した場合、SPCの利点は-もしあったとしても-僅かしかない((Bergströmら. 2015; Franssonら. 2018)。もう一方の考察では、両親が揃った家庭と比較して、子どものウェルビーイングにおいて不利な点は殆ど存在しない(例えばHagquist 2016)。更に、報告された関連性は、人間関係の質などの他の家族特性を考慮すると消失することがよくあった(SteinbachとAugustijn 2021)。他の代表的な研究では、別離後の様々な身上監護の取決めの間に殆ど差はなかった。(即ち、SPC対単独監護モデル; Hjernら. 2021a)。

1.4. 親同士の関係が高葛藤なケースのSPC子どもの適応

 最初の一つとして、Fehlbergと彼の同僚(2011)は、SPCに関する国際データ、特にオーストラリアのデータの分析の中で、SPCは条件によってはリスクも伴う可能性があるため、全てのケースにおいてより好ましい身上監護の取決めであるとは限らないことを強調した。例えば、非常に関連性の高い悪条件の1つは、(非常に幼い)子どもの安全に対する親の全体的な懸念のほかに、SPCによって悪化する可能性がある、別離中の親同士の継続的で激しい葛藤である。葛藤を抱えた別離家庭に関するMcIntoshとその同僚の縦断的研究(2010)は、SPCの子どもは単独監護モデルの子どもと比べて、課題の完了に関してより多くの問題を抱えているのは勿論のこと、注意力の持続時間と集中力に関してより多くの問題を抱えていることを示した。これは特に少年に、取り分け厳格に確立されたSPCモデルで監護されていた少年に影響を及ぼした(McIntoshら. 2010)。その研究では、SPCの子どもは、親同士の葛藤が増したと報告し、忠誠心の葛藤に囚われていると感じ、4年後の監護の取決めに殆ど満足していなかった。全国を対象にした大規模なオランダの代表的横断研究でも、同様の結果が明らかになった(Kalmijn 2016):別居した親同士の葛藤は、父親と頻繁に接触する場合、子ども(特に男子)の抑うつ症状のレベルが高くなることに関連していた。同様に、ドイツの横断研究は、高レベルの親同士の葛藤(Augustijn 2021b)、または子どもが忠誠葛藤に巻き込まれていること(Augustijn 2021c)が、SPCの子どもと単独監護の子どものSDQの問題スコアが同様に高いことに関連していることを示した。SPCと子どものウェルビーイングとの間の肯定的な関連性は、親同士の葛藤のレベルが低い場合 (Augustijn 2021b)、または忠誠葛藤が存在しない場合((Augustijn 2021c)にのみ見出された。11件の研究のレビューでは、SPCが非常に高葛藤の家庭における子どもの発達不良と関連していることも示された(Mahrerら. 2018)。このことは、別離後の親同士の葛藤(Amato 1993)が、SPCの取決めをしている子どもにとってより重大であることを示している。なぜなら、このSPCの取決めをしている子どもは、より頻繁に親同士の葛藤にさらされ、両親の間で板挟みになっていると感じる可能性があるためである。16件の横断研究を対象とした別のレビューでは、親の健康は勿論のこと、親同士の葛藤や慣行が、別離後の監護の取決めの選択よりも子どもの行動にとってより重要な要因であると結論付けている(Baudeら. 2019)。対照的に、Bauserman(2002)のメタ分析は、SPCの子どもは単独監護モデルの子どもよりも葛藤が少ないことを明らかにしたが、この分析はこれらの子どものウェルビーイングの違いを説明できなかった。3歳の子ども12,845人を対象としたスウェーデンの最近の横断研究では、親の共同子育ての質を考慮すると、別離後の身上監護の取決めの違いによる子どもの適応(これもSDQで測定)の差異は消失することが明らかになった(Bergströmら. 2021)。従って、著者らは、二人の親が揃った家庭やSPC家庭では、親同士の共同子育ての関係が、単独監護モデルを実践している家庭に比べ、より顕著な役割を果たしていると結論付けている。なぜなら、これらのモデルでは協調とコミュニケーションのニーズが高く、親同士のより良い協力が必要だからである。SPC家庭における子どもの適応と共同子育て問題との関連性に関する研究は主に横断的なデータに基づいているため、子どもの適応がSPCを実践する親の選択を予測するのかどうか、SPCが親の共同子育て問題を更に引き起こすのかどうか、あるいはSPC家庭における共同子育て問題が子どもの適応の不利につながるかどうかについて、結論を引き出すことはできない。
 このような背景に対して、本研究では次の研究課題に焦点を当てる。
研究課題1:ドイツでは別居後の監護権の取り決めに選択性が見られるか?

仮説1a. より具体的には、私たちは、子どもの年齢、世帯内の子どもの数、母親の特性(例えば、教育レベルや就業状況など)、および各親が暮らす家の距離が、親がSPCを選択する際の関連する要因になると予想している。世帯内の子どもの数は特に興味深い。というのは、これまでの研究では、私たちの知る限り、この家族レベルの要因が殆ど考慮されていなかったためである。しかし、世帯内に複数の子どもがいると、SPCを実践する可能性が低下し得ると想定するのが妥当である。なぜなら、監護を実践する上で複雑すぎ、複数の子どもに対し(異なる、または競合する可能性がある)SPCスケジュールを調整して慎重に進めて行くのは現実的ではないからである。
仮説1b. 更に、私たちは、親同士のより協力的な共同子育て関係は、SPCを実践する可能性をより高めることに関連すると予想している。ドイツでは、SPCに対する法的な規定が不十分なことを考えると、低葛藤の両親がSPCを選択する可能性が高いと考えられる。

研究課題2:ドイツでは、別離後の監護の取決めの違いによって、子どもの適応に違いが見られる?

仮説2a. 一方で、私たちは、SPCの子どもは単独監護モデルの子どもよりも僅かに高いレベルの適応を示すと仮定している。

仮説2b. 一方で、私たちは、親同士の関係の質は、監護の取決めと子どもの適応との関係に適度な効果を及ぼすと仮定している。これまでの研究は、親同士の葛藤は有害であり、SPCの子どもに更なる問題を引き起こす可能性がある、あるいは少なくともSPCの利点が打ち消される可能性があることを明らかにしている。私たちは、これまでの先行研究では殆ど考慮されていなかった、親同士の共同子育て関係にも同様のメカニズムが働いていると主張する。共同子育て、特に親同士の葛藤を伴う共同子育て行動(例えば、「影口を言う」)は、一般的な親同士の葛藤と比較して、子どもの発達により重大な影響を与えることが判明しているため(TeubertとPinquart 2010)、私たちの研究では、この問題に特に重点を置いている。

2.材料と方法

 私たちは、子ども、若者、若年成人を対象とした3回目のドイツを代表する大規模な調査(「ドイツでの成長」; Kugerら. 2021)のデータを使用した。この調査データは、2019年に個人の標準化されたコンピューター支援面接を通じて収集された。サンプルには、住民の人口登録台帳から無作為に抽出された0歳から32歳までの対象者が含まれている。対象者-または未成年者の主たる監護人-が研究に参加することに同意すると、他の世帯員(例えば、両親や兄弟など)も研究に参加するよう勧めた。各参加者は、育児、学校教育、職業訓練、仕事は勿論のこと、世帯の社会経済的状況、家庭生活と家庭内の人間関係の質、成長のストレス要因と緊張、世帯全員のウェルビーイングの指標など、年齢別の幅広いトピックをカバーするモジュール化された面接を受けた。研究に参加した人は少額の報酬を受け取った。回答率は世帯の約21%で、対象者は最初に人口登録台帳から抽出された。完全なサンプルは、対象者との面接で14,277件、未成年者に関する親との面接6,621件で構成されており、どちらも6,355世帯から抽出した。
 研究の目的として、私たちの分析サンプルを、別離または離婚した両親を持つ未成年者(0歳から17歳)のサブグループと、彼らの別離後の親同士の共同子育て関係は勿論のこと、身上監護の取決めに関する情報に限定した。結果として得られた分析サンプルは、様々な身上監護の取決めをしている家庭の普及率と社会人口学的構成に関する最初の調査課題に答えるために使用されたが、509世帯から抽出した800人の未成年者で構成されていた(46.6% が女性、平均年齢(標準誤差) = 9.97 ( 4.60))。身上監護の取決め、両親の共同子育て関係、及び子どもの適応の間の関連に関する2番目の仮説に取り組むと、分析サンプルは小さくなったが、これは主な結果変数(子どもの適応)が4歳から17歳の子どもに対してのみ、また各世帯内の子ども1人に対してのみ評価されたためである。従って、結果として得られた分析サンプルは467人の子どもで構成されていた(47.3% が女性、平均年齢(標準誤差) = 11.74 (4.02))。

2.1. 測定

 私たちは、子どもと主たる監護者と見做されない親(即ち、通常は父親)との接触量と、各親の家に子どもが宿泊した月間回数に基づいて、別離後の身上監護の取決めを4つに区別した。父と子の接触には、対面接触または他のリモート形式(例えば、ビデオ通話やテキストメッセージなど)の両方が含まれる可能性があり、その量をカテゴリカル指標で測定したことに注意が必要である(1=全くない、2=月に1回未満、3=月に1回または2回、4=週に1回または2回、5=週に複数回、6=毎日)。家庭を区別した監護の実践基準は次の通り:⑴子どもが月に少なくとも10泊(30%)し、一方の親の家で最大21泊(70%)を過ごした場合は、SPC、⑵一方の親の家で過ごす子どもの宿泊数が月に10泊未満で、父親と子どもの接触が少なくとも週に1~2回以上の場合は、頻繁に父親と子どもが接触する単独監護、⑶一方の親の家で過ごす子どもの宿泊数が月に10泊未満で、父親と子どもの接触が少なくとも月に1回か2回以下の場合は、偶に父親と子どもが接触する単独監護、⑷一方の親の家に宿泊せず、父親と子どもの接触がない場合は、父親との接触がない単独監護。私たちの完全な分析サンプル(即ち、より制限を掛けた子どもの適応測定によりサンプルサイズが減少する前)では、別離した両親を持つ子どもの8.5%がSPCを実践し、50.9%が殆ど母親と暮らし、別居する父親と頻繁に接触していた。子どもの33.0%は殆ど母親と暮らす一方で、別居する父親と稀に連絡をとり、別離した両親を持つ子どもの7.6%は母親と暮らし、別居する父親との接触は全くなかった。私たちのサンプルにおける身上監護の取決めの分布は、ドイツについて報告された以前の調査結果とは僅かに異なることに注意せねばならない(Walperら. 2021)。この違いは主に、私たちの分析サンプルが、親がもう一方の親と少なくともある程度活発な共同子育て関係を持っていると報告した家庭に限定していいたことが原因である。この共同子育てには、別離した親同士である程度のコミュニケーションが必要となるため、父親と接触がない子どものケースは過小評価され、父親との接触がより頻繁だったりSPCである子どものケースがより多く報告された。データセット内の別離した両親を持つ全ての未成年者(即ち、親の共同子育て関係に関する情報がある未成年者とない未成年者、N= 1165)の別離後の監護の取決めの分布を見ると、別離した親を持つ子どもの 6.1%がSPCを実践し、39.5% は殆ど母親と暮らしながら、別居する父親と頻繁に接触し、29.7%は殆ど母親と暮らし、別居する父親とは偶に接触し、別離した親を持つ子どもの24.7%は、別居する父親とは接触していなかった。
 両親の家の距離は、別離後の監護の取決めの選択を決定する重要な因子である(Walperら. 2021; SchierとHubert 2015; Kaspiewら. 2009)。私たちの研究では、回答者に両親の家が以下のどれに該当するかを評価するよう求めた:1=同じ建屋にある、2=同じ周辺地域にある、3=同じ町または村にあるが徒歩で15分以上離れている、4=別の町や村にあるが徒歩で1時間未満の距離、5=遠く離れているがドイツ国内、6=遠く離れている別の国。最初のカテゴリーはケース数が少ないため、最初の2つのカテゴリー(即ち、同じ建屋と同じ周辺地域)を畳み、この指標を連続変数(1「同じ建屋/周辺地域」から5「遠く離れている/別の国」までの範囲)としてモデルに入力した。このアプローチは一般的な手法であり、少なくとも5つのカテゴリーを持つ序数インジケーターに推奨される(例えば、Rhemtullaら. 2012; Robitzsch 2020)。
 親同士の共同子育ての質は、元パートナーが子育ての問題にどれだけうまく協力しているかを評価する。共同子育てには元夫婦間の少なくとも最小限の接触と遣り取りが必要であるため、この測定に関する質問は生物学上の父親と接触のある母親に限定した。私たちは、共同子育ての関係の質を測定するために、ドイツ語訳「親同士の問題チェックリスト」の改造版を使用した(DaddsとPowell 1991)。6つの項目(クロンバックのα=0.80)、即ち、「私たちは親として良いチームです」、「私たちは子どもに関する重要な決定を一緒にします」、「私たちは子育てについて根本的に異なる考えを持っています」、「私たちはお互いに陰口を言います」 、「彼/彼女は子どもを親同士の葛藤に引きずり込みます」、「子育ての実践についての議論は、しばしば私たちの喧嘩で終わります」については、1「全く同意しない」から6「完全に同意する」のスケールで評価した。私たちの分析では、合成得点が形成され、より高い値が元夫婦間のより高いレベルの親子関係の問題に対応する方法で項目を再コード化したことに注意が必要である。
 私たちは、Goodman 2006が子どもの心理社会的適応を測定するのに用いた、「子どもの強さと困難さアンケートSDQ」を使用した。この広く検証された測定法は、4~17歳の未成年者である子どもおよび青少年の問題行動を調査するのによく適している。SDQは、5つの下位尺度(それぞれ5つの項目を有する)で構成されている。5つの項目とは、即ち、情緒の問題、行為の問題、多動性、仲間関係の問題、および向社会的な行動である(0=真実ではない、1=ある程度真実、2=確かに真実)。以前述べたように、私たちの調査では、世帯に4歳から17歳までの子どもの1人だけ(この年齢範囲内でその世帯に複数の子どもがいる場合)を対象にして、母親がSDQに記入した。殆どの場合、この子どもは世帯の中で最年長だった。繰り返しになるが、サブスケールの値が高いほど、子どもの適応が悪化していることを示す。
 母親は更に、世帯の社会人口構成、社会経済的状況、自身の学歴に関する詳細な情報を提供した。私たちは母親の雇用状況に関する情報を得ている(1=就業していない[例えば、失業、高等教育または職業訓練中、または産休のため]、2=僅少パートタイム雇用またはパートタイム雇用、3=フルタイム雇用)。母親の教育到達レベルは、「先進国における社会的流動性の比較分析 (Braunsら. 2003)」に従って分類している。この分析では、学校教育のレベルと中等教育後の職業訓練または学術訓練のレベルの両方が考慮されている。ケース数が少ないため、幾つかのカテゴリーを畳んだ。即ち、1=低(母親が高校卒業資格のみを持っている場合)、2=中(職業訓練の場合)、3=高(大学以上の場合)。私たちのサンプルでは、母親の39.4%が高教育を受けており、39.6%が中程度の教育を受けており、20.9%が低教育を受けていた。世帯の経済状況を評価するために、家族が認識している経済的貧困レベルも測定した。母親は自分の経済状況に関して、以下の記述を評価した。「毎月お金を貯めることができる」、「家具を買い替えることができる」、「予期せぬ出費に対処できる」(1=はい、2=経済的理由でいいえ、3=他の理由でいいえ)。否定的な回答を数え、3レベルのカテゴリカル指標を形成した(1=なし、2=低[即ち、1の回答を数える]、3=高[即ち、2または3の回答を数える])。最後に、私たちは、母親の世帯で暮らす子どもの数(1=子どもが1人、2=子どもが2人、3=子どもが3人以上)は勿論のこと、子どもの年齢(満年齢で)、性別(0=女性、1=男性)、およびに関する情報を得た。

2.2. 分析戦略

 全ての分析はStata (v15.1)で実行した。SPCの選択性に関する最初の研究課題に対処するために、私たちは、それぞれの別離後の監護の取決めに属する可能性を予測する多項ロジスティック回帰モデルを実行した。1世帯内に複数の子どもが入れ子になる可能性があるため、モデルではクラスターに堅牢な標準誤差を使用した。参照カテゴリーはSPCであった。最初のステップでは、社会経済的指標(例えば、家族が認識している経済的貧困のレベルや子どもの年齢や性別は勿論のこと、母親の学歴や就業状況など)だけではなく、親同士の家の距離と社会人口動態もモデルに追加した(仮説 1a)。
第2ステップでは、共同子育て関係の品質をモデルに追加した(仮説 1b)。解釈を容易にするために、回帰モデルの平均限界効果(AME)の離散的な差異を報告する(Long 2014)。AMEは、各結果カテゴリー(即ち、各別離後の監護の取決めに属する)の可能性に対する独立変数の平均的な影響を表す。連続変数の場合、AMEは予測因子1単位増加に対する予測確率の平均離散変化を表し、カテゴリー変数の場合、予測因子のレベルのペアの予測確率の平均的な差異を表す。
 監護の取決め、親同士の共同子育て、子どものウェルビーイングの間の関連性に関する2番目の研究課題に答えるために、子どもの適応問題(即ち、4つのSDQ下位尺度)を予測する線形回帰モデルを使用した。ここでも2つのステップで進めた。まず、全ての予測因子(例えば、親同士の共同子育て関係の質は勿論のこと、別離後の監護の取決め、社会人口統計的および社会経済的指標など)を含む主効果モデルを実行した(仮説 2a)。
 第2ステップ(仮説 2b)では、SPCの取決めの子どもが、親同士の共同子育ての質に応じてより高レベルの子どもの適応を示すかどうかをテストするため、別離後の監護の取決めと共同子育てとの間に交互作用項を追加した。有意な交互作用項の解釈を容易にするため、予測マージンを推定し、プロットした.

3. 結果

3.1. 多項回帰の結果

 身上監護の取決めの選択性に関する最初の仮説を検証した結果を図1と図2に示す。

図1.社会人口統計および社会経済的予測因子に基づいた、別離後の各身上監護の取決めに属する予測確率.参照カテゴリーは次の通り;女性,初等教育レベル,未就業,経済的貧困ではない,世帯に子ども1人

 最初の多項回帰モデルの結果は、それぞれの別離後の監護の取決めに属する予測確率を示している(図1参照)。様々な身上監護の取決めにわたって、僅かに有意な差異しか現れていないことが分かる。しかし、両親の住まいの距離は、別離後の4つの身上監護の取決め全てにとって重要な因子だった。
 元夫婦が互いに離れて住んでいた場合、子どもは母親と同居し、別居する父親と接触がない(AME(標準誤差)= 0.03 (0.01)、p < 0.01)か、偶にしか接触しない可能性が高くなる(AME(標準誤差)= 0.08 (0.02)、p < 0.001)。対照的に、両親の住まいが互いに近接していた場合、子どもは主として母親と同居し、頻繁に父親と子どもが接触する可能性が高くなる(AME(標準誤差)= −0.05 (0.02)、p < 0.05)、またはSPCを実践している可能性が高かった(AME(標準誤差)= −0.05 (0.01)、p < 0.001)。追加の感度チェックとして、両親の住まいの距離をカテゴリー指標として入力してモデルを再実行したことに注意を要する(参照カテゴリーは同じ建屋/近隣地域である。結果は要望に応じて入手可能)。その結果、両親の住まいが同じ建屋/近隣地域にある場合と、同じ町/村にあるが徒歩で15分以上離れている場合とで、子どもがSPCを実践する可能性には有意差がないことが明らかになった。しかし、両親の住まいが同じ建屋または近隣地域にある場合、両親が別の町や村、ドイツ国内の他の場所、または国外(1時間以内と1時間以上の距離にある場合の両方)に分かれて暮している場合に比べて、子どもがSPCである可能性が高かった。これに関連して、親同士の住まいが同じ建屋/近隣地域にある場合と比べ、両親の住まいが、別の町や村、ドイツ国内の他の場所、または国外(1時間以内と1時間以上の距離にある場合の両方)にある場合、子どもは母親と同居し、父親と子どもの接触がない可能性が高かった。
 図1に示している主要な分析セットでは、母親が高等教育レベルの教育を受けた子どもは、母親が初等教育レベルの教育を受けた子どもと比較して、父親と子どもの接触のない単独監護グループに属する可能性が更に低かった(AME(標準誤差)= −0.12 (0.04)、p < 0.01)。しかも、高レベルの教育を経験していると母親が報告する可能性が低い場合は、経済的貧困がない場合と比較して、子どもが、父親と子どもの接触がない単独監護のグループに属する可能性は高かった。(AME(標準誤差)= −0.07 (0.03)、p < 0.05)。これまでの研究では、シングルマザーであることと貧困のリスク増加との強い関連性が実証されていたため、これはやや予想外である(例えば、ChzhenとBradshaw 2012; Heintz-Martinら. 2021)。最後に、男子は女子に比べて母親と同居する可能性が低く、父親と頻繁に接触する可能性が低い(AME(標準誤差)= −0.08 (0.04)、p < 0.05)。これは、男子はSPC家庭で暮らす可能性がより高かったKalmijn (2016)による発見と一致している。この傾向はここでも見られるが、SPCにおいて顕著ではない。

図2.社会人口動態および社会経済的予測因子、並びに親同士の共同子育て関係の質に基づいた、別離後の各身上監護の取決めに属する予測確率.参照カテゴリーは次のとおり;女性,初等教育レベル,未就業,経済的貧困ではない,世帯に子どもが1人.

 親同士の共同子育ての質を私たちのモデルに入力したところ(図2参照)、ステップ1で既に入力された予測因子の結果は殆ど変化しなかった。しかし、両親の住まいの距離は、単独監護の取決めの子どもにとって、父親と子どもの接触がなかろうが、父親と子どもが頻繁に接触してようが、もはや有意ではなかった。また、男子は女子と比べて、母親と同居する可能性や頻繁に父親と接触する可能性も低かった。しかし、母親が中等教育レベルまたは高等教育レベルのどちらかの教育を受けている子どもは、母親が初等教育レベルの教育を受けている子どもと比較して、父親と子どもの接触のない単独監護グループに属する可能性が低かった(それぞれ、AME(標準誤差)= −0.08 (0.04)、p < 0.05、およびAME(標準誤差)= −0.11 (0.03)、p < 0.01)。更に、親の共同子育て関係の質は、4つの別離後の監護の取決め全てと強く関連していた。両親が低葛藤の共同子育て関係にあった場合、子どもはSPCか母親と同居する可能性がより高く、しかも、頻繁に父親と子どもとが接触していた(それぞれ、AME(標準誤差)=−0.03(0.01)、p < 0.01、およびAME(標準誤差)= −0.08 (0.02)、p < 0.001)。対照的に、親がより共同子育て上の問題を抱えている場合、子どもは母親と同居する可能性がより高く、父親と子どもとの接触が全くないか、偶にしかない可能性が高かった(それぞれ、AME(標準誤差)= 0.03 (0.01)、p < 0.001、およびAME(標準誤差)= 0.08 (0.01)、p < 0.001)。

3.2. 線形回帰の結果

 2番目の仮説(2aと2b)、即ち、身上監護の取決め、親同士の共同子育て関係の質、および子どもの適応の間の関連性に関する仮説を検証するため、表1に示すように、段階的OLS回帰モデルを使用した。SDQの4つの下位尺度(情緒の問題、行為の問題、多動性、および仲間関係の問題)のそれぞれについて、私たちは最初に、身上監護の取決め、親同士の共同子育て関係の質、並びに主要な社会人口統計および社会経済予測因子を含む主効果モデル(モデル1)を実行した。私たちの予想に反して、身上監護の取決めはどれもSDQの下位尺度と有意に関連していなかったことが分かる。しかし、より多くの共同子育ての問題は、より高いレベルの子どもの情緒の問題、行為の問題、仲間関係の問題と密接に関連しており、これは以前の研究と一致している(Langmeyer 2015; Teubertと Pinquart 2010)。更に、私たちは、年齢、性別、母親の教育レベルによる子どもの心理社会的適応の違いを発見したが、これは以前の研究でも十分に裏付けられている(例えば、Woernerら. 2004)。例えば、年長の子どもを持つ母親は、多動性のレベルが低いのは勿論のこと、情緒の問題や行為の問題も著しく少ないと報告した。また、母親は、女子に比べて男子のほうが行為の問題や多動性が著しく高いと報告した。SDQの4つの下位尺度のうち3つ(即ち、情緒の問題、行為の問題、および仲間関係の問題)に関しては、母親の教育レベルと関連しており、教育レベルが高いほど、これらの下位尺度の問題が少なかった。行為の問題ついてのみ、フルタイムで働いている母親は、働いていない母親と比較して、自分の子どもが行為の問題を示していることをより多く報告していることがわかった。最後に、高水準の経済的貧困を報告した母親は、経済的貧困がない母親と比較して、子どもの仲間関係の問題を報告する可能性が高かった。

表1.SDQ下位尺度を予測する段階的OLS回帰モデル(それぞれ1つのモデル.値が大きいほど子どもの適応が悪いことを示す.モデル1=主効果モデル,モデル2=別離後の身上監護の取決めと親同士の共同子育て関係の質との間の相互作用,N= 434)

 2番目のステップでは、SPCの子どもが親同士の共同子育て関係の質に応じてより低レベルの子どもの適応を示すかどうかをテストするため(仮説 2b)、身上監護の取決めと親同士の共同子育て関係の質との間の相互作用をモデルに追加した(表1、モデル2参照)。身上監護の取決めと共同子育ての問題との間に有意な相互作用があった下位尺度は多動性の1つだけで、他の3つの下位尺度、情緒の問題、行為の問題、仲間関係の問題には相互作用が存在しなかった。図3にプロットされた予測マージンは、SPCの子どもの間で、元夫婦の間のより高葛藤の共同子育て関係は、より高レベルの多動性と関連していることを示した。対照的に、母親と暮らし、父親と接触していない子どもの間で、より高葛藤の共同子育て関係は、より低レベルの多動性と関連していた。

図3.SDQの下位尺度である多動性に関する、別離後の身上監護の取決めと共同子育ての問題との間の有意な相互作用効果.

4.考察

 本研究は、他の多くの西側諸国(例えば、北ヨーロッパ諸国、アメリカの一部、オーストラリア; Steinbach 2019)とは対照的に、SPCに対する法的支援や制度的支援が不十分な管轄区域における SPCに関する新たな文献に貢献するものである。私たちは、ドイツにおけるSPCの普及率、SPCへの社会的選択に関連する問題、及び子どもの適応との関連を調査した。より具体的には、私たちは、SPCの取決めをしている子どもを、これまでのところ主に主流となっている単独監護モデルの子どもと比較した。このモデルでは、子どもは母親と同居する傾向があり、父親と子どもの接触は制限されていることが多い(SwissとLe Bourdais 2009; Köppenら. 2018)。SPCを実践している家庭は、より裕福で、より良い教育を受けており、親同士がより低葛藤で、より近くに住んでいる傾向がある(Nielsen 2013)。更に、両親はSPCを実践する際、育児関連の仕事や義務に従事し続ける機会がある。一部の学者は、それが子どもの適応の改善につながっている可能性があると主張しているが、SPCと子どもの適応との関連性に関する研究結果は依然としてまちまちで(Baudeら. 2016; Bergströmら. 2015)、特に困難で高葛藤な親同士の関係の条件下で顕著である。これらの一貫性のない結果に対処するため、私たちの研究では、SPCの普及率とSPCとの関連性に関する研究がこれまでに僅かしか存在しないドイツの事案をプロファイルした(例えば、Augustijn 2021b; Köppenら 2020; Walperら 2021)。私たちの最初の目的は、2019年に収集されたごく最近の代表的な調査データに基づいて、親がSPCを実践している別離した親の子どもの割合を推定し、より伝統的な単独監護モデルを採用している親と比較してSPCの親の社会人口学的プロファイルを調査することだった。これに関連して、以前の研究では、これらは1つのグループとしてSPCと比較されることがよくあったため、単独監護モデルの差別化した見解は本研究の付加価値といえる(例えば、Augustijn 2021a)。私たちは、他のドイツの研究(Köppenら 2020; Walperら 2021)と一致して、他のヨーロッパ諸国では、SPCで暮らす別離した親の子どもは30%以上である(例えば、ベルギー、スウェーデン、スペイン; Vanasscheら 2017)のに対し、私たちのサンプルでは、別離後の家庭の子どものうち、SPCで暮らしている子どもはごく一部(約6%)に過ぎないことを見出した。これは、ドイツではSPCの選択が未だに規定ではなく例外であり、より伝統的な母親の単独監護の取決めが、別離中の親の大多数によって主に実践されていることを示している。他の研究では家庭レベルで分析を行うことが多いのに対し、私たちの研究では子どもが分析単位であったことに留意すべきである。読者は、SPCの普及率など、研究間の推定値を比較する際に、この点に留意する必要がある。単独監護の取決めが優勢であることは、部分的には、別離または離婚の前後でドイツ人カップルの間で一般的と思われる性別による役割分担は勿論のこと、これまでドイツにおいてSPCに対する制度的支援および法的支援が不十分であることによって説明できる(例えば、Grunowら 2018)。これは、SPCを選択する親がSPCに関する大部分を自分たちで交渉、同意する必要があり、これにはかなりの主体性が必要であることを意味する。一方、既存の一連の制度的規定は、他の殆どの親を単独監護の取決めに誘導し、単独監護以外の取決めを取り除く可能性を高くする(MillsとBlossfeld 2009; SetterstenとGannon 2005)。母親の就業にとって思いやりのある障壁となっている公的保育の提供における地域的な欠陥など、支援的な家庭政策の欠如は(BollとLagemann 2019)、別離後の監護の取決めにおける男女別の分断を更に強化している(Levy 2013)。しかし、Fabriciusと同僚(2010)は、離婚専門家やカウンセラーがSPCに対してより好意的な見解を持ち、それに応じて別離後の家庭を指導すれば、SPCに対する法的支援がない場合でも、SPCの割合が大幅に変化する傾向があることを見出した。従って、ドイツではSPCに対する法的支援が不足していることを考慮すると、これは、別離または離婚後に親がSPCを実践する選択を支援するための有望な手段となる可能性がある。私たちは更に、子どもが母親と同居し、別居する父親との接触の程度が異なる(即ち、父親と子どもが全く接触していないから頻繁に接触しているまでの範囲にわたる)他の単独監護の取決めより寧ろ、SPCを選択する親の選択に関連する社会人口学的要因を調査した。全体として、私たちの結果は、SPCを実践する確率が親同士の住まいの近さに強く関連していることを示す先行研究と一致していた(例えば、SchierとHubert 2015; Walperら 2021)。別離家庭は、親同士の住まいが地理的に近いなら、SPCを実践する可能性が高く、単独監護モデルを実践する場合には、少なくとも頻繁に連絡を取る可能性が高かった。父親が子どもから比較的遠くに住んでいる場合、接触は殆ど、あるいは全くない可能性が大幅に高くなる。これは恐らく、様々な別離後の監護の取決めに関連する実現可能性とコストに関連していると考えられる。SPCを実践することは単純に現実的ではなく、日常的に不可能かもしれず、子どもが親の家の間を長距離移動する必要がある場合、かなり費用のかかる取組みになる可能性がある(SchierとHubert 2015)。しかし、親がSPCより寧ろ単独監護モデルを選択したこと、親同士の住まいの間の地理的距離が離れていたことも、父親が子どもと関わることに関心を欠いていたり、子どもとの感情的な親密さを欠いていたり、親同士の深刻な対立が原因である可能性もある。 データの可用性の問題のため、それらをテストすることはできなかったが、これらの代替説明を念頭に置いておく必要がある。
 SPCに関連するもう1つのよく知られた要因は、親のSES及び特に親の学歴である(Fehlbergら 2011; Jubyら 2005; Poortmanとvan Gaalen 2017)。私たちのデータでは、子どもが別居する父親と接触していない単独監護の取決めに限定されるが、母親の教育と別離後の監護取決めとの間に有意な関連性があることも見出した。高等教育レベルの教育を受けた母親は、初等教育レベルの教育を受けた母親と比較して、この別離後の監護の取決め(SPCを指す:訳者註)に属する可能性が低く、このことは、特にシングルマザーの不安定でより不利な経済状況に関する先行研究と一致している(Bernardiら 2018; ChzhenとBradshaw 2012)。これに関連して、高水準の経済的剥奪があると、経済的剥奪のない場合に比べて、子どもが別居する父親と接触していない単独監護を実践する機会が減少するというやや予想外の発見は、ドイツの養育費に関する規定に関連している可能性がある。これまでの研究は、子どもと接触していない別居する父親は、経済的な養育費を殆ど、または全く支払っていないことが多いことを明らかにしている(Jubyら 2007; KeilとLangmeyer 2020)。ドイツではこのような場合、国家が介入し、父親の経済的義務の少なくとも一部を母親に支払っている。このことは将に、父親と子どもとの接触がない子どもの母親は、別居する父親との接触が僅かであったり頻繁であったりする母親に比べ、より頻繁かつ定期的に国から経済的支援を受けているが、父親はあまりにも少ない養育費を不定期にしか支払わないことが多いことを意味する(Hubertら 2020)。別居する父親と何らかの接触があった場合、国は当然、父親に直接養育費の支払いを要求することに関心を持っており、恐らくそのことが、他の単独監護グループにおいて、この影響が観察されなかった理由であろう。私たちの仮説や以前の文献(Walperら 2021)に反して、別離後の身上監護の取決めと子どもの年齢、子どもの人数との間に有意な相関は見られなかった。
 最後に、私たちはまた、別離後の様々な監護の取決め(Walperら 2021; Cashmoreら 2010; Poortmanとvan Gaalen 2017)と子どもの適応(Beckmeyerら 2014; Lamelaら 2016; Amatoら 2011)に対する親の選択と選択を形成する要因として、また、別離後の監護の取決めと子どもの適応の間の関係の効果修飾子として、親同士の共同子育て関係の質を考慮した。子どもの適応における親の共同子育ての重要性、別離後の監護の取決めの選択、およびその波及効果は、部分的には、人生行路の視点の生命の繋がりの原則で説明できる(Setterten 2015; Ellder とShanahan 2006)。これは、人生行路全体にわたる家族メンバー間の相互の繋がりと社会的影響を強調している(Thomasら 2017)。より具体的に言えば、個人は、元夫婦、その子ども、そして別離や離婚後の新しいパートナー候補や実の子や継子からなる、感情的、社会的、物質的な様々なニーズを満たす、織り混ぜられた複雑な家族の絆の中に組み込まれ、組み込まれ続ける。従って、子育ての義務と責任に関してチームとして協力する親の能力の緊張は、母親によるより苛酷な子育ての実践による波及過程を通じて(例えば、Heintz-Martinら 2021; Choi and Becher 2018)は勿論のこと、子どもの適応とウェルビーイングに直接的かつ包括的に影響を与える可能性がある(例えば、Walperら 2021)。SPCでは親同士でより多くのコミュニケーションと遣り取りが必要となるため、葛藤が少ない親はSPCを実践する可能性が高くなる(Poortmanとvan Gaalen 2017)。これは私たちの分析でも確認されたことである。私たちは、もう一方の親との共同子育て上の問題が多いと報告した母親は、子どもが別居する父親と殆どまたは全く接触しない単独監護を実践する可能性が高く、一方、葛藤の少ない共同子育て関係は、SPCまたは子どもが別居する父親と頻繁に接触する単独監護モデルを実践する可能性が高いことに関連することを見出した。これらの結果は、親同士の葛藤や離婚が子どもの適応に及ぼす影響についての独創的な研究と更に一致しており、子どもは葛藤に満ちた二人親家庭よりも、葛藤が少ないひとり親家庭のほうがうまくやっていく傾向があることが示されている(例えば、Amato 2000; Cherlinら 1991; DemoとAcock 1988; HessとCamara 1979)。
 しかし、これらの分析では、私たちのサンプルが積極的な共同子育て関係を持つケースのみに限定されていることに注意することが重要である。積極的な親子関係が存在しない-恐らく非常に葛藤が激しい-別離後の家庭では、特に子どもの不適応と多動のレベルが同等に高いか、さらに増幅している可能性がある。更に、別離後の子育て問題に関して両親がより協力的で信頼できる関係が、選択された身上監護の取決めと父親と子どもの接触の量の原因なのか結果なのかは、未解決の問題のままである。なぜなら、私たちのデータは横断的なものであり、因果関係の推論を引き出すことができないからである。SPCの親はより良い教育を受けており、葛藤が少ない傾向があるため、SPCの子どもは、より伝統的な単独監護の取決めに比べてよりよく適応することが期待できる。
 しかし、SDQの4つの異なる次元で測定したところ、様々な身上監護の取決めと子どもの心理的適応との間に有意な関連性は見出せなかった(Goodman 2006)。これは、SPCの子どもと単独監護モデルの子どもとの間に子どもの幸福度に全く差異がないか、僅かな差異を報告した幾つかの先行研究と一致しており(Hjernら 2021a; Baudeら 2016)、SPCの方が適応が良いというような、差異を示す調査結果を裏付けるものではない(Augustijn 2021a)。SPCモデルと単独監護モデルの間で子どもの適応に有意な差異が見られない理由は、私たちの研究でSPCを定義するために使用した時間分割に関連している可能性がある。これは、70:30いうかなり不平等な時間分割の場合に当て嵌まる。この配分では、依然として一方の親が監護の義務と子どもに関わる出費の大部分を負担せねばならず、SPCの子どもと、頻繁に父親と子どもが接触する単独監護モデルの子どもとの差異はかなり僅かである。残念ながら、私たちはこの時間分割に頼らざるを得なかったが、この分類は他の研究でも一般的に使用されている(例えば、Sodermansら 2013; RecksiedlerとBernardi 2021)。なぜなら、50:50または60:40の時間分割をより厳密に定義すると、SPCに該当する子どもと親のケース数が非常に少なくなるからである。それにも拘らず、私たちは、生命の繋がりの原則に基づいて予想されたことでもあったが、親の共同子育ての質が子どもの情緒的問題、行為の問題、仲間関係の問題と関連していること、親がより多くの共同子育ての問題を抱えている場合、多動性のレベルがSPCの子どもでのみ高くなることを確認した。これは、父親の関与が少ない単独監護モデルと比較して、SPCでは元パートナーとの継続的なコミュニケーションと接触が必要になるためかもしれない(例えば、子どもの日常スケジュールや、それぞれの親の家の間を子どもが移動する際の方法について話し合うなど)。結果として、これらの遣り取りで激しい葛藤に陥る場合、特に子どもに悪影響を与える可能性がある。共同子育て中に、子どもに関連することで葛藤したり、子どもの前で葛藤を演じることは、子どもにとって特にストレスとなる(TeubertとPinquart 2010)。そうすると、この事象は、子どもが両親のそれぞれの世帯で暮らすSPCでは、子どもが親同士の葛藤により曝され、子どもがより激しい忠誠葛藤に曝される可能性があることを示している可能性がある。従って、SPCは、親があまり葛藤状態になく、建設的で礼儀正しい子育て関係を再開する場合にのみ、子どものウェルビーイングと適応に有益である可能性がある。対照的に、父親と子どもの接触がない単独監護モデルの子どもに関しては、母親と別居する父親との間の共同子育ての質が低いほど、多動性のレベルが低いことと関連していた。この場合、より高葛藤の親同士の共同子育て関係は、まさに両親間および父親と子どもの間の接触が制限されているため、正確に言えば、子どもの心理社会的適応にそれほど有害ではない可能性があります。このような母親は、元夫婦間の緊張による悪影響から意図的に子どもを守ることにより、別居する父親との特に高葛藤な共同子育て関係において門番の役割を果たしている可能性がある(Austinら 2013)。この緩和効果が多動性の場合にのみ明らかである理由の1つは、情緒的な問題などの他の問題領域がそれほど目に見えず、母親が現在認識していないためなのかもしれない。

5. 制限と結論

 私たちの研究には幾つかの限界がある。第一に、既に前述したように、私たちのモデルは横断的なデータに基づいているため、別離または離婚後の身上監護の取決め、親同士の共同子育て、および子どもの適応に関する1つのスナップショットしか反映できない。このため、因果関係を証明したり主張したり、私たちの研究における主要な構成要素間の複雑な因果関係を解きほぐすことは不可能になる。例えば、両親の共同子育て関係の質はSPCに関連している(即ち、外生変数として扱われる)が、SPCの取決めにおいて親同士の遣り取りの必要性が高まったことにより、共同子育ての問題が発生する可能性もある。更に、これらの構造に、私たちのデータには捉えられていないかなりの時間的変動があったケースかもしれない(例えば、身上監護の取決めにおけるスケジュールや日常業務の変更、または時間の経過と伴う親同士の共同子育て関係における力関係の変化など)。従って、縦断的研究-理想的には別離または離婚が起こる前に開始する前向き研究-がこれらの影響の方向性を解きほぐし、別離後の監護の取決め、両親の共同子育て関係、子どものウェルビーイングの間の関連性の変化に対処することが重要である。
 第二に、私たちの研究は、共同子育て関係の質と子どもの適応の両方に関する母親の報告に限定されている。両方の問題に対する父親の見方が母親の評価と大きく異なる場合も考えられ(例えば、Mikelson 2008)、これは特に葛藤の激しい家族構成に関連する可能性がある。このような状況では、母親から提供される情報はより選択的または一方的なものになる可能性がある。更に、先行研究では、特に子どもが男子の場合、父親は子どもの多動性のレベルに関するより多くの問題行動を母親よりも報告する傾向があることを明らかにしている(Chiorriら 2015; Daveら 2008)。私たちの研究は母親の視点のみに基づいているため、父親の報告が入手できれば、身上監護の取決めや様々なレベルの親同士の共同子育て問題によって子どもの多動性のレベルにおける集団差が更に拡大する可能性がある。関連して、別離または離婚前の父親の関与が、後の別離後の監護の取決めの選択に関連していることが明らかになっているため、夫婦関係を解消する前の別居する父親と夫婦関係に関する情報を私たちのモデルにもっと含めることができていれば興味深い結果が得られたであろう(Jubyら 2005)。残念ながら、私たちのデータセットには、別離前の父親の育児への関与や関与に関連する問題についての情報はなかった。今後の研究では、このような別離前の動態を、親が別離後の身上監護の取決めを選択する際に寄与する可能性がある要因として調査し、二項モデルで母親と父親の評価を共同で調査する必要がある。更に、SPC、共同子育ての質、および子どもの適応の間の関連性の一部は、全ての報告が家族のメンバーの1人だけ(即ち、母親)からの情報であるという方法がごく普通とされていることによるのかもしれない。従って、将来の研究では、この方法論的問題を回避するために報告者を複数にすることが有益であろう。最後に、別離後の家族のより統合的な全体像を描くためには、特に身上監護の取決めと子どもの適応との関連性を調べる場合には、子どもたち自身から情報を得ることも有益であろう。親が提供するSDQの評価と子どもが提供するSDQの評価は大きく異なることが明らかになっているため、これは特に重要である(Vugteveenら 2021)。更に、年長の子どもの母親は、子どもが別離した父親とどれだけ接触しているかについて必ずしも知らされていない、または認識していない可能性もある。特に子どもと父親の接触が子どもの携帯端末やオンラインでなされている場合にその可能性が高い。
 私たちの研究は、ドイツにおける別離後の様々な監護の取決めの普及率とその相関関係に関する包括的な見解を提供するものである。ドイツでは、依然として女性を世帯主とした単独監護の取決めが優勢であり、SPCは著しく稀である。これは、SPCがまだ法律によって確立されていない、またはSPCに対する相当量の制度的支援が奨励されていないという事実に起因すると考えられる。従って、私たちが調査結果から導き出した2つの主要な結論は、SPCに対する法的および制度的支援が不十分である、ドイツと類似した管轄区域の状況にのみ同じように適用し得る可能性がある。一方で、別離後の身上監護権に関する親の取決めは、依然として高度に選択的であることを確認した(例えば、監護の取決めは親のSES、特に母親の教育に依存する)。これは、ドイツにおいて現在までSPCのための法的手段が整備されていないためだと考えられる。即ち、より裕福で葛藤の少ない親だけがSPCをよりうまく実施できる余裕があることを意味する。全ての子どもにSPCを実践する機会を与える、あるいは別離後に父親と頻繁に接触できるようにするために、法律はこのような取決めを促進し、強化する必要がある。別離後の家庭を対象としたカウンセリングサービスや離婚専門家向けの公的キャンペーンで、より伝統的な単独監護モデルに代わる選択肢の1つとしてSPCの利点と欠点について親に知らせるべきである。別の状況で、キャンペーンがSPCの割合を大幅に変えることは明らかになっている(Fabriciusら 2010)。一方、私たちは、別離した親同士の良好で礼儀正しい関係が別離後の身上監護の取決めの選択それ自体よりも、子どものウェルビーイングにとって決定的な因子であることを明らかにすることができた。従って、親が前向きな共同子育て関係を維持し、別離後に継続する(忠誠)葛藤に子どもを曝さないように親を訓練、支援することが不可欠である(Bergströmら 2021参照)。この訓練や支援は、親の別離または離婚のプロセス全体を通じてメディエーションを通じて促進することができる(SbarraとEmery 2008)。更に、この目的のために、多くの効果的な共同子育てプログラム(Eira Nunesら 2021)が既に存在している。これらは、別離後の家庭に対し(例えば、裁判所の命令を通じて)より体系的に実施され、提供される可能性がある。また、ドイツの家族法が親のSPCへのアクセスを強化する場合、共同子育ての問題がSPCの子どもにとって特に有害であることが明らかになっているため、これらの訓練や支援による介入をSPC家族に提供することも不可欠である。

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[訳者註]子どもの強さと困難さアンケート Strength and Difficulties Questionnaire、SDQ
保護者や保育士が5分でチェックすることが可能な行動スクリーニング質問紙。SDQは、イギリスを中心に北欧やドイツなどヨーロッパで広く用いられており、子どもの困難さ(difficulty)のみならず、強み(strength)も評価できる点が他の質問紙とは異なる。子どものメンタルヘルス全般をカバーするスクリーニング尺度として、ロバート・グッドマン博士によってイギリスで開発された。

[訳者註]便宜的なサンプル convenient sample
手近な人々から収集したデータなど、収集が容易であるサンプルを意味する。ランダムサンプリングのような手間のかかるデータ収集に比べて、データ収集収集コストは低いものの、データの分布や独立性に関しては担保されておらず(実際には何らかのバイアスがかかっている可能性が高く)、推測統計の材料としてのサンプルとしては危うい面を含んでいる。

[訳者註]僅少パートタイム雇用 marginal part-time employment
パートタイム雇用は、伝統的な非標準的雇用形態のひとつである。しかし、この数十年間を見ると、その重要性が高まっているだけでなく、「実質的 (substantial) パートタイム」(週 21~34 時間)、「短時間 (short) パートタイム」(20 時間以下)、「僅少 (marginal)」パートタイム(週 15 時間未満)、さらにはゼロ時間契約を含む「オンコール (on-call)」労働など、最低労働時間が確立されていないものをはじめ、その形態も多様化しており、互いに重なり合うものもある。
僅少パートタイム雇用はオーストラリアで広く見られる。同国では、パートタイム労働者全体の半数弱(47%)について、通常の労働時間が週 20 時間に満たず、10 時間を切る労働者も 17.8%に上る。メキシコでは、従業員の 2.1%の労働時間が週 15時間に満たず、6.7%には決まった勤務スケジュールがない。
労働時間が極めて短い「僅少」パートタイム雇用は、有償労働に割く時間を制限したい者にとって、魅力的な選択肢となりうる。ところが、こうした雇用は、労働時間の極めて高い可変性と予測不能性を伴うことが多く、オンコール雇用の形態を取ることもある。デンマーク、ドイツ、オランダおよび英国では、週労働時間が 15 時間に満たない従業員を一部でも抱える事業者が、全体の 40%を超えてい
る。スペインでは、世界金融危機を受け、このような労働者の数が急増した。ドイツと米国では、僅少パートタイム雇用率が危機下でピークを迎えた後、現在は低下してきており、危機前の水準に近づいてきている。

日本語版:世界の非標準的雇用(ILO)

[訳者註]Stata
Stata(ステータ、スタータ)は、1985年、StataCorp社により開発された統計分析のソフトウェアである。主に経済学、社会学、政治学、医学(臨床疫学)、疫学の分野で用いられている。Stataの機能には次のものが挙げられる:データマネージメント,統計分析,図表作成,シミュレーション,プログラミング。
"Stata"という名前は、"statistics"(統計)と"data"(データ)の組み合わせからきている。頭字語ではないため、STATAと大文字で表記するのは間違いとされる。"Stata"の読み方には、"すたーた"や"すてーた"などがあり、特定の読み方は定められていない。

[訳者註]多項ロジスティック回帰モデル multinomial logistic regression model
目的変数が3項(3カテゴリー)以上の場合に用いることができる多重ロジスティック回帰分析のこと。カテゴリーの数より1つ少ないロジスティック回帰の式(ロジットモデル)を求めることになる。 この回帰式を用い、各ケースについて、それぞれのカテゴリーにあてはまる確率を予測することができる。通常の2値が目的変数の場合は、二項ロジスティック回帰分析と呼ばれる。

[訳者註]平均限界効果 Average Marginal Effects, AME
ロジスティック回帰は非線形(曲線)であるため、説明変数1単位の変化が応答変数に与える影響(=限界効果,Marginal Effects)は説明変数の値によって異なる(グラフィカルに言えば、説明変数の値で曲線の傾きが異なる)。そこで、説明変数の各値ごとに限界効果を計算し、その平均を取った値で影響を評価する。この値を平均限界効果 (Average Marginal Effects)と呼ぶ。

[訳者註]カテゴリー変数 categorical variable
数値や量で測ることのできない変数。例えば、性別(1=男性、2=女性)やアンケートの満足度(5=大変満足、4=満足、3=普通、2=ひどい、1=大変ひどい)などが挙げられる。質的変数や属性変数とも呼ばれる。

[訳者註]段階的OLS回帰モデル Stepwise OLS Regression
OLSは最小二乗法(Ordinary Least Squares)の略。段階的回帰は、自動化された手順によって予測子の選択が実行される回帰モデルを当てはめる方法。各ステップで、事前に指定された基準に基づいて説明変数のセットに変数を追加または減算することを検討する。通常、これは、F検定またはt検定の前方、後方、または組み合わせたシーケンスの形式をとる。

[訳者註]外生変数 exogenous variable
「モデル」と呼ばれる方程式や連立方程式で使用する変数のうち、モデルの内部で自動的に決まる変数を「内生変数endogenous variable」と呼び、モデルを作る人が値を自由に決定することが出来る前提条件、即ちモデルの外部で決定する変数を「外生変数」と呼ぶ。

(了)

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